絵を描けるAIは絵描きにとってどういう使い道があるのか考えてみた

絵を描けるAIって、絵描きにとってどんな使い道があるのだろう?

と疑問に思っている人向け、自分でも絵を描く筆者が考えてみたところ【①自分の絵のクセや特徴を見つけるための助けになるかも?②絵柄を模索するヒントになるかも?③TRPGのキャラクター作りや販売用のアイコン作りに役立ちそう?】みたいなことを思いつきました。という記事。

AIに自分のイラストから絵柄を学習させ、新たなイラストを生成させるサービス『mimic』が話題になっている。(現在は正式版公開に向けてサービスの改善中だそうです。)

mimic(ミミック)
mimic(ミミック)は、描き手の個性が反映されたキャラクター生成AIを描き手のために提供するサービスです。30枚以上のイラストがあれば、あなたの個性が反映されたAIを作ることが出来ます。

自分も趣味で絵を描くしAIに興味もあるので「自分の作品を学習させて、自分の絵っぽい作品をAIに生成させるなんてできるんだ、おもしろそう!」とは思ったのだけど、「で?」となった。

自分の絵の派生しか生成できないのならば、自分で描けばいいのだし。

かと言って他人の売れてる絵をAIに学習させ、自分の作品として生成しまくるなんてもってのほかだし。

でも、きっと何かうまい使い方、付き合い方、活かし方もあるのでは。と思って考えてみることにした。

クリエイティブな使い方の案はすでにTwitterなどで出尽くしているだろうし、目新しいことは書いてないです。私が今さら新しい使い方を考えつけるとも思っておらず、あくまでも「自分が使うならどう使うと楽しいだろう?」と考えてみた記事です。

画像を作成するAIについて知りたいなら、深津貴之氏の『先読み!IT×ビジネス講座 画像生成AI【電子書籍】』が素人にもざっくりと分かりやすくまとまっていました。

AIに代わりに描いてもらうメリットとは何だろう?

自分の絵を学習させて、AIに代わりに描いてもらうメリットって何があるだろう?

「開発者もまずはこれを想定しているのだろうな」と思ったのは、効率化という点。

世の中には効率化をしたい絵描きもいるだろう。特に、絵を描くことが趣味ではなく仕事な場合は効率が良いに越したことはない。

いわゆるいにしえのオタク世代の自分を思い返してみても、個人サイトの頃にキリ番アイコンプレゼント企画やリクエスト絵企画みたいなのをやってうっかり調子こいてキャパ以上の量を引き受け、「あ〜あれも描かなきゃこれも描かなきゃ。これじゃ自分の好きな絵が描けないよ〜」となった思い出はある。

私のようなそんなショボい次元の話ではなく、たとえば仕事でアイコンなどを販売していて、一つ一つじっくり思い描いて練ってる暇が惜しい、みたいな売れっ子のクリエイターさんもいるだろう。

分かるし想像もできる。けど、そのあたりは自分には関係がない話だ。

絵を描くことは私にとっては趣味であり、他人からすればまどろっこしいとか無駄だとか思われそうな時間や手間すべてひっくるめて絵を描くという娯楽であるから。そこは私の大事な暇つぶしなので、AIには任せない。

なので、効率化以外のメリットを考えてみる。

自分の絵柄を真似てもらうのが単純におもしろそう

自分が使うなら……と考えてみたところで、まず、単純に「私の絵柄を学習してくれるなんておもしろそうだな、どんな絵ができるんだろう?」という好奇心を抱いた。

Twitterで、他の人の絵柄で絵の描きっこをするようなタグが流行ることがある。

しかし「私の絵柄でも描いてみてほしいなー、でも私の絵柄なんか真似して描いてくれる人いないよね……相手を困らせても申し訳ないし……」と思ってしまい、タグに乗っていけなくて、羨ましいなと横目で見送ったことが何度かある。

そんな私であるから、AIでもいいから私の絵柄で何か描いてみてくれるとなると単純に嬉しいしおもしろそう。AIなら「えー、そんなダサ絵柄真似して描くのやだわー、興味ないわ……つまんな……めんど……」とかは思わないわけで、遠慮なく描いてもらえる。

自分の特徴を掴んで再現してもらうのって、なんともくすぐったいような嬉しさがあるのではないか。モノマネ芸人にモノマネをされた歌手や俳優が「え、私ってそんな感じですか〜!? (と手をパーにして口に当てる)」みたいに。

人気者のみに許されしそのよろこびを、いいな〜それ経験してみたいな〜という気持ちはある。

自分の絵のクセや特徴を見つけるヒントになるかも

絵を描く上で「私の絵の個性ってどんなところだろう?」と考えてみても、自分ではなかなか分からない。

他の人間と交流できるタイプの絵描きなら、気軽に絵描き仲間に聞いたりできるのかもしれない。しかし自分にとってはなかなかハードルが高く、聞いてみたところで「あなたの絵の特徴……うーん、あー、うー…………やさしい人柄がにじみ出していて好きだよ!(明らかにもう出てこない)」と困らせてしまったら……と思うとそれもしのびない。

「#私の絵の特徴を挙げてもらってそれを封印して描く」みたいなタグも見かけることがある。

「私の絵柄ってどんな感じですか?」と聞くのってまあちょっと、めんどくさい人間タイプの私としては、「なんかいい感じに褒めてくれ」って言っているような気もしてしまいなかなか気後れがしてしまう。けど、このタグなら気軽に「あなたの絵ってこんな特徴があるよ!」「こんな印象だよ!」と言ってもらうことができる。

自分の絵柄のクセや特徴を見つけるヒントになるだろうし、気づかなかった自分の絵のいいところを誰かが教えてくれるかもしれない、自分の知らない自分の良さを知れるかもしれない。なかなかに心ときめくタグだと思う。

しかしこれまた私はタグに反応をいただけるような絵描きではないし、なかなかこういうタグに乗っかっていくのが難しい。そもそも誰にも答えてもらえない気さえする。

ひとことで言うと、私は人との交流に物怖じしてしまうタイプなのだ。

けれどAIになら気兼ねなく頼める。AIが学習した私の絵の特徴やクセなどを、客観的に発見することができるかもしれない。

AIって便利さとか効率とかより絵を描く私の薄暗い闇の部分をそっと支えてくれる存在になり得るかもしれない気がしてきた。

TRPGのキャラクターや素材作成に使えるかも

実用性の面では、こんなふうに使ってみたいというのが一つある。これは効率的で便利で、開発者さんの想定した感じの使い道だと思う。

TRPG用のキャラクターを作るとき。

「今回のセッションは特にこだわりないし、シナリオによる制約もないし、新キャラ作らなきゃだけどなかなか思いつかないな」というときがあって、期限に追われて焦ってひねり出そうとするとけっこうMPを消費してしまう。それはそれで楽しい苦しみなのだけど、時間は無限ではない。

そういうときにランダム生成みたいな感覚でAIに提案してもらうという使い方はいいかも、と思った。

ビデオゲームでも、キャラメイクを1から10まで自分でこだわって決める他に、ランダムでキャラを作成できることがある。

自分はあまりゲーム内のキャラメイクにこだわりがないので、ランダムで何度か振ってみて「これならいいかな」というキャラデザインで決めてしまう。

後付けで設定を考えて、キャラの外見ではなく内面のキャラメイクをしていくのだけど、自分の意図が絡んでいない造形のキャラから設定を膨らませていくのっていつもと違う発想ができたりして、一からこだわって自分でキャラクリエイトするのとまた別の楽しさがある。

AIもこの「ランダムキャラデザイン決め」に使えそう。叩き台(アイデア案)を一瞬で無限に出してくれるのだし、ディレクター面して何度リテイクさせても怒らない。

自分の絵からしか学習させていないなら生成したものをキャラ絵にそのまま使ってもいいし、気に入ったら描き直したり描き足したりもできる。

同様に、自作シナリオのNPC素材を作るのにも使えそうだと思った。

まずはひとり遊び用に使ってみたい

仕組みについて詳しいわけではないけど、生まれたときから身近にドラえもんや鉄腕アトムがあったし、AIというものに対してわりと親しみを抱いている。ざっくり知ってみるとなおのこと興味も湧いた。

ただ、あくまでも今のところこのmimicというサービスは「自分の作品を学習させて出力するイラストメーカー的なツール」だと思うので、これからも自分でせっせと描いていくことに変わりない。AIに教えてあげるためにも自分で描かなきゃ。

AIからの出力にヒントを見つけたり面白がったりしつつ、やっぱり今までと変わらず絵を描いていくのだろうと思います。

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