「これは絶対NG」「今すぐやめて」などの煽り言葉に屈しないことにした

「イラストの描き方動画とかで『これは絶対NG!』『これやってる人今すぐやめて!』などの言葉を気にしすぎてしまい、絵を描くのが楽しくない……」

という人向け【それは人の心理を突いてクリックさせるための言葉なんだよなと思うとスルーしやすくなって楽になりました】という話。

※イラストの講座コンテンツを気にしすぎてしんどくなっている人を見かけたので記事にしてみました。

たとえばYouTubeにはダイエットや筋トレ、メイク、家事、そしてイラストの描き方講座など、あらゆるジャンルの動画がある。

で、タイトルに「これは絶対NG!」「これやってる人今すぐやめて!」みたいな、不安を煽られるような言葉を見るとついクリックしたくなってしまう。

自分も以前はそんな感じで振り回されていたのだけど、「あれもダメこれもダメって、もう何をどうすれば正しいのか分からないよ……」と混乱して疲れて無気力になってきて、イヤになってしまった。

結局何も得ることもなくただ疲れてしまうことが多く、振り回されてしまうのはムダのように感じた。

「なんで私はこんなに振り回されてんだ?」「どうしたらこの無駄ループをやめられるのかな?」と考えてみたらやめられたという話。

なんでこんなに「不安煽り」に振り回されるのか

不安や焦りをあおってくるのは、大昔からのマーケティング手法である

「これやってる人今すぐやめて!(腕をバッテンのサムネ)」みたいなものについつい惑わされてしまうのは、もうこれは人間のサガなのだと思う。

「楽して安く手っ取り早くのぞみのものを得たい」「自分だけ損をしたくない」というのは人の自然な心理であるからだ。

人間の不安や焦りを利用して大衆を動かそうとするのは大きなメディアもそうだし、なんならマスメディアができる前から、古代ギリシアの時代からあった。人間が群れで暮らすようになってからずっとあったことなんだろう。こうなるともう人間といういきものの営みがいとおしく思えてくる。

今やネットで稼ぐ系のテクニックとしても定番になっていて、「ユーザーがクリックしたくなるタイトルにするには、この文言を入れるべし!」みたいな感じでTwitterの副業アカが発信しているのを見かけたりもする。

たとえば最近は「厳しいことを言います」「人生変わります。これだけやってみて」「これがわかる人はたった1%」「実は9割の人が間違えている……真実を教えます」「本当は誰にも教えたくないテクニック」みたいな感じの文言をよく見かける。

(そういうセールスの仕事をしていなくても、人の心理として知ってみると興味深かったりしました。)

つまりタイトルやサムネで危機感を煽られてクリックしたくなったら、それは多かれ少なかれマーケティングの術中にハマっているということでは? ……と思ったらバカらしくなり、とっさにクリックしちゃうみたいなことは激減した。「最近はこの文言が流行ってんだな〜」と思うくらい。

自分が不安に感じていることがらに釣られがち

人間には「無事に生き延びたい」という本能があるので、不足や不安に対して敏感になるのは当然のこと。

特に、こんな感じのことはそこはかとなくいつも心の奥に不安としてあるのではないだろうか。

  • やっていて楽しくないけどやらなきゃいけないこと
  • これができないとまわりからバカにされそうだから、やりたくないけどできるようになっておかなきゃと思うこと
  • 今は本当どうでもいいことなんだけど、やっておかないと将来困るかもしれないこと

たとえばダイエット、英語学習、貯蓄、健康、災害に関するコンテンツなど。人によっては絵の描き方やメイクの仕方、美容、家事、食事の作法などを過剰に気にしてしまう人もいるかもしれない。

「この食べ方してる人要注意! 糖尿病のリスクがあります!」とか「○月○日に大地震が起こる! 危険な地域は○○です!」とか「いまだにこんな眉メイクしてない? 老け見え注意!」とか「これやってる人ハゲます!」とか「これを備蓄していない人、大パニックに陥ります!」とか「その英語、ネイティブに笑われてます!」とか「この描き方は絵が下手になるから今すぐやめて!」とか「玄関にこれがある人、貧乏になります!」とか。

自分が気になってしまうそれは、自分が不安に感じていることなのだろう。「ああそっかー、自分はこれが不安なんだな」といったん冷静になると、なんでもかんでもやみくもにクリックしなくてすむ。

でも、こういうのは絶対に見ないぞ!!!!! と決める必要はないと思う。「おおっ不安を煽ってくるタイプのタイトルとサムネだ、最近この文言流行ってるな」などと意識しつつ観る(いわゆる「話半分で」というやつ)なら気にしすぎてしまうということもないし、ずるずる見てしまうこともなくなった。

ひとつクリックすると不安が連鎖してしまうことになる

またネットの性質として、ひとつクリックしてしまうと関連動画で埋め尽くされてしまうというのがある。

たとえば絵のスランプでメンタルが不安定なときに「この描き方絶対ダメ!」「こんなふうに描いてる人、笑われてます!」「こういう描き方をするとどんどん下手になる!」というサムネに押し寄せられてしまうと、この世のすべてが不安を煽ってくるような気がしてしまい、これは精神衛生上よろしくないように思う。

さらに悪いことに、焦って次々と無料の浅いコンテンツを見あさってもさしたる効果がない。(自分の経験です)漂流して渇いた者が塩水を飲んでよけいに渇いていくがごとし。

さらにさらに悪いことに、「(絵が上手くなるために)動画を見ている」という行動をしていることを免罪符にできてしまうため、ずっと見ちゃう。(私のことです)

だったらちゃんとした書籍を一冊買って自分の手を動かして模写でもしたほうがよっぽどいいと分かっていても、YouTubeなら無料だし見てるだけだから楽だし。(私のことです)

不安は解消されぬまま、ただただ不安に駆り立てられて動画を見あさり時間だけを浪費する。浪費するだけならまだいいけど自滅してしまうこともある。(私のことです)

なるべく自分の状態を意識するようになった

ひとしきりやってみて、怠惰な私もさすがにいいかげんこれは無駄だということに気づいてきた。

で、無駄だということに気づけばその一連の無駄な行為をやめられた。

「そんな不安をあおるコンテンツを金儲け目的で作ってるやつら、許せんな!」ということではない。無料のYouTube動画を観て良いところだけ学んできちんと役に立てている人だってたくさんいるし、クリエイターさんたちも「悩んでいる人の役に立つ動画を作ろう」「なるべくたくさんクリックしてもらおう」と考えているだけにすぎない。

ただ、自分の場合はそこに深い傷があるせいで、沁みすぎて効きすぎて中毒になってしまっていたのだ。

今はサムネやタイトルが強烈に気になった場合、「あ、今私はこういうことを気にして不安で焦っているんだな」とひと呼吸おいている。

本当に自分にとって必要な情報であれば必ずまた入ってくる

この情報あふれる時代において、「今この動画を見逃したばっかりに、10年を無駄にした……!」なんてことはない。

情報なんて溢れかえっているので、本当に自分にとって必要な情報であれば必ず他のところから何度でも入ってくる。

その動画のサムネで腕をバッテンにしている動画クリエイターが唯一の真実を知る人なわけでもないし、その動画を見逃したばっかりに人生が台無しになってしまった、なんてことは絶対にない。

そう思うと簡単に「イヤな感じだな」と思うものは切り捨てられるし、見ないことにしたらかなり気が楽になったよという話です。

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