
ノンデザイナーに優しいデザイン本で定評のあるMdNから放たれた『かわいいデザイン』。
「いやいやかわいいデザインなんてパステルカラーと花とリボンでチョチョイのチョイだよ、本なんか読むまでもない」なんて思っている人はよもやいないだろうが、それはとても危ない。
「かわいい」とダサいは紙一重なのだ。
「かわいい」だけではダメなのだ。
「かわいい」は、「今っぽくかわいい」でなければ、それはもうただのクソダサなのだ。
やらかす前に読んでおきたい一冊。
めちゃくちゃ売れた『なるほどデザイン』と『あるあるデザイン』をおすすめする理由はこちらの記事に。

『あるあるデザイン』とはどう違うのか
構成は『あるあるデザイン』と同じで、今すぐ誰でも使えてパパッといい感じに仕上がるデザイン例が収録されている。
違うところは、対象とする層だろう。


こういう感じの、よしもとばななの小説の表紙のような、駅ビルでいうなら2階3階のレディースファッションフロアみたいなデザイン例が豊富に掲載されている。
これ系の「かわいい」はなかなか、誰の引き出しもあるってもんじゃないでしょう。このためだけに専門のデザイナーを雇うくらいの特殊技能だと思う。
そういうデザインが一冊ぎっしり載っているので、たいへん心強い。もし明日PARCOからオファーが来ても立ち向かえる。
『かわいいデザイン』を使いこなすための素材サイト
『かわいいデザイン』も『あるある』と同じく、フレーズによってデザイン例が紹介されている。
- マーブル敷くだけ
- 使えるガーランド
- 賑やかコラージュ
- おしゃれ版ズレ
例えば「マーブル敷くだけ」というのは文字通り「マーブル画像を敷くだけでおしゃれで可愛くなります!」ということなのだけど、そのマーブル画像はどこで手に入れるのか。
マーブル画像は作れなくもないけれど、用途や予算と相談しながら素材販売サイトで調達したほうが早い。
まずはみんな大好き「写真AC」。無料会員登録でフリーDLできるサイト。クリエイターたちが投稿するタイプの素材なので品質にバラツキはあるけれど、うまく選べば使える。→「マーブリング」で検索
予算は貰えるから品質のいいものを……というなら「Gettyimages」というサイトも。→「マーブリング」で検索
デザインは小技知識の積み重ね
このMdNのシリーズのミソは「デザイナーが普段使っている小技知識が詰め込まれている」ということ。
この『かわいいデザイン』だと、「ピンクとゴールドを合わせると女子っぽいゴージャスかわいいができる」というようなtipsが書いてある。我々ノンデザイナーは「へえー!」と思ってメモしたりする。
しかしこれはtipsでもなんでもなく、デザイナーにとっては無意識の領域で自然にやってることだ。
でも無意識でやってるから、こういうことは今まで書籍化されてこなかった。する必要もなかった。だってデザイナーには無意識でもできちゃうから。
ただ、今はどんな会社にもちょっとスペックのいいPCとAdobeのソフトがあって、ノンデザイナーもばんばんデザイン「ふう」なことをやらされる時代。そんな人のために言語化してまとめてくれているのです。知らんけど。
自分もありがたく恩恵に預かっている。
MdNシリーズは「明日なんとかしたい」みたいなときにすがれる本もあれば、「今すぐ使わなくても、体に染み込んだ小技が3年後くらいに役立つ」みたいな本もある。
今を自転車操業で凌ぎながらも、近い未来の自分のために引き出しは増やしておかなければならない、と思う。