盗作してしまう理由って「うっかり」も多いのかも…防止策を考えてみた

「なぜ盗作をするんだ! 人のものを勝手に盗用するなんて最初から故意に盗もうとして盗んでいるんだろう、極悪人だ!」

と考えていたけど【盗作って「うっかり」の場合もあるのかもしれない、だとしたらうっかり防止策を考えて意識したほうがいいのでは】と思い至った記事。

自分は二次創作を楽しむオタクで、物心ついた頃からいろいろな形の創作物に触れてきた。

いつの時代にもどこの界隈にも「盗作」「パクリ」というものはあって、二次創作者どうしのパクリパクられもあればプロの作家のパクリパクられもあり、プロアマ関係なくパクったりパクられたりして、パクリだ、いやオマージュだ! みたいな論争も無限にあったように思う。

当時の自分はパクリに対して「既存の作品のアイデアだとわかってて盗むんだから申し開きのできないレベルで極悪人だよなあ、どんな神経してんだ。創作をするのであれば盗作を疑われないレベルでオリジナリティを出すべきでは?」とえらそうに軽蔑していた。

のだけど、自分もデザインの仕事をするようになってからしばしばヒヤリとすることがあり、「故意に盗む場合もあるだろうけど、うっかり盗作になることもあるかも。意識して防止しなくては」と考えるようになった。それについて書き残しておく。

「うっかり」で盗作をしてしまうパターン

過去の自分がこの記事を読んだら「うっかり、じゃねーよ! アイデアを自分で一から考えれば盗作なんてしないはずだ! 金もらって描いてんならちゃんとやれ!」と怒るかもしれない。

でも今の自分は「人間には『うっかり』はあり得るのだ」というのを身にしみて感じている。だからこそ意識して気をつけられるのだとも考えている。

「いいアイデアひらめいた!」と思ったら過去に見た既存の作品だった

パッケージデザインのアイデアをいくつか出すときに、いくつもぽんぽんと思い浮かんでそれがまたうまいことまとまっていて良い感じで、「今日なんか調子いいな!」と文字通り調子に乗っていた日があった。

明日ラフをまとめてクライアントにメールしよう、と大満足でその日の仕事を終えて寝て起きてみると、昨日出したアイデアほとんど全部「昨日はいいと思ったけど、なんかこれどっかで見たことあるかも……」みたいな気がしてきた。

「このラフを送るのはちょっと待て。いったん落ち着こう」と1日置いたら全部元ネタ(アイデアの出元)が思い出されてきたのだ。

子どもの頃読んだ絵本の挿し絵だったり、最近遊んだインディーズゲームのキービジュアルだったり。

全くそのままではないにせよ、知っている人が見たら「アレに似てるな」「元ネタはアレだな」と気づくレベル。

これをそのまま出したらパクリになっていたかも、と思うとヒヤリとした。

もし意識的にその元ネタをベースのベースくらいとして使うとかなら、パクリではないようにしっかりと消化し直してオリジナリティの強いものを作れるけれど、無意識の場合は自分で気づいていないわけなのでただのパクリ丸出しになってしまう。

何十年も生きてきて、そのうちの半分の時間は目を開けているわけなので、視覚的な情報は意識的なもの無意識的なもの合わせてろくに整理もされないまま脳に蓄積されているはずだ。

安易にペッと出すと、昔丸呑みしたものがそのまま出てきてしまう。いとも簡単にそのまま出てきてしまう。

参考にしようと思ったらパクリになった

またあるとき「こんな感じの建物をデザインの一部として描きたい」と、ネットで建物の資料となる写真を探していた。

しかし"写真を参考にオリジナルの建物を一から作り上げて描く"というのはかなりの高等技術。「写真をそのまま描くのはこれを撮ったカメラマンさんの権利を侵害することになるからダメなんだよな」と知りつつも写真をそのまま描いてみるしかなく、結局はそのアイデア自体をボツにした。

これ、もっとしめきりが差し迫って焦っていたり、もっと私が正常な判断ができないくらいに疲れていたりすれば、そのままやらかしてしまったかもしれない。

アレンジして自分のオリジナルになるだろう→ならなかった

これも上と似たようなことだけど、「元ネタ(というか定番・定石)はあるけど、でも元ネタを凌駕する自分のオリジナリティを出せばいいのでは」と思って描いてみたけど自分にそれほどのきらめくオリジナリティがあるわけでもなく、ただの劣化パクリになりそうだったので早々にボツにした。ということがあった。

これも、もし私がもっと順風満帆で今までそれほど自信を失わずにきていたならば「いや、この私のきらめくオリジナリティによってパクリじゃなくなってるしむしろ元ネタ超越してるし!」とか驕り散らかしてやらかしていたかもしれない。

良くも悪くも挫折にまみれてきたため、このときばかりは自分のセンスを信じきれなかったことが幸いした。

(こう考えると、自信がないがゆえに慎重になれるという面もあり、悪いことばかりではないとも思えた)

「うっかり」を防止するためにしていること

自分が過剰なまでに「パクってしまうこと」に怯えているのかもしれないけど、個人的には「パクってしまう」って紙一重な気がしている。

なので、うっかり防止として気をつけていることがある。

  1. 「これいい!」というアイデアが出てもいったん寝かして記憶をたどる
  2. 焦りや疲れがあるときにラフを出さない
  3. 自分のオリジナリティとやらを過信しない
  4. Google画像検索で類似画像をチェックしてみる(気休め程度)
  5. 何かあれば忌憚なく言ってもらえる体制を作っておく
  6. クライアントのチェックに頼り過ぎない

5は、チームで進めているなら全員にこまめに共有し、「うっかりパクリは自分で気づきにくいから遠慮なく指摘してくれ」ということを普段から言っておくということ。デザイナーに向かって「これってアレに似てない?」みたいなことってかなり言いにくいので。

6は、「なんかまずいことがあったらクライアントからストップが入るだろう」とチェック機能を過信しないということ。デザイナーが気づかないようなパクリは先方も気づかないことの方が多いし、業務の契約如何によってはこっちが全面的に責任を負うことにもなりかねない。

そもそもアイデアというものは自分の完全オリジナルなんてものはありえなくて、今まで見聞きしてきたものを消化して、その中からじっくりと抽出したりつむぎだすものだと思っている。

ゆえに、インプットが枯れた状態でむりやり絞り出そうとするときほどパクリになりやすい気がする。いそいで丸呑みしたのがペッと出てきちゃうので。

でも仕事でやっていると、どうしてもインプットが追いつかなくなってくる。しかも焦りや疲れで正常な判断もできなくなってくる。

これは改めて実感したし、だからこそ気をつけていこうと思った。

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