「推しの似顔絵を描いてるんだけど、どうも上手く似ない。どこが悪いのかも分からない。どこをどうすれば似るんだろう?」
と悩んでいる人向け、【自分は似ないときのリカバリー方法として①思い切って鼻を描く②違う表情の顔を描く③タッチを変える④ポーズや構図を変える、というのを試しています】という記事。
※個人的な足掻きの一つとして書き残すものなので、人によって合う合わないがあると思います。
自分は中学生の頃から似顔絵を描くのが好きで、それが高じてデザインの仕事やその一部として似顔絵を描いていたことがある。
好きで描くのと違って描きにくい顔や似せにくい顔もたくさんあって苦労したので、そういうときの試行錯誤について自分用に書き残しておく記事。
▽自分なりに「こうすれば似せやすいのでは?」と感じたことを書いたものはこちら。
似顔絵が似せにくいとき試してみること
思い切って鼻を描く
似顔絵でいちばんかねあいが難しいパーツは「鼻」だと自分は感じている。
目や眉はまだ、見たまま描くだけでも何とかそれっぽく見えるようになる。けれど「鼻をどこまで描くか(鼻の穴は描くのか、小鼻の盛り上がりは描くのか、鼻すじはどう描くのか……などなど)」というのが似るか似ないかの瀬戸際になることが多かったからだ。
たとえばこれはブログの記事用に内野聖陽さんを描いたときのものだけど、鼻の描きかたで印象がまったく違っている。
左の鼻は無難だけど特徴をとらえてはおらず、誰だかわからない。内野さんの顔で印象的なパーツは鼻だからだ。
絵柄的に鼻はいつもちょんとしか描かないという人の場合「似顔絵を描いてもどうも似ない、似顔絵は苦手」となりがちのように思う。
自分もその壁にぶつかって困っていたけど、臆せず思い切って鼻を描くというのをやってみたことで、似顔絵の面白さ、人体の面白さ、表現の面白さなど一気に世界が広がった気がした。
違う表情の顔を描く
推しを描くときなどは特に、気に入っている顔の好きな写真などを模写する感じで描く人も多いのではないかと思う。
しかし自分の経験上、たった一枚きりの写真だけをもとに描くのはあまりうまくいかない。(また、それは模写であって似顔絵ではない)
自分はたくさんの画像、できれば動画でその人を見ながら描くほうが「その人らしさ」をとらえやすい気がしている。大食いクリエイターの谷やんさんをブログで描いたときも、動画を見ながら「より谷やんらしい顔やポーズ」を探してみた。
写真をそのまま描くだけだと、どうしても上手く似ないこともある。
そういうときは同じ写真を見て何度も描き直すよりも別の写真(できれば動画)をたくさん見て「よりその人っぽい表情」を見つけたほうが、結局は早くなんとかなることが多かった。
「その人らしい表情(あーその顔するする! という感じの表情)」というのがあり、それと別に「絵に描き表しやすい表情」というのがあり、そこが交わる部分をうまくとらえればスルッと似る。
その交点を見つけられるかどうかが、似るか似ないかの分かれ道になることが多かった。
違う角度の顔を描く
「別の表情ってどういうこと?」「別の写真を見て描いてもうまく似なかった」という人もいるかもしれないので、もっとわかりやすいのはたとえば別の角度の顔を見てみるということ。
鈴木杏樹さんを描いてみたときに、近年ではミュージックフェアの司会の印象が強く真正面からお顔を見ることが多かったので真正面から描いたら誰だかまったくわからないレベルで似なかった。
ななめ横の角度で描いてみたらかろうじて「言われてみればまあ鈴木杏樹さんっぽいかも?」レベルまでにはなった例。髪型も、自分が「いちばん鈴木杏樹さんっぽい」と感じるロングにしてみている。(ドラマ『あすなろ白書』の頃)
ななめ横顔だと、特徴であるスッと通った鼻すじや高い頬骨、上がった口角などが分かりやすい。また髪型も、これまたキリッとした眉が見えるもののほうが特徴が見えやすいように思った。
タッチを変える
写真を見て精密に描いても似なかったり、またアニメっぽい絵柄だと似顔絵に落とし込むのは難しかったり、はたまた「いつもの自分の絵柄ではどうしてもうまくいかない」ということがあったりする。
そういう場合は思い切って違う絵柄で描いてみることもできる。
たとえば武田真治さんはいつもの自分の絵柄では似せづらかったので、もう少し劇画っぽいタッチで描いてみた。
また、いつも右側っぽい絵柄で描いている場合は似顔絵を描こうとすると似せにくいので、左側絵柄にしてみるなど。(深田恭子さんの似顔絵です)
絵柄を変えるとかデフォルメをするとかが難しいという場合は、太い線で描いて物理的に線を省略せざるを得ない状況に自ら追い込んでいく、というのも糸口になりそうだと思う。
ポーズや構図を変える
それでもなお、どうしてもその人っぽくならないということもある。というかもともと自分は技量がないのですぐに限界がくる。
にっちもさっちもいかないときは、その人の付帯情報をつけてむりやりそういうことにする。
以前ブログできまぐれクックのかねこさんの似顔絵を描いてみたとき、どうしてもうまく似なかったので包丁を持ったポーズにしてみたり当時よく動画内に登場していたネコさんを描いてみたり動画初期に特徴的だったパーカーを着せてみたりと、右往左往してあきらめたことがある。
顔ではなく付帯情報でヒントを出しまくるというのは、もはや顔がどうこうではないながらも「その人らしさ」は伝わるのではないか。
「その人らしさ」を見つけるまでの試行錯誤が、似顔絵を描く楽しさ
人間というのは毎秒違う表情をしている。「その人らしい表情」も一つではない。角度によって見えかたも違う。
似顔絵が写真と違うところは、一瞬の「その人っぽい表情」「その人らしい表情」をいくつもいくつも脳裏に焼き付け、その一瞬一瞬を複合させて「その人っぽさのイメージの集大成」を作り上げることができる、ということなのではないか。
写真を見ながら描いて完成、であれば、自分もこれほど似顔絵を描くことに魅力は感じなかっただろう。
じっくりと見つめ、いくつも「その人らしさ」を見つけ出して複合させていく過程こそが、似顔絵を描く楽しさのような気がしている。