思うように絵が描けない&下手になった…スランプのときの右脳ストレッチ

思うように絵が描けない。もしかして画力が落ちた…!?どうしよう、スランプだ…

と悩んでいる人向け【一度ついた画力は落ちないので、思うように絵が描けないのは脳と手がうまくつながっていないだけかも。そういうとき自分は簡単なウォーミングアップをしてみています。】という記事。

「何度描き直してもしっくりこなくて、直せば直すほどドツボ」みたいなことって絵を描いているとよくあるけど、それはスランプとかじゃなくて、脳が自分の立ち位置分からなくなっちゃってるというのがいちばん近い気がする。

ディレクター(脳)がフワフワしちゃって現場(手や指)が動かない、みたいな。

だったらディレクターにバケツ水でもぶっかけてシャキッとさせ、現場としっかり連携させればいい。

自分が美大受験のためにあくせくデッサンをしていた頃に、指導教諭やOBから教わった方法をいくつか書きます。

絵が描けないときは左脳優位になっている

※いわゆる右脳、左脳、なんて言うけど脳の研究はまだまだ途中で、そんなにはっきり分けられるものではないらしい。また、脳ってどこかが損傷を受けたらそれを補うために別の場所が発達したりと臨機応変な器官でもあるようで、どこの部位がどう、とは言い切れない。ただ便宜上ここでは敢えて「感覚=右脳」、「左脳=理屈」というふうに呼び分けて説明する。

絵と文章でモードが違う

自分は同人活動で漫画と小説両方やるのだけど、絵を描くときと文章を書くときでモードが違う。

これ経験がある人も多いと思う。絵を描いていると言葉が思うように出てこなくなって、Twitterでもカタコトみたいになったりして。逆に小説の作業で乗ってくると言葉ばっかりガンガン出てきて、そういうときに表紙デザインをやろうとしても、発想がピクリともしない。

つまり、絵やデザインをするときに「いわゆる左脳」が優位だと「ちっとも描けない! スランプだ!」みたいな感覚に陥ってしまうんじゃないかと思う。

絵描きが左脳の下僕になっているときの症状

絵が思うように描けないときって、左脳優位になっていて直感を理屈で押さえ込んでいる状態なのかも。そういうときの症状として自分が自覚しているのはこんな感じ。

  • いらない力が入るので身体のコリや疲労がすごい
  • 普段よりも、やたら時間がかかる
  • 無理して仕上げても、次の日の自分がビックリするほど出来が悪い
  • 理屈っぽさがスパークして長文ツイートをガンガンしてしまう

どうやって左脳→右脳に切り替えるのか?

このモードの入り間違いは長く絵を描いていると何度もあるので、まわりの絵うまな人々はひたすら「描いて直す」人が多い。数十分から長くても一日おけば大丈夫という感じ。

しかし自分の場合は絵うまではないので、切り替わるまで描く前にメンタルが爆発してしまう。

そこで昔教わった切り替え方法を思い出してやってみたら意外と良かった。一瞬ですぐできる。

お手本を反転させて模写

まず自分がやるのは、お手本を反転させての模写。

手元にあった手ぬぐいの柄を上下反転させて模写してみたところ

模写といってもごくシンプルな絵柄で、普通の位置で見たら簡単に模写できるようなもの。これを上下反転させて模写すると、やってみると分かるけど頭が「イーーーーーッッッッ!!」となってくる。

左脳(理屈)が優位なときって無意識のうちに「犬の鼻はこういう形」「犬の尻尾はこう巻いてる」という思い込みが補助的な役割をするので、ちゃんと見なくてもなんとなく描けてしまう。実際よりも少ない労力で。

しかしこの「思い込みサポート機能」はしょせん思い込み。対象物を見ずになんとなく描くことで、自分では気づかない認知のズレが起こる。これがいわゆる「思うように描けないスランプ」なんだと思う。

上下を逆にすることでその「思い込みサポート機能」をオフにし、脳を「イーーーーーッッッッ!!」とさせる。「甘えんな!」とバケツ水をぶっかけるわけだ。

※お手本が上下反転していると、逐一見ながら確認しないと全然描けないので「イーーーーーッッッッ!!」となるのです。

この方法は数分でできるので、ムズムズするときにサッとやっている。

詳細を無視して輪郭だけ描いてみる

自分は上の方法で解消することが多いけど、他にも聞いたものを挙げておく。

一つは、細部にとらわれずまずは輪郭だけを描くというもの。

例えば手を描いているときに「関節はこの位置で、骨はこうなっててこう曲がる」「手の甲にはここからここまで骨が見えて……」みたいな知識がちらつくけど、それは左脳の領域になる。

ちらつくくらいならいいけど「関節はこの位置!」「中手骨がこうでMP関節はこう見えて!」と理屈が優位になってくると描けないので、「見たままを、輪郭だけ描いてみる」をする。輪郭だけ、形だけ、シルエットだけ。

今自分は似顔絵を描く人なんだけど、「シルエットを意識して取る」というのは気をつけている。

指導教諭やOBは「なんとなくこうしろ」「しのごの言わずこうしろ」みたいな教え方だったんだけど、後になって『脳の右側で描け』を読んだら納得できることが多かった。(だったら最初からこの本を紹介してくれよと思った。)


決定版 脳の右側で描け

顔ならパーツの配置だけを見て描く

また、顔を描くときというのは特に左脳がしゃしゃり出てきがち。

左脳「違う違う、もっとこのキャラは口の形がこうだよ」

左脳「◯◯さん(女優さんなど)は涙袋がこうなってて、そこに下まつげがこう、じゃない?」

自分は絵心もないくせにいちいち口を出してくるオトナみたいな、邪魔者。そんなやつの「こうあるべき」にそそのかされるまま描き直していると、デッサンも狂うし似顔絵も似ない。

そういうときは「点目絵」で描いてみることにしている。

※点目絵というのは私が勝手に言っているだけでそんな言葉があるかどうかは分からないんだけど、目をただちょんと描く絵柄のこと。これは顔のパーツの細部にとらわれず配置だけを見て描けるので、右脳的だと思っている。

人間の顔はとても複雑で、目を一つ見ても情報量が多すぎる。ふたえの幅がどう、目頭の深さがどう、黒目の丸みがどう、と左脳でやっているといつまで経ってもつかめない。

目をチョンチョン(点目)にして、「目の離れ方はこれくらい、顔の中のこれくらいの位置」という程度に留めてしまう。

大食いYouTuberの谷やんさんを描いていたら細部に囚われて似なかったので、点目にしてみた例がこちら。

その作業を1時間だけ中断して他の絵を描いてみる

スランプの予感を感じたら全く別の作業をするという人もいる。

自分は色塗りの下塗りや漫画の原稿の背景作業をすることが多い。どうせ新しく何か描いてもガチャガチャしてまとまらないんだから、単調作業に当てた方が効率がいいので。

単調作業なら理屈は関係ないし、作業しているうちに左脳が黙ってきて感覚が整うこともある。

そのためにはいつも複数の作業をやりかけで放置して、並行して進めていくという方法を採っている。

別キャラや別ジャンルの絵を描くとかは、自分の場合はあまり効果を感じない。気分転換にはなるけど解決はしないし、理屈頭になってるから何を描き上げても質が低く、実りが少ない。(気分転換が主な目的なら全然いいと思う)

右脳(感覚)を上手く使って描いていく

左脳から右脳に切り替えるには、自分的に効果の高い順にこんな感じ。

  • 上下反転模写
  • 輪郭だけ見て描く
  • 点目で描く
  • 別の単調作業をする

感覚で描けているときは没入感があって、いつのまにか外が暗くなっていて10時間経っていたりする。時間のわりには疲労がなく、肩や首もそんなに凝っていない。(でも身体には良くないのでアラームで休憩入れるほうがよいです)

創作活動をしてると「何か降りてくる」とかよく言うけど、それは別にスピリチュアルな何かではなくて「感覚が上手く働いていて、言葉にならない何かをキャッチできている状態」なのかも。

だったら理屈と感覚を意図して切り替えられれば、絵を描く者にとって良いよな……と思ったのでこんな記事を書いてみた。

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