フォロワーさんの絵が無断転載されているのを見つけてしまった!
知ってる絵師さんのイラストが別人から自作発言されてる!許せない!
と憤りを感じている人向け【知り合いの絵が無断転載や自作発言されているのを見つけたらどうするのがいちばんいいのか】ということについて考えてみた記事。
以前、ゴールデンボンバーさんがSNSでの画像使用について詳しいガイドラインを出したことで話題になったけど、その際に「画像使用のルールを守れていない人を見かけた場合にどうしたらいいか」という点についても言及している。
ルールを守れていない、マナーが悪い方を見かけた際は無視・スルーしてください。
通報・報告のシステムがある場合は、そちらを活用してください。
相手が大切な知人だった場合だけは、やんわりと伝えてあげるくらいがよいと思います。
ゴールデンボンバーオフィシャルサイト
自分自身もこの考え方に同意で、無視・スルー、そしてもし可能ならば転載されている被害者さんにそっと教えてあげるのがいちばん無難なのではないかと考えている。
「そんなこと言われても、無断転載を見つけちゃったのに無視やスルーなんてできないよ! ルール違反だから本人にビシッと言うべきでしょ? なぜ無視やスルーをしなきゃいけないの?」
と感じる人もいるかと思うので、自分の経験をもとに無断転載を第三者が指摘することでこじれてしまう理由と、だったらどうするのがいいのか、ということについて自分なりに考えてみた。
なぜ無視・スルーが推奨されているのか
「フォロワーさんの絵が無断転載されてる!」と思うとつい正義感で注意したくなってしまうかもしれない。自分もその気持ちが分かる。
でもゴールデンボンバーさんも言っているように、どうして無視・スルーしたほうがいいのか。自分が転載されていやな思いをした経験をもとに、その理由について書く。
絵を描いた本人にとばっちりが行く
フォロワーさんが、私の絵(オリジナル)をTwitterのアイコンにしていたことがあった。
そしてそのアイコンで堂々と私にリプライしてきていたので、本人はたぶん「これは無断転載で著作権法に触れている」という意識はなかったんだと思う。
自分も当時はプロフィールに【無断転載禁止】みたいな注意書きも書いていなかった。「無断転載禁止なんて言うまでもなく当たり前のことだから、いまさらプロフィールに書かなくてもみんな分かっているだろう」と甘く考えていたから。
「知らなくてアイコンにしちゃっているんだろう。私も書いてなかったから悪いな。でもいつかそれは転載だって気づいてくれるといいんだけど……タイミングが合ったときにでも、やんわり言おう」と様子を見ていた。
ところが別のフォロワーさんが、「それ別の人の絵ですよね? 許可を取りましたか? 許可を取っていないならそれは犯罪ですよ!」とケンカ腰から入って糾弾し始めてしまい、まわりもヒートアップして、一対多勢の言い合いになってしまった。
そうすると、売り言葉に買い言葉というか、窮鼠猫を噛むというか、転載していた人もつい反発して「これは転載だっていう証拠はあるんですか? 犯罪者扱いは名誉毀損ですよ!」と、戦争がおっぱじまってしまったのだ。
自分の絵が原因で言い合いが起こるのは、当然ながら気持ちいいことではない。「転載しないでね」の旨をきちんとプロフィールに書いていなかったし、気づいていて様子見していたからなおさらだった。
さらにTogetterにまとめられてしまい、「あの人の絵が転載されて、転載した人にキレたらしいよ」「注意書きをしていない絵描きの方が悪いだろ」「Twitterに上げてるくせに転載くらいでゴチャゴチャ言うな、だから絵描きってウザいんだよ」みたいに私まで攻撃されてしまって、相当いやな思いをした。確かに注意書きはしていなかったけど、私がキレたわけではないのに……。
弱小絵描きの自分でさえこんなにたいへんなのだから、大手の絵描きさんや芸能人の方の場合もっと大きな諍いになるだろうし、イメージダウンにもつながりかねない。
それは転載ではなくて誤解かもしれない
自分も今までネットで「それ転載ですよね!」「は? 違うし!」というイザコザを星の数ほど見てきたけれど、中には本当にただの誤解だったケースもいくつかあった。
- 描いた人が「この画像はフリー素材です」と明記していた
- 描いた人と転載ヤーが友達で、本当に許可を得て使用していた
- ただ絵柄が似てるだけで転載ではなかった
- (描いた人も把握していて、敢えて様子見をしている・黙認をしている)
「それ転載ですよね! 犯罪ですよ!」と突っかかっていったはいいけど誤解だったので引っ込みがつかなくて「あなたがまぎらわしいことをしているから悪いんですよ! そうならそうってちゃんと書いておくべき!」みたいにカッコ悪いことになってしまうケース。
カッコ悪いだけならいいけど、犯罪者呼ばわりをして逆に訴えられても文句は言えない。
著作権はもともと親告罪である
ちょっと前に話題になったので詳しくご存知の人も多いと思うけど、著作権というのはもともと親告罪。ざっくり言うと、権利を持つ人が訴えなければ裁判にならない。
※2018年12月30日から非親告罪化の規定が施行されたけど、これは大きなコンテンツの権利が侵害されるとか多額のお金が絡む場合とかそういうケースに限られる。
今だって、たとえばTwitterで自分のイラストを転載されたとして、申し立てができるのは著作者本人のみ。自分の権利をどこまで行使するかは本人の考え方次第だし、本人しか決められないこと。
ご本人にそっと報告する(伝える)のがいいかも
「それ○○さんの絵ですよね!? 転載は泥棒ですよ!」「○○さんの絵が転載されてます! 早く対処したほうがいいですよ!」みたいにTwitterで騒ぎになってしまうと、絵描き本人の負担が大きくなってしまう。
ただ、転載ヤーが転載によって利益を出してるとか、自作発言などをしていてイメージダウンにつながりそうだとか、大ごとになりそうな場合、「著作者の権利を守ってあげたい」と思ったらまずは"そっと"ご本人に伝えてあげるのがいいのかなあと思う。
※あくまでも、自分は経験上こう考えているということです。
「誰々さん(@xxxxxxxx)のイラストを無断転載しているアカウント(@△△△)を見つけました。みんなでTwitterに通報しよう!」というのもたまに見る。正義感なのだろうとは思う。
けど、これって第三者に権利があることではないので、通報を呼びかけるかどうかはご本人の判断とし、もしご本人から「通報に協力してください」とお願いされたならば、自分はそのときにせいいっぱい通報やRTなどで協力することにしている。
「友人が転載をしていた場合」も、なるべくそっと教えてあげる
「友人がTwitterで他人の絵を転載していた、勝手にアイコンにしていた」などの場合も、注意するかどうかは難しいところがある。
上で書いてきたように、「それって無断転載だよね!?」と言うのは相手にとってみれば「突然泥棒扱いされた」ということに等しい。(まあ泥棒は泥棒なんだけど)
そうすると当然、うまくやってきた友人関係もギクシャクしてしまう。
ゴールデンボンバーさんの言う「相手が大切な知人だった場合だけは、やんわりと伝えてあげるくらいがよいと思います。」というのは、「たとえ自分が恨みを買って関係がギクシャクしようとも相手のために言っておいてあげたいなら、なるべく言葉を選んでやんわりと伝えてあげてもいいかもね」ということなのかな、と思う。
やんわりと、と言ってもなかなか難しいので、無断転載に関する記事をTwitterで共有して「えー、これ私もやっちゃったことあるわ、気をつけようっと……」などと言及するとか、かな……。(それでも「ひどい! あてこすりを言われた! 友達だと思っていたのにショック」とか言われて亀裂が入ることもある)
「別の人の権利なのだ」ということを踏まえた対応をするといいのかも
「本来これはやったらダメなのにやっている」という人を見ると、どうしてもヒートアップしてキツイ言葉で糾弾してしまい、こじれがちになる。自分の権利を守るためならそれも致し方ないのかもしれない。
けど、他の人に権利があるものの場合は、「著作権は本来描いた本人だけのものであり、自分の権利をどうするか決めるのは本人なんだよな」と自分は考えるようにしている。過去の経験から。
あくまでも自分個人の印象だけど、無断転載を糾弾するケンカの中には「悪いやつを見つけたからみんなでとことん攻撃してやろう!」みたいなうっぷんばらしに感じるようなものも無くはない。
自分の巻き込まれたケースでもそうだった。「悪者」を思いっきり糾弾した第三者の人たちはスッキリしたのかもしれないけど、絵を描いた本人である自分は関係ない人に叩かれ、モヤモヤが残ってしまった。それが尾を引いたのもあって、今では絵を投稿するのは全て非公開アカウントにしている。
あれ以来、何か権利を侵害されている人を見かけたとき、自分は「これは描いた人本人に権利のある話。権利者でもない第三者の自分が、どこまで出て行くべきなんだろう?」というふうに考えてみることにしている。
最後に、正当に許可をもらって他人の絵をアイコンなどにする場合、
「この絵は○○さん(@xxxxxx)にお願いして描いてもらったものです」
「○○さん(@xxxxxx)がフリーアイコンとして配布してくれているものです」
などとプロフィールに一言書いておけば、理不尽なケンカをふっかけられなくてすむかもしれません。