好印象を与えて顔を覚えてもらうには、どんな似顔絵が効果的なのか?

ネットで活動するために、自分の似顔絵をアイコンにして顔を覚えてもらいたい。親しみを持って好印象を抱いてもらうには、どんな似顔絵がいいだろう?

と悩んでいる人向け【見る人に良い印象を与えることができて、顔を覚えてもらいやすい似顔絵とは?】と、似顔絵を描く絵描きの立場から考えてみた記事。

YouTubeやブログ、Twitterなどネット上で活動する上で顔出しをしない場合、アイコンやアバターを本人の似顔絵にすることも多いと思う。

また、会社の名刺に似顔絵を入れるような工夫をしているところもある。

似顔絵を使う主な目的は「顔を覚えてもらって、好感や親しみを持ってもらうため」。

自分も似顔絵を描く絵描きであり、少しだけ仕事としてお金をもらって似顔絵を描く経験をしているので、「親しみを持ってもらうため、顔を覚えてもらうためにはどんな似顔絵が効果的なのか」については長らく考えてきた。

見栄えの良さとか絵自体の巧さよりも、似顔絵にはもっと大切な要素があるのではないかと思い至ったので、それについて書いてみる。

似顔絵は「顔を覚えてもらい、親しみを持ってもらうため」

まず、なぜアイコンや名刺で似顔絵を使うかというと、主にビジネスの場合は「顔を覚えてもらって親しみを持ってもらうため」だと思う。

「そんなの当たり前だろ」と思うだろうけど、その目的をつい忘れがちで、つい見栄えが良いだけの似顔絵を求めてしまう方も多いように自分は感じていた。もちろんその方がお金を払って描いてもらうことなので、その方の好みで選べば良いのだけど。

ただ、「見栄えの良さや体裁の良さだけにこだわると似顔絵の意味がないな」ということを身近に感じた例があった。

先日敷地内の手入れをお願いした業者の社員全員が、見栄えのいい、体裁のいい、おそろいの似顔絵入り名刺を持っていた。のだけど、描き分けがほぼ髪型とかハチマキのみ。(表情も営業スマイルでおそろいだった。)全く顔と名前が一致しないまま終わった。

キャラの描き分けができていない「ハンコ絵」と揶揄する言葉があるけど、似顔絵の場合いくら見栄えが良かろうがハンコ絵は致命的であり、似顔絵の意味を成さなくなるのだと感じた。社員全員分の似顔絵を発注したぶん、お金もかかったでしょうに……。

では、どんな似顔絵だと顔を覚えてもらいやすいのか。

そもそも、他人の顔と名前は一致しにくいもの

人が人の顔に印象を抱いたり覚えるためには、当然ながら脳がはたらくことになる。

では、脳はどういう仕組みで人の顔を覚えるのか。

脳は、顔を覚える場所と名前を覚える場所が違う

これは有名な話だけど、人の顔を覚えるのと名前を覚えるのはそれぞれ脳の別々の箇所で行われる。

人の顔を覚えるのは脳の【紡錘状回】という場所。

一方、名前を覚えるのは【左脳側頭葉】という場所。

そのため「顔は覚えてるのに名前が出てこない」ということは、ひんぱんに起こる。

たとえるならば、違う部署でそれぞれ名前のデータと顔のデータを管理していて、思い出すにはこの二つの部署がデータを持ち寄って照合・一致させる必要があるからだ。

脳の処理のキャパ的に顔と名前が一致するのは80〜250人分程度だそうなので、当然、たくさんの人に出会えば出会うほど「顔は覚えているのに名前が出てこない」ということは増えていく。

だから年をとって「顔は浮かんでくるのに名前が出てこない……」というのが多くなっても、それは衰えのせいばかりではない。

では、どうやったら顔と名前を一致させて覚えてもらえるのだろうか。

驚きや意外性のエピソードで扁桃体を刺激すると覚えやすい

人間は忘れる生き物であり、まず「どうでもいいこと」「必要のないこと」から先に忘れていく。そうしないと脳にカロリーを使いすぎてしまい、生きていく上で効率が悪いから。

では、どんなことなら忘れにくいかというと、「強く心を動かされたこと」「命に関わるようなこと」。

強い感動(情動)や恐怖などで脳の中の【扁桃体】という部分が刺激されると、「これは大事な記憶だからとっておこう」と【海馬】という部分が判断し、残しておいてくれる。

小須田部長の"いるもの"と"いらないもの"のダンボール箱のように、脳は常に必要なものと不要なものを選別しており、その判断を下す海馬は部下の原田泰造。

顔と名前を一致させて覚えてもらうには、強い感動や恐怖を与えればよい、ということになる。

まあ初対面の相手に恐怖を与えてはダメなので、驚きとか、意外性とか、面白さなど相手の心を動かすようなエピソード、その手段の一つとなり得るのが似顔絵だと言える。

そつのない巧くて見栄えのいい似顔絵も良いのだけど、驚きや意外性、面白さという点では弱い。顔を印象深く覚えてもらいやすいかというと微妙なところ。

どんな似顔絵なら顔を覚えてもらいやすいのか

名刺に似顔絵を入れよう! ということになると、つい張り切って見栄えのいいイラストレーターにお願いしたくなる。

ただ、名刺用の似顔絵は一度に大量に請けるので、描くのもほぼジェネレーター的(あらかじめ用意したパーツを福笑いのように組み合わせて作るだけ)の人も多く、そうすると場合によっては、「統一感もあって見栄えはすごくいいのだけど、個性がなくて覚えにくい」いわゆるハンコ絵になりがち。自分が敷地の手入れをお願いした業者さんがこのパターンだった。

良い感じで絵柄に個性のあるもの

自分でも似顔絵を描く者として「こんな似顔絵だったら覚えやすいのでは?」と考えているのは、見る人に引っかかりを持たせるような、絵柄に個性のあるもの。

センスの良いアーティストやクリエイターのSNSなどを見ると、やっぱり顔を覚えやすく親しみが持てる、センスの良い似顔絵アイコンだったりする。

自分が「この似顔絵良いな」と感じるのは、アーティストのキュウソネコカミさん、ゲーム実況クリエイターの三人称さんなど。

(絵柄にあまり個性のない自分が「センスがあってうらやましい!」と感じているものを挙げています。)

「なんか味のある絵を描く社員」がいればその人に描いてもらう、とかもとてもいいと思う。(必ずきちんとギャラを払ってあげてほしいけど)

家族や子どもが描いた似顔絵

あと、似顔絵描きがどうしても勝てないものがあると思うのだけど、それは「家族(子ども)が描いた似顔絵」。

似ていれば似ていたでさらに良い。でも、たいして似ていなくても全く問題ない。

「この似顔絵お子さんが描いたんですね、今おいくつなんですか? えっ、うちの子も同じ年頃なんですよー!」とか「これ弟さんが描いたんですか? へえー、兄弟仲良しなんですね!」みたいな感じで雑談のきっかけになり、なんなら親しみも持ってもらえて、「家族エピソード」が作れる。(家族でなくても友人とかバンドメンバーとか別れた恋人とかスタッフ仲間とかでもよい。)

そう、上で挙げた【扁桃体】を揺さぶるためのエピソードになってくれる、ということ。

エピソードが作れるということは、つまり記憶に残りやすくなる。

こう書いてしまうとなんだか「覚えてもらうために家族をダシに使う」みたいであざとい感じがするけどそうではなくて、それをきっかけに人と人の間に交流が生まれ、相手がなんらかの物語性を感じることで記憶に残るという話です。

親しい人に似顔絵を描いてもらうことの、もう一つのメリット

家族とか友人か親しい間柄の人に似顔絵を描いてもらうメリットはもう一つあって、自分はそれが最強だと思っている。

親しい相手に描いてもらうと、たとえ絵はそんなに巧くなくても、その人の性格や雰囲気、よくやる表情などまで知り尽くしているため、それがなんとも良い感じで似顔絵ににじみ出るということがある。

当然ながら、プロの似顔絵描きである赤の他人が写真だけを渡されて写真だけの情報で似顔絵を描くよりか、格段に情報量の多い、その人のコアをとらえて表した似顔絵になる。

やっぱり、そっちの方が伝わるものが多く、良い絵になるに決まっている。

(さらに言うと、なまじっか絵が小上手い人よりもあんまり絵を描き慣れていないような人の方がコアをとらえたいい似顔絵を描いたりする。)

これも赤の他人の似顔絵描きにとって、到底かなわない部分です。

ネットでも似顔絵が依頼できる

似顔絵を描いてもらいたいけどまわりに絵を描ける知り合いがいない、という場合は、有料でネットで依頼することもできる。(もちろん、知り合いに描いてもらう場合でもきっちりお金を払ってあげてほしい)

たとえば『ココナラ』のイラスト・漫画カテゴリにはいろいろなタイプの絵柄のクリエイターさんが登録されているので、好みの絵柄を探しやすい。

※「サービスを探す」>「イラスト・漫画」>「似顔絵作成」

見栄えのいい巧いクリエイターさんを選ぶのもいいけど、「顔を覚えてもらうこと」を第一に考えるのであれば一風変わった絵柄をチョイスするのも一つの手かな、という気がする。

ココナラで似顔絵を描いてもらう

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