二次創作に「オリジナルでやれ」と言ったり言われたりして気がついた

この二次創作、原作の設定全く無視じゃん。もうオリジナルでやれよ。私は原作の世界観をしっかり守って二次創作しているのに……

とモヤモヤしてしまう人向け【自分も「オリジナルでやれ」って思ったり言われたりして気がついたけど、結局はどちらも二次創作なんだよな……】という記事。

二次創作の作品を批判する「オリジナルでやれ」という言葉がある。

文字通り「原作にない要素が強すぎて原型とどめてないじゃん。いっそもうオリジナルでやれば?」みたいな意味合いだと思う。

自分も以前は「パロディものは一切読みません、無理!」「オリジナルキャラとかただの自己満足!」みたいな考えの頃もあった。

しかし、二次創作をしない第三者から「違いが分からない。私から見ればどっちも同じ二次創作だけど……?」と言われたことで気がついた。そりゃそうである、と。

だったらこれからこういうふうに気をつけていこう、と自分が考えてみたことについて。

「オリジナルでやれ」という批判の真意

まず、「オリジナルでやれ」という言葉は決して「うわーすごく作り込んだ面白い設定ですね! ぜひあなたさまの一次創作として描いてください!」という意味ではない。

たいていの場合は「オリジナル要素が強すぎて、原作を軽視しているようで不愉快です」という意味だと思う。

そこらへんのさじかげんは完全に人によるのでなんとも言えないけど、「オリジナルでやれ」というのはほぼイコール「私の愛する原作やキャラを、二次創作者によって軽視されるのがイヤ」という気持ちなんだろうな、と考えている。

でも、本当にこれってそれぞれの人のさじかげんでしかない。

二次創作してる時点でみんな「オリジナルでやれ」なんだよな……

自分が「オリジナルでやれよ!」とイラッとしたのは、「○○(私の推しキャラ)のクソめんどくさい装備描くのだるいしこの時代の習俗を調べるのめんどいから新刊は学パロにしたwww」と言ってる人に対してだった。

原作の設定や世界観を全部ナシにされて、しかも自分の推しの装備をdisられて(?)、どうにもおもしろくなかった。また普段から「このキャラの顔だけ好き」とか「好きな声優だから履修しただけ」とか「原作の設定とか正直どうでもいいし興味ない、○△(CP名)がイチャイチャしてればそれでいい」みたいなことを言っている人だったのもあって、よけいに、「じゃあうちのジャンルじゃなくていいだろ! というかオリジナルでやれよ!」とイラッときてしまったのだ。

つい感情的になって、これを二次創作をしない友人に愚痴ったところ、

「うーん……怒る理由がイマイチ分からない。だってあなたも二次創作してるじゃん。原作にないことを描いてるでしょ? どう違うと思う? 私から見ればどっちも『オリジナルでやればいいじゃん?』なんだけど……」

と言われてしまった。(イヤミやあてこすりとかではなく、淡々と素朴に疑問を呈された)

ぜんぜん違ーう! 一緒にしないでくれ! とそのときは猛反発したけど、後からじわじわと「そうか、外部から見れば同じことなんだよな……」と効いてきた。

それぞれのさじかげんの違いであって、少なからず二次創作ってそういう側面あるよな……。

その人が原作を軽視しているかどうかなんて、他人が判断できることじゃないし。

「自分の性癖は誰かの地雷」なんて言葉も聞いたことがある気がするし。

自分が描いた二次創作が、他の誰かに「なにこれ! 原作を軽視していてイヤな感じ!」と思われている可能性だってじゅうぶんあるわけだし。

勝手な自分の基準を作って、勝手にイライラしていたな……しかも広い視点で見れば同じ穴にいる者同士なんだよな……と気づいたら、批判の気持ちはしぼんでしまった。

二次創作をする上で気をつけるようになったこと

つまり二次創作って個人のさじかげんによるものが大きくて、たとえ他者のやり方に反感をおぼえることがあったとて「二次創作をしているもの同士、お互い様」としか言えないんじゃないか……と考えるようになった。

自分はそう考えてある程度は開き直り、そしてその分気をつけるようにもなった。

できる限り言葉を選ぶようにした

もし学パロを描くにしても、「クソめんどくさい装備描くのだるいから新刊は学パロにしたwww」みたいな言い方はしないように気をつけるようになった。もともとしてないけど。

批判されたくないあまりに慇懃無礼になる必要もないとは思うけど、できる限りで言葉を選ぶようにしている。

注意書きをしておくようにした

あとは「これってオリジナル要素があるから、知らずに読んだら人によっては違和感を感じるかも」というときは、おもに自分の不安を和らげるために、キャプションに注意書きをしている。

※二次創作は原作にないことを描いているわけだからすべて「オリジナル要素」なのだし、どこからがアウトなのかも人によって違う。どこからがどう、と線を引けるものではないし、自分のさじかげんで判断するしかないのだけど。

たとえば、自分の場合、「※オリキャラ(モブのクラスメイト)が一瞬出てきます」とか、「原作では描写のなかった大会について創作、言及しています」みたいな注意書きをしたことがある。

あとは、パロディを描く人ならば、

「※これはマフィアパロです。舞台は原作と全く関係のない○年代のヨーロッパです」

などと書いておくことで、パロが苦手な人には「ああ、それなら読まなくていいや」と回避してもらえるし、逆に「やった! オリキャラが出てくる作品って好きなんだよね!」「マフィアパロ大好物! このキャラで読めるの嬉しい!」という人にとっては助かるし。

苦手なものがうっかり知らずに口に入るから「うわー!」っとなるわけなので、原材料を書いてワンクッション置いておけばそういう事故は起こりにくい。

けど、逆に言うと、注意書き以上の配慮をすることは難しいということでもある。

Twitterは非公開アカウントにした

「二次創作とはなんぞや」みたいな思考の迷宮に入ってしまったため、ずいぶん前からTwitterの二次創作アカウントは非公開設定にしている。

あんなにイラっときた「クソめんどくさい装備描くのだるいから新刊は学パロにしたwww」みたいなことを自分も知らず知らずのうちにやっているのかもしれない……と気づいてから、二次創作に対する迷いが増して、それにつれて熱量が減った。自分の創作傾向を了承してくれている人にだけ見てもらおう、と考えるようになった。

いにしえのオタクゆえ、もともとたくさんの人が見る場所で二次創作を公開することに不安があったというのもある。

二次創作をする上で原作と原作のファンを尊重したい

原作に自分のオリジナル要素を入れて二次的なものを生み出すのが二次創作であり、そのオリジナル要素が大さじ1杯なのかカップ1杯なのかは人による。基準がない。

自分が言うにせよ言われるにせよ「オリジナルでやれ」は出口のない批判になってしまう。遠ーくまで飛んでも、結局は最後、自分に帰ってくる言葉だった。

二次創作をしない第三者から素朴な疑問を呈されたことで、考える機会になってよかったと思う。

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