
「長いことイラストの練習をしてるのに上手くなってる気がしない」
「毎日絵を描いてるけど、このまま練習していて本当に上達するのかな?」
と不安になっている人向け【こんな練習法は上手くなりにくいかも】という記事。
自分は小さい頃から長いこと絵を描いてきた。
悩んで美大から逃げたり「イラストは一生趣味のままでやるんだ!」と同人活動をしたりと遠回りを繰り返した結果、デザインの仕事や似顔絵の仕事をやらせてもらい、今に至る。
振り返って思うのは「自分の絵の練習はムダが多かったな」ということだ。
「こんな練習をすると絵が上手くなりますよ!」ということは講師でもない私には分からないし言えないけど、「こんな練習をしていると上手くなりませんよ!」ということなら自信を持って言える。
私のように遠回りをしないよう、自分の練習方法を見直すきっかけにしてもらえたらと思う。
絵が上手くなりにくい練習方法
手癖で量産は上手くならない
「毎日たくさん描くぞ!」と同じ角度でバストアップだけ描いても、紙と時間のロスのほうが大きい。
手癖で量産はなぜダメかというと、
- 描けるものしか描かない
- 一時的に楽しいけど飽きやすい
- たくさん量を描いていることへの慢心
- 上達の手ごたえがなく不安になりやすい
- かわりばえがせず、見る方も飽きるのでいいねがつかない
特に"毎日たくさん描いてる=がんばってる"という気になってしまうのが最大のダメポイント。
がんばってるのに、上手くならない……
がんばってるのに、いいねがつかない……
という感じで、労力のわりに報われないのでだんだんイヤになってしまう。
〈改善方法〉
描けないものを意識して、積極的に描くこと。
例)マンガを描く、二次創作をする
ノープランで描くと上手くならない
なんとなく描き始めてなんとなくできあがり、SNSにアップするところでキャプションに困る……というのはただの落書きになりがち。
ノープランでなんとなく描いていると、
- 自分の欠点を無意識で避けてしまう
- イラストの仕上がりにムラができ、安定しない
- 何が言いたいか分からないイラストなので、いいねがつかない
描くのが苦手なパーツをごまかしたりして欠点と向き合わないので、いつまでも絵に自信がつかず不安感がつきまとう。
例えば、手を描くのが苦手だからって、手を描かなくていいようなポーズばっかり描くと、"自分は描けないものをごまかしてる"という意識があるので人から褒められても喜べない。
〈改善方法〉
テーマを意識して描く練習をする。
例)お題サイトを利用する
一枚の絵を完成させない練習では上達しない
下書きだけでやめたり、マンガならネームを切って終わりにしちゃったりして、「飽きたw」とか言ってSNSにアップする。
線が多いと脳がごまかされて上手く見えやすいので、自分では上手く描けているつもりになってしまうことが最大の問題。
上手く描けたかどうかは、ペン入れまでしないと自分では分かりにくいのだ。
下書き量産がダメなのは、
- 自分には自分の絵が上手く見えるので、そこで止まってしまう
- 「上手く描けてるのにいいねがつかない!」とモヤモヤ
自分では上手く描けている気になっているから、まわりからの反応が薄いことに不満を抱く。
「自分では上手くかけてると思うのに、いいねが少ない! なんで?」という場合、たいていこのパターンのことが多いような気がする。
初心者に毛が生えたくらいのときによく起こりがち。
〈改善方法〉
ペン入れまで終わらせるなど、最後まで完成させるクセをつける。
資料を見ないで描いても上達しない
「絵が上手い人は何も見ないで描くのが当たり前」みたいな誤解をして、資料も集めずに描くのは手癖で描いているのと同じ。
- 想像やごまかしになる
- 作品に説得力が薄く、引き込まれないのでいいねがつかない
絵が上手い人ほど、資料はしっかり集めてしっかり見ている。
〈改善方法〉
描けるものでも資料を集めるクセをつける。
見ないで描けるくらいに描き慣れたものでも、資料は随時更新して参考にし続ける。
※ただし、ネットで集めた写真などは著作権があるのでそのまま作品に使わないこと。
自分の世界だけ描いても上達しない
「自分はオリジナルだけ描きたいから」「自分の世界を大事にしたい、他の作品に影響されたくない」と頑なにインプットしない人がいる。
これだと……
- センスが磨けない
- 描きたいものも枯渇する
- 絵に古臭さがただよい(オバ絵)、いいねがつかない
自分の世界を描きたい、というのは悪いことではないけど、「私の描きたいものなんて、もう誰かがとっくに描いてるよな」ということくらいは分かっておいた方がいい。
〈改善方法〉
積極的なインプットをすることでセンスを磨く。
理由をつけて練習方法のより好みをすると上達しない
「上達のためにデッサンやるといいよ」→「私が描きたいのはマンガだし、デッサン関係ないから」
「模写するといいよ」→「それは効果ないってネットに書いてあったからやりたくない」
など、理由をつけて練習方法をより好みしていると上達しない。
他にもこんな弊害が。
- プライドだけ高くなり、自分のヘボさから目を逸らす
- 愚痴やマウントが増え、敬遠されていいねがつかない
〈改善方法〉
自分の絵が大したことないと認め、一つの練習方法を信じて素直に取り組んでみる
例)クロッキー、クイックスケッチ、デッサン、模写など
クイックスケッチではこの本がおすすめ。
くだらないプライドや慢心のせいでロスをするのはバカらしい。
どれも、私が今までやってきた間違った練習方法、間違った考え方だ。
絵が上手くならないだけでなく、まわりからも評価されないので二重の苦しみがある。
また、間違った練習法というのは技術的なものというよりほぼメンタルの問題なので、気付きさえすればすぐにでも改善できることばかり。
私は間違った練習で時間をロスし続け、絵を仕事にするまで20年という回り道をした。
もし、例えば高校生のときに気づいていれば、もっともっと早く絵を仕事にしていただろうし、「どうせ私はセンスも才能もないんだ」と長いこと暗黒時代を送ることもなかっただろう。
こんなにひねくれた性格にもならなかったかもしれない。
ただ、"上手くならない練習方法"をたくさんしてきたおかげでこうやってブログに書くことはできたので、ムダではなかった(と思いたい。)
なのでぜひどうか私の失敗体験を参考に、効率的に絵が上手くなってほしいと思う。
ちょっとだけ謙虚になるだけで、あっという間に上達への道が開けるはずなので。