"デッサンやりたくないな…"でも必須。その理由と挫折しないやり方

「アニメやマンガが好きで自分でも模写して描いたりするけど、イマイチ自分の絵に満足がいかない。やっぱりデッサンやらなきゃダメ?」

「自分の絵がなんとなく下手……デッサンも狂っている気がするけど、デッサンは苦手だからしたくないな……」

という人向けに、【デッサンで画力の底上げをする必要性】についてまとめている。

特に二次創作やデフォルメ絵から入った人は、画力の伸び悩みで悩むことが多いと思う。

当たり前なんだけど、自分の表現したいことを思い通りに描くためには、アニメ絵やマンガ絵の練習だけだと厳しい。

そこでデッサンなのだけど、でも「えーデッサンやだな」という人も多い。

そんな嫌わなくても……みんなデッサンのこと誤解してるんじゃない? 気さくでいいやつだよ?

ということで、【画力を上げるにはデッサンが必須。デッサンこわくないよ】ということについて書いている。

※ここでは便宜上、デッサン=リアルな人間を見て描くこと、としている。

ライフドローイング(現実から学ぶ)が大切な理由

「マンガ家になるにはデッサンなんて本当に必要なの?(したくないんだけど……)」

「絶対にデッサンしなきゃ絵が上手くなれないの?(したくないんだけど……)」

みたいな疑問を目にする。

そりゃリアルな人体を描くより好きなキャラを描いている方が楽しいよね……ほんと分かる。そりゃそうだよ。

でも、こんな人はいないだろうか。

こんなポーズを描きたい、こんなシーンを描きたい→人間の体がどうなってるのかを分かっていないから、思った通り描けない→絵を描くの楽しくないな……

そこでデッサン(リアルな人間を描く練習)をすると、自分が思い描いた通りのポーズやシーンを描けるようになり、絵描くの楽しいよ〜! もっと描くぞ! 楽しいよ〜! ってなるよってこと。

誤解している人が多い気がするけど、

上手い絵を描くためにデッサンをするわけじゃなくて、自分が楽しく描くためにするのだ。

マンガ絵だけを教科書にしていると起こる弊害

例えばマンガの絵は、当然リアルな人体を描いていない。

ゆるかわみたいな絵でも、どんなにリアルっぽい絵でも、作者のフィルターを通していったんデフォルメされている。

デフォルメというのは"変形"という意味で、つまり正確ではないということ。どんなにたくさん真似して描いても、それ以上画力は上がることはない。

例えば『鬼滅の刃』の吾峠呼世晴先生の描く"耳"や"指(MP関節・基節骨)"は、独特のデフォルメ(変形)がされていて個性がある。

"現実"が吾峠先生のフィルターを通すことで"吾峠タッチ"になり、"吾峠ワールド"を作り上げていて、それがマンガという表現方法の面白さでもあるだろう。

でもあなたは吾峠先生ではないので、吾峠タッチを真似しても意味がないし画力も上がらない

まちがった人体を覚えて、それが手癖になってしまうという弊害もある。

まずはリアルな人間をデッサンすることで正しい造形をつかみ、そこから自分なりのデフォルメ(変形)を生み出していくことが【画力】なのだ。

家でもできるデッサンの練習方法

デッサンというと「なんだか難しそうだし、上手くできなそう……どうやったらいいの?」と感じると思う。

難しく考えなくても、デッサンというのは"ライフドローイング"、つまり他人にデフォルメされる前の"現実"を描いて学ぶということ。

実物のモデルを目の前に置いて描くのがいちばんいいと言われるけど、それもなかなか難しいので、そのへんの写真や映像などでも十分。

デッサンのやり始めは「上手く描けない! 自分は下手くそだなあ……」となってどうしてもテンションもモチベーションも下がるんだけど、

だからデッサンって敬遠されがちなんだけど、

デッサンだから下手でいいのだ!!

自分の中で「あっ、脛のカーブってこんな感じなのか」「首って傾いてるんだな」みたいな発見を積み重ねていくためなので。

デッサンで上手い絵を目指さなくていい。

そこが、多くの人に誤解されている点だと思う。

一日一枚、写真を見て描く

いちばんやりやすくて続けやすいのは、

SNSやネットで適当に、"なるべく全身が写っていて、体がわかりやすい写真"を拾っておいて、描く。

※ただし肖像権や著作権に触れるので、描いたものはネットにあげちゃダメよ。

何時間もがっつりデッサンをやるとしんどいので、「一日一枚だけ」などと負担にならないノルマを決めるといい。

好きなタレントがTwitterにアップした写真とかだとモチベーションも上がる。

描いた後は記録のためにとっておいてもいいけど、どんどん捨てていい。

"練習のために描いたら、あとは捨てる"と決めると、かなり気も楽になる。

これはデッサンとは少し違うけど、江口寿史先生の、"雑誌をゴミに出す前に5分くらいでスケッチをする"というのが話題になったことがある。

江口先生は「練習だから失敗してもいい」ので、鉛筆ではなくゲルボールペン(ユニボールシグノの0.38)を使って描いているそうだ。

テレビ番組を一時停止しながら描く

テレビをよく見る人なら、録画してあるテレビ番組やネット配信番組を一時停止しながら描いてもいい。

バラエティみたいな全身がうつりやすくて自然な動きのあるものとか、アクションの多いドラマでもいい。

"一日一話ずつ楽しみに観てるんだよね〜"みたいな海外ドラマがあれば、その中で一回だけ一時停止して描いてみるとか。

以前、「センスを磨くには流行りの作品にばんばん触れるのがいい」という記事を書いたけど、

Amazonプライム・ビデオで新着の作品をチェックしつつ、ついでにデッサンもやるかぁー、みたいな感じでもいい。

スケッチ本を見て描く

中級者や"ちょっと本気でがんばってみたい人"におすすめなのが、『コンセプトアーティストのための人体ドローイング』という書籍だ。

スケッチ本というのはたくさんあるけど、この本は"モデルさんの写真"と"それを超絶上手い人がデッサンしたもの"の両方が載っているという点がいいと思う。

写真のモデルさんは筋肉美で、筋肉の動きもとてもよく分かるし、その写真をプロはどんなふうにスケッチしていくのか、というのも掲載されている。

筋肉のない薄っぺらい体をいくら描いても意味がなく、かと言って参考になるような筋肉の写真もなかなかないので、こういう上質のモデル写真がある書籍はとても貴重。

スケッチ本全般のいいところは、「俺はこのレベルを目指すんだぞ〜!!」みたいになってモチベーションも上がるところではないだろうか。

デッサンは下味みたいなもの

デッサンをしたら次の日急に目に見えて画力が上がるか、というとそうではない。

でも確実に画力の底上げになっている。

実際の人体を描いた後でマンガ絵を描くと、「ここをこういうふうに省略した表現だったのか」というのが分かったりするし、「自分だったらもっとこう描いてみよう」というように創造力も湧いてくる。

言わばデッサンは下味みたいなもので、

下味がついてなければ、どんなにきれいに衣をつけてどんなに上手く揚げても、絶対に、全然美味しくない。

「デッサンできてなくてもぱっと見上手い絵」というのもある。

でもそれは、味のしない唐揚げに、ソフトのエフェクトやら塗りのテクやらオシャレロゴやらの、味の濃いソースをいろいろかけて味をごまかしているだけ。(「あっ、あの人の絵がそんな感じ……」とか思い当たるでしょ?)

ちょっと味わえばわかってしまう。

逆に言えば、ソフトのエフェクトや塗り技術がなくても、デッサンという下味さえついていればそれだけで「これ上手いな!」と感じさせる絵になる。

デッサンは「地味でめんどくさい」「こんな作業つまらない」「役に立つの?」となりがちだけど、下味をつけている気持ちで、試しにやってみてほしいと思う。

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