じっくり観察しながら似顔絵描いてるのに全然似ない。むしろ見れば見るほど似なくなってる気がする。どうやって描いたら似せられるんだろう?
とこんがらがっている人向け、【じっくり観察しすぎるとむしろゲシュタルト崩壊を起こすのでは? と思ったので、10秒ずつ観察して描いてみました】という記事。
「よく見て描きましょう」って、小学校の図工の時間にも言われたんじゃないだろうか。
しかし、草花や昆虫みたいな規則性のあるものを描くときはじっくり観察しても混乱しないのだけど、人の顔はとても複雑なので見れば見るほど分からなくなってしまう。よく言う【ゲシュタルト崩壊】が起こるのだと思う。
自分は一時期だけ仕事で似顔絵を描いていたことがあるのだけど、限られた時間内に初対面の知らない人の顔をパッと描くというのは比較的うまくやれていた。
しかし、趣味で描いている推しの似顔絵となると、これが全然似ない。
思い入れがある推しだからじっくり観察して時間をかけてじっくり描いているのに……。なんなら仕事よりも気合いが入っているはずなのに……。
そこで「似顔絵って、そんなにじっくり観察してはダメなのでは?」と感じたので、それについて書きます。
10秒だけ見て描いてみる
【ゲシュタルト崩壊】というのは、同じものをじっと見ることで全体がとらえられなくなる現象。
全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象。
Wikipedia-ゲシュタルト崩壊
似顔絵を描く場合で置き換えると、「目や鼻、口をバラバラに認識してしまうため、顔全体が分からなくなってしまう」という感じか。
似顔絵が似ているかどうかは目や鼻などそれぞれのパーツではなく、その配置によるものが大きい。だから観察しすぎてしまうと、出来上がった似顔絵も「目元はそっくりだけど全体で見ると似てない」「なんとなく似てるけど全体を見るとなんか違う」みたいなことになる。
対象物を見慣れてしまう前に観察を切り上げれば、形をとらえやすくなるのでは。
と思ったので、そのときたまたまテレビに写っていた土田さんを描いてみた。
10秒くらいずつ区切って実験してみた
- ゆっくり10数えながら写真をじっくりと見て、まずは頭に残った特徴だけで描いてみた。パーツ(目、まゆ、鼻、口)くらいしか描けなかった。
- すでに頭に残っている特徴を生かしつつ、次の10秒では対象を見ながら描いてみる。10秒以上かかってもいいけど、1分以上はかけないようにしてみた。
- 二回描いた記憶をもとに、もう10秒見ながら描いた。
2回目から3回目に行く間に「もっと目は鋭いな」「眉はもっと直線かも」「エラが張っている特徴を生かそう」と改善点を見つけている。
再度、見ながら細部を手直し
「特徴がつかめたかな」となったら、写真を見ながらゆっくりと細部を直していく。
ここでは「眉の上がり具合に惑わされたけど、目はタレ気味だな」「土田さんぽい、ニヤリッ、みたいな口元にしよう」みたいな改善点を見つけている。
ここでいじりすぎると元の木阿弥なので、じっくりでも短時間で。
線を拾って完成
線を拾いつつ、微調整。
ここでは「アゴは丸いけどエラはシャープだな」「ニヤリッ、のシワを入れるとそれっぽいかも」という改善点を見つけている。
完成まで15分くらい。
似顔絵を描くときは見すぎないこと
「絵を描くにはじっくり観察しなければいけない」というよく言われるアレは、実は逆なのかもしれない。似顔絵に限らず、デッサンや模写でも。もしかしたら習字やペン字も。
観察は大切だけど、脳がバグる前に切り上げることも必要なように感じた。
じっくり「見比べながら」描くのではなく、
短時間で集中してつかんでから→さっと描く(つかみきれなかったらそれを繰り返す)
のほうが脳のバグりが起こりにくそう。
もしかしたら、じっくり慎重にていねいに作業する人ほど似顔絵が苦手なのではなかろうか。(私が似顔絵を描くのが好きなのは、かなり気が短いからかもしれない)
似顔絵って、意外と瞬発的なものが大事なような気がしてきた。