「似顔絵をネットで依頼したら、資料として写真を送ってくれと言われた。どんな写真を送ればいいのかな?」
と迷っている人向け【自分の場合、似顔絵の資料としては①十分な明るさがあり、はっきり写っているもの②十分な大きさがあり、ぼやけていないもの③できればいろんな角度から の写真があると助かります】という記事。
今は【ココナラ 】などのサービスを使い、ネットで依頼して似顔絵を描いてもらう人も増えてきている。
全く見ず知らずの人に似顔絵を描いてもらうわけだから、当たり前だけど資料として写真を送らなければならない。
似顔絵師さんの中には「なるべく写りの良い写真を送ってください」程度で、具体的に詳しくは注文をつけてこられない方もいるので、「と言われても、どんな写真を送ったらいいんだろう……」と戸惑ってしまうかも?
自分も仕事で似顔絵を描いていたことがあるので、「私の場合は、こういう写真があると描きやすいです」ということについて書きます。
「似顔絵にどんな資料が欲しいか」「なぜそういう写真が欲しいか」って、絵を描かない方には分かりにくいことかもしれないので、この記事で参考になる部分があれば嬉しいです。
似顔絵は、外見だけではなく人柄や性格も表すもの
似顔絵師もプロなので、どんな写真を送っても「まあ、そこそこ似てる似顔絵」を描いてくれる。
でも、どうせならそういう無難な似顔絵ではなくて、「わー、ははは! めっちゃ似てる! すごく私らしさが出ている似顔絵だ!」みたいに、思わず笑顔になってしまうような似顔絵を描いてもらいたい、という人もいると思う。
そのためには、資料として送る写真が重要なポイントになる。
だって自分のことを何も知らない他人(似顔絵を描いてくれる絵描き)に、いちから、自分の外見と中身、両方の魅力を伝える必要があるのだから。
「いやいや、似顔絵だから外見だけ似せてもらえばそれでいいんだけど……」でも良いとは思うけれど、「それだけではものたりない!」という人向けの記事です。似顔絵って、自分の中からにじみ出る性格や気質も大きく反映すると思うので、もっと自分らしさって出せるのではないだろうか。
資料としてどんな写真を送ればいいのか
なるべくくっきり顔が分かるもの
似顔絵描きさんからはたいてい「なるべく解像度が高くて、くっきり顔がわかるものを送ってください」と言われる。「解像度って?」となると思うので、
肌のキメが分かるくらい、くっきり写りの良い写真という基準で選べばよい。
なので、明度も十分明るいもの。影で顔が半分わからないような写真だと、得られる情報量が半分になってしまう。(明るすぎて白飛びをしている写真も情報量が減るのでNGです)
「肌があんまりきれいじゃないから……」と言って白飛びした写真やボケた写真、小さい写真ばかりを送ってこられる方もいるのだけど、こちらは肌質なんて気にしていない。それよりも写真から必要な情報が得られないことのほうが困ってしまう。
お医者さんの前で服を脱ぐような感覚で、開き直っていただけると助かります!
※なぜくっきりした写真が欲しいかというと、デフォルメ似顔絵は「線を拾う」絵だからです。ほんのちょっとの線の拾い方で似てる度が全然変わってきてしまうので、顔の造形がくっきり詳細に見える写真だとありがたいのです。
別の角度のものが複数枚あると助かります
あと「複数枚送ってください」と言う似顔絵描きさんもいる。(自分もそうです)
特に、結婚式のウェルカムボードとかおじいちゃんの長寿祝いみたいな、にじみだす人柄まで描く必要があるような場合には複数枚の写真を資料としてお願いしている。
その人らしさというのは、真正面からの一枚きりでは掴めないからだ。また真正面からだけではパーツの形も正確につかめないし、髪型も分からない。
できればいろいろな表情があるとさらに助かります。(詳しくは後述)
真正面顔:ほくろの位置やパーツのバランスを掴むために必要
真正面というのは、実はその人の雰囲気が出にくい角度。証明写真などもそうだけど、堅いというか、個人を識別するための事務的な情報にすぎない。
なので雰囲気を掴むというより、ほくろの位置やパーツのバランスを把握するために必要な、最小限の全体の見取り図的なものとしてあると助かります。
特に、一度も実物を見たことがない人を描く場合、この見取り図がないと困ってしまう。
なので、証明写真みたいなあまり盛れていない写真でも大丈夫です。資料と割り切って送っていただいて大丈夫です。
でも真正面顔一枚だけだと圧倒的に情報量が足りなくて似せにくい。
ななめ横顔:顔全体の骨格を掴むために必要 ※超重要
ななめ横から見ると、正面からでは分からなかった鼻の形や頬骨の高さなどの骨格が掴める。これが「その人らしさ」を出すためにはかなり重要になってくる。
また、耳やもみあげ、はえぎわのあたりにもその人の特徴が出る。
刑事さんは指名手配の犯人を見つけるのに、その人の耳を見るのだそうだ。メガネで変装していても、髭を生やして口元が変わっていても、耳を見れば「あいつだ!」となるらしい。それくらい耳はその人の個性が出るパーツなのだ。
横顔〜後ろ姿:髪型に特徴がある場合には特に必要
髪を束ねていたり(ハーフアップやポニーテール、編み込みなど)、刈り上げやツーブロックが入っていたりする場合には横顔、場合によっては後ろ姿の写真もあるとうれしい。
せっかくの特徴であり個性なので、似顔絵に活かしたい部分だから。
自分が以前に女性を描いたとき、正面からの写真だけだったのでショートカットだと思い込んで描いたらポニーテールだったことがあった。
写真の明度が暗めだったこともあるけど、「そんな勘違いあるかよ!?」と自分で自分に驚いたし、「ショートだと思って描いてしまったので描き直させてください」と言ったら「え! そうなんですか!? ポニーテールに描いてくれているように見えてた!」と向こうも驚いていた。「気に入っているから描き直さなくていいですよ」と……。
※こういうこともあるので、十分な明度は本当に大事です。
髪型にこだわりがある人は特に、髪型がしっかり分かるような写真を送ってあげて下さい。
"奇跡の一枚"だけだと似せにくいかもしれないです
写りがいい、いわゆる"奇跡の一枚"を複数枚送ってこられる方もいるのだけど、それだけだとこちらは雰囲気をつかみきれない。イマイチ似ない似顔絵になってしまうかもしれない。
なので盛れてなくても大丈夫、というか、むしろ盛れてなくてもその人らしさが出ているほうが似顔絵の資料としてはありがたい。
最高に盛れてる一枚をイラストにしてもらいたい! と思うのかもしれないけど、それなら似顔絵ではなく、「レタッチソフトで写真の雰囲気をそのままイラスト風に加工してもらう」とかの業者のほうが、その写真を生かせるかもしれない。
レタッチ専門の絵描きさんもいるので、気になる人は【ココナラ 】で「レタッチ 写真」などで検索してみてください。
決め顔以外の「素の顔」もできれば欲しい
あと、自分の「写真に撮られるとき、つい作っちゃう表情」ってあると思う。いわゆる決め顔、決め角度が。
自分も「資料として写真を複数枚送ってください」とお願いするのだけど、決め顔(同じ角度で同じ表情)の写真だけ複数送ってくれるかたがとても多い。
けれど、これでは結局は特徴をつかめないし、魅力も分からない似顔絵になってしまう。
自分は、できれば「決め顔」以外の写真も送っていただけると嬉しい。同じ表情だけだとその人の本当の顔がつかめないし、自分が「盛れてない」と思う写真にこそその人らしさがでているかもしれない。
たとえばこの例だと、「一見いかつく見えるし本人もいかついキャラで通してるけど、笑うと目元も口元もふにゃっとしてかわいらしい」という意外な魅力がわかったりすると、そこを似顔絵に生かすこともできる。
顔出しSNSがあれば、それも資料になります
なんなら、facebookやInstagramなどその人が顔出ししているSNSがあれば、そのアカウントを教えていただくという手もある。
「資料用に写真を送ってください」とお願いしたら「SNSに自分の写真をいろいろ載せてるから、参考になるやつを自由に見てください!」という感じで描かせてもらったことが何度かあるけれど、これはお互い超ラクチンだった。
特に仲間で撮ったスナップ写真や、素のときに誰かが勝手に撮った写真などは、いい具合でイキイキしたその人らしさが出ており、とても参考になる。
逆に、自撮りがほとんどだと決め顔決め角度の似たようなものが多くなるので、いくら枚数が多くてもあまり意味がない。
似顔絵を描いてもらうことで、自分の新たな魅力が発見できるかも
自分の素顔を描かれることに抵抗がある人は、描くがわの体感として、意外と多いように感じている。
似顔絵って、描かれるがわはどうしても構えてしまうのかもしれなくて、「描くならこの顔で描いて!」と武装したくなるというか。だからつい自分の自信のある角度の決め顔写真だけとか、明度が暗くて顔がよくわからないものを送りたくなったりする。
YouTubeチャンネルやSNSのアイコンとかでも、「決め顔写真をイラストにしたんだな……」というような似顔絵はよく見かけるけど、果たしてそういう似顔絵って、ご本人の魅力や人柄が十分に出ているだろうか?
決め顔写真をイラストにしてもらうのはレタッチ屋さんにお任せするとして、似顔絵を描いてもらうのなら絵描きに身を委ねてしまうのもいいのかなあと思う。
自分で「これがいちばん良い」と思っていた決め顔より、もっと自分らしくてイイ表情を見つけてもらえるかもしれない。
それにたぶん「めっちゃ似てる! この似顔絵いいね!」って他の人に言われるような似顔絵って、後者なのではないだろうか。
「自分らしい」似顔絵を描いてもらうために
写真はいろんな角度や表情など、雑多にあればあるほど似顔絵師は助かると思う。私は助かります。
「その人らしさが出ている似顔絵」は印象も強いし、顔も覚えてもらいやすく、好感度も上がる。
決め顔似顔絵もいいけど、もっと素の顔を生かした似顔絵の良さってあるよな……と思ったので、こんな記事を書いてみました。