【動きのある絵が描ける】クイックスケッチで絵を描く喜びを思い出す。

動きのある絵が描けない! 自分の絵のログを見ると全部似たようなポーズになっちゃってる。もっと動きのある絵が描けるようになりたいんだけど、どんな練習をすれば良いのかな……

と悩んでいる人向け【クイックスケッチという練習方法・参考書籍について。難易度によって①生身のモデルを描く②映像をコマ送りで描く③スケッチ本の模写から始める、などのやり方ができると思います】という記事。

自分は同人活動もしていたんだけど、ハマったはいいが描くのに困ったのがバトルものやスポーツアニメだった。本気を出した同ジャンルの精鋭オタクたちと取り組んでいたのが【クイックスケッチ】。

そのときやっていたクイックスケッチの練習法(難易度3段階)と、参考書籍について。

クイックスケッチとは

クイックスケッチはクロッキーともデッサンとも違うアプローチの、基本的には「動いている人を短時間でとらえて描く」という練習法。クロッキーやデッサンが「形をとらえること」を目的としているのに対し、クイックスケッチは「動きをとらえること」を目的としている。

体が動くことでどこに重心がかかり、どんなひねりが加わるか。動きの直前どこの筋肉にどんな「タメ」が働くか、みたいなことを紙の上に表す。

動いているモデルを見て一瞬をとらえて描くというやり方もあるけど、それだと難易度が高いので動きの途中で止まってもらって描くことも。ポーズをとってもらうのではなく、動きの途中で静止してもらう。

難易度順に組むとしたら、こんなやり方ができる。(あくまでも筆者にとっての難易度です)

  1. ワークショップなどで動いているモデルをスケッチする
  2. 映像をコマ送りしながらスケッチする
  3. 書籍のスケッチ集を模写する

ワークショップでモデルをスケッチする

いろいろな意味で難易度は高いけど、ワークショップなどで生身の人間を描くという練習方法がある。写真や映像を見て描くのと生身の人間を実際に目の前で見て描くのでは、やはり情報量が段違い。それゆえに難しく、しかし一回で得られる経験値は高い気がする。

日本では、スポーツアニメのアクション作画監督をされている立中順平氏のワークショップ『たてなか流クイックスケッチ塾』が有名。

たてなか流は「絵を描くことの楽しさを思い出す」ということをコンセプトにしていて、ワークショップにはプロから趣味の人まで参加者の層も幅広い。

※今はご時世的にお休み中だけど、『たてなか流クイックスケッチ塾』のスケジュールはこちら→ボーンデジタルワークショップのお知らせ

ただ、生身の人間が動いているところを描くのって慣れるまでがなかなかにたいへん。

自分も学生時代にやっていたことがあるけど、動いているものなんてうまくとらえられないし、くちゃくちゃっとしたものが描けるだけで「描いたぞ!」という達成感もないし、すごく苦手意識があった。何十年越しでワークショップに参加した(たてなか流ではないけど)ときもやっぱり苦手意識はそのままだった。今でもやれと言われたら「うわー、いやだな……」と思ってしまう。

※人によっては「無理だと思っていたけどやってみると意外と得意だった!」ということもあるので、数回はやってみないと分からないです。あと奢っている自分に喝を入れたい人やモチベ上げをしたい人にとってはいいと思います。

映像をコマ送りしながらスケッチする

生身の動いている人間を描くのがむずかしい……と感じる自分は、もっぱらこちらのやり方です。

これも立中氏が実際に行なっているという手法で、映像をコマ送りで静止しながらスケッチするというもの。重要なのは「静止してポーズを取っている人」を描くのではなく、「一連の動きをコマ送りで静止する」ということ。

これなら止まっているから、私でも描ける!! YouTubeの推しのダンス映像などでも手軽にできるのがなお嬉しい。(この場合は三次元の推しで。アニメをコマ送りしてもアニメの一コマに戻るだけなので人体のクイックスケッチとしてはあまり意味がない)

お気に入りの決め顔決めポーズで静止して描く人はけっこういると思うのだけど、クイックスケッチはそうではなくて、一連の動きをコマ送りで静止して描くというのがポイントになります。ダンス、殺陣、アクション、スポーツ競技など。

書籍のスケッチ集を模写する

初心者のうちは「モデルや映像でクイックスケッチをしてみても動きがとらえられない。止まっていても難しいな……」ということもあると思う。動いているものをとらえるのは難しいし、静止していても三次元(立体物)を二次元(平面)に描き写すことが、慣れていないとそもそも難しい。

自分は中学生のとき美術科進学のために実技を習っていたのだけど、スケッチ集の模写をするという練習をしていた。二次元(平面)に描いてあるものをそのまま二次元(平面)に描き写すことから始める、ということ。これならかなり難易度が下がる。

幸い今はたくさんのスケッチ本やデッサン本があるので、好みの作例のものを選べます。

立中順平『スーパースポーツデッサン』増補改訂版 2018年

立中順平『たてなか流クイックスケッチ』2019年

ロン・ハズバンド『クイックスケッチ』2015年

マイケル・ハンプトン『人体の描き方:躍動感をとらえるアナトミーとデザイン』2016年

※「クイックスケッチ」ではなく「ジェスチャードローイング」という言葉で表現されています。

栗田唯・MAKO『だれでも描けるiPadクイックスケッチ』2019年

※「iPadで」とうたっているけど特にiPadやデジタルでなくても大丈夫です。

絵に疲れたときにやってみると元気になるかも

そもそも絵を描く喜びって「自分の表現したいことを、思い通りに描けた!」ということだと思う。

しかし実際は正確な人体を描くことにとらわれすぎてしまったり、流行りの絵柄に振り回されてしまったりして、「もっと上手く描かなきゃ……でも上手いってなんだ??」みたいに疲弊しがち。

そういうときに「描きたかったポーズが描けたり、表現したかったことが描けたりすると楽しい」に立ち戻ることができたのが、クイックスケッチという手法だった。

好きなスポーツ、アクションシーン、アーティストのライブ映像など、自分が好きなもので練習できるのもいいよね……。何度コマ送りしても飽きないくらい、大好きな題材・描きたいものがあることも重要かもしれません。

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