絵は好きなものを描けば上達する、描けるものだけを描くと行き詰まる

好きなものを描くのは楽しいけど、それだけじゃなかなか絵が上達していない気がする

絵の練習に行き詰まってきたなあ……好きなものばっかり描いていてもイラストって上達しないのでは?

と悩んだので考えてみたら【結局は好きなものを描くのがいちばんいい。ただし描けるものだけを描くと行き詰まる】という結論になった話。

好きなものを描くのは楽しいけど行き詰まってきたなあ……好きなものばっかり描いていてもイラストって上達しないのでは? となんとなく不安になっていた時期があった。

けどそれって好きなものだけを描いていたからじゃなく、描けるものを手癖で描いてしまっていたからだったなと気づいたのでそれについて書く。

「好きなもの」を描くために絵を描いてる

自分は子どもの頃から好きなマンガの絵を描いたりしていたんだけど(今思えばこれが二次創作のめばえ)、好きなキャラの顔だけ描く、描きやすいポーズをなんとなく手癖で描く(手とかは難しいので隠す)、描きやすい衣装だけ描く、しまいには「描きやすいキャラしか好きにならない」みたいな感じだった。これでは絵が上達するわけがない。

中学生の頃、高校の美術科に進学するためにデッサンを習う機会があった。

そこで「あなたは描けるものしか描いてない、描けないものをごまかして描いてる」というようなことを講師の先生に言われた。

そのときは意味が分からなくて「はー? だって花瓶に活けてある木の枝とか描きづらいし描きようがないじゃん!」と反発を抱いただけだった。

しかし30代にしてその言葉をやっと受け止めることができるようになった(遅すぎる)。

趣味で描くにせよ「もっと上手くなりたいときにはここらへんをがんばってみよう」という勘どころは得ることができたので、今さらやっと生かしています。30代にして。中学の頃に教わったことを。

好きなものを描きつつも描けないものにチャレンジする

敢えて描きづらそうな構図やポーズを描いてみる

以前は「推しの絵を描こう!」と思ってカメラロールを見ていて、無意識のうちに描きやすい顔面の角度やポーズの写真を選んでしまっていた。これだと「描けるものしか描いてない」になる。

手を前に出してこちらを指差しているポーズとか、顔はほとんど見えない構図とか、敢えて描きづらそうな写真を選んで描いてみるというのを意識するようになった。

多少描きづらそうでも描くのめんどくさそうでも、推しを描くなら楽しいし、ちょっとがんばれてしまう。中学の頃描かされた木の枝は推しじゃなかったのでがんばれなかったけど。

同じイラストを何度か描いてみる

以前の自分は絵を描いていると「なんか偶然この顔上手く描けた」「よくわからないけどごまかしごまかしでなんとか形にできちゃった」みたいな、まぐれというか奇跡の一枚みたいなことがあった。で、次の絵では多分奇跡が起こらないので、魔法が解けちゃうのでそれが怖くて次を描けない、みたいなこともあった。

これも「描けないものをごまかして描いてる(ごまかせて描けちゃったような気になってる)」なのだと思う。

まぐれの栄光にすがっている時間が無駄すぎてしょうもないと思ったので、今はすかさず魔法を解いていくようにしている。つまりごまかさずしっかりと意識をしながら同じ構図、同じ表情を隣に描いてみる。これも、木の枝じゃなく推しを描くならちょっとがんばれる。

ボールペンで描いてみる

鉛筆やシャープペンシルって線の強弱が出るので、それだけでもなんとなく雰囲気が出て自分の絵が上手く見えてしまいやすいのでは、ということに気づいた。補正がかかるというか、雰囲気イケメンならぬ"雰囲気上手い絵"になってしまうというか、目くらましの効果があるのでは。

また、線をたくさん重ねたり薄く描いたりして、描けない部分をごまかしやすい

これも「描けないものをごまかして描いてる」だと思う。他人をごまかすと言うより、自分をごまかして描けているつもりになっている。

これをやっていると、自分ではなんとなくいい感じに描けてる気がしてしまって良いことないなと思ったので、アナログで描くときは線の強弱が出ないボールペンを使っている。

デジタルで描くときも濃淡や強弱の出ないペンツールで描いている。

このブログでも似顔絵をペンツールで描いています

鉛筆みたいにシャッシャッと線を重ねてごまかせないので、一本一本の線を意識して描けるのが良いと感じる。

描けなかったら後日に再トライする

「このポーズ、ちょっと描いてみたけどうまく描けなそうだからやめちゃった」「やっぱ右向きの顔難しいからやめた。左向きで描こう」みたいなのも日常茶飯事だったけど、これも描けるものしか描かない」だったと思う。

でもどうしても描けない日ってあるし、描けないのにウンウン言ってても苦痛なだけなので、一通り試行錯誤したら数日後の自分に丸投げしていったん忘れてみることにしている。

次の日描いたらスルッと描けることもあれば、さらにもう数日投げることもあるのだけど、意外と未来の自分がなんとかしてくれる。

大切なのはそこで「描けないからイヤ! 自分には無理!」と忘れて切り捨てて無かったことにするのではなく、描けない課題を「いやーこれ、今は"まだ"描けないんすわ!」としつこく持ち続けることなのではないかという気がする。数ヶ月後とか数年後に、知らず知らずのうちに積んできたスキルが功を奏して描けるようになることもあった。

描きたいものがないと難しいのかもしれない

これらは全部「描きたいもの」を描くからこそできることだと思う。

推しじゃなければわざわざ描きづらそうなポーズを描きたいとも思わないし、同じ表情を何度も描きたいとも思わない。ボールペンなどの描きづらい画材で描きたいとも思わないだろう。

花瓶に活けた木の枝を同じように描けと言われたら自分には無理だ。

絵が上手くなるためにもっとも大事なことって、「これを描くためならちょっとがんばれちゃう、みたいなものがある」ということなのかもしれない。

「どうしても描きたいもの」なんて無いなーという時期は自分にもあったけど、それはいろんなものに触れていくことでしか出会えないなというふうに考えています。

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