Twitterとかpixivで、他人の下手なイラストが目に入ってしまうのが苦痛でたまらない……下手な人は絵を投稿しないでほしい!
と思ってしまう絵描きの人向け【どうして他人の下手なイラストで不愉快になってしまう人がいるのかを考えてみた。】という記事。
自分はブログの記事を書くときに、どんなワードで多く検索されているのか(どんな疑問を持って検索してくるのか)というのを調べて構成を作るのだけど「Twitter 下手な絵ウザい」「下手な絵 見たくない」といった検索キーワードがけっこう目につく。
今はSNSでイラストを簡単に投稿できて上手い絵も下手な絵もたくさん流れてくるぶん、「下手な絵を見るのが苦痛」と感じる人が一定数いるんだろうか、ということが推察できる。
自分もSNSに大して上手くない絵を投稿している一人なので「いやー、すまんね!」とも思いつつ、どうして他人の「下手な絵」に、そんなにイライラしてしまうのだろう? と理由をいくつか考えてみた。
※「他人の下手な絵にイラついたこととかないけどな……」という人はこの記事を読む必要はないです!
「他人の下手な絵にイライラしてしまう」その理由
共感性羞恥かも?
まず思いついたのが、【共感性羞恥】。
恥をかいている人を見て、自分とは関係ないのに自分まで恥ずかしくなってしまう現象のこと。
たとえば、アニメなどでキャラが何か失敗をして、それがいつバレて恥をかくのかと思うと見ていられなくて視聴をやめてしまう、みたいなあれ。
絵が下手な人が意気揚々と絵をSNSに投稿しているのを見て、「やめなよやめなよそんな下手な絵を人に見せるなんて恥ずかしい! あーもう見てられない!」と強い羞恥を覚えてしまって、それが不快感につながる、というのがあるのかもしれない。
人の脳って自分と他人が分けられないので、他人の恥を自分の恥のように感じてしまう。
自分の未熟さを見せつけられている気がしてしまうのかも?
下手な絵と言ってもいろいろあるけど、その絵のアラに気づけるから「下手だ」と思えるのだとも言える。ということは自分も絵を描いていて「その下手」を通ってきたか、「その下手」を今何とか克服しようとしているか、ってところなのかもしれない。
だとすると、自分の未熟な部分を見せつけられているようでいたたまれなくて、ソワソワ、イライラしてしまう、ということがあるかも。
自分は小学生の頃、女の子の絵を描くとき苦手な「手」を何とか描かずに済ませようと、手を隠したポーズばっかり描いていた。今、たまにSNSなどでうまいこと手を隠している絵を見かけると「あっ手を隠してるね! 分かりますよ! 手を描くの苦手なんですね!? ふふーんさてはアナタ、いつも手を描いていないでしょう?(ニヤニヤ)」と思ってメディア欄を遡ってしまうことがある。
自分も苦手に思っていることに対しては、どうしても目敏くなってしまう。また、自分の苦手に思っていることを突きつけられるとやはり居心地は悪くなる。私のようにニヤニヤする人ばかりではなく、これがイライラにつながる人もいるのかもしれない。
「昔の自分を見ているようでハラハラ→イライラ」するのかも?
もし自分でも絵を描いている人の場合、初心者の頃まだ下手だった自分を思い出すようでいたたまれない、というのもあるかも。
これは自分がそうなのだけど、小学生の頃、ヘタクソなくせに得意になって絵を描いて友人にあげたりしていて、今思うと顔から火が出るくらい恥ずかしい。何をしてるんだお前(過去の自分)はって。この世の特定の紙だけ全部燃やせる魔法ってないかな!? と本気で思うくらいだった。
それを今リアルタイムで、目の前で、SNSで繰り広げている人がいる! のを見ると、過去の自分の黒歴史がありありと蘇ってしまい、過去の自分に対する怒りと恥ずかしさがシンクロしてしまう。のかも。と自分では分析している。なのでこういう理由だったらちょっと自分も分かる気がする。
※今はもうだいぶ黒歴史を笑えるようになったので、この現象もやわらいできています。
「下手な絵を人に見せるべきではない」と思ってしまっているのかも?
あと「下手な絵は人に見せるべきではない」というふうに自分のルールがある人も、他人が下手な絵を投稿していたら腹を立てるかもしれない。「自分のローカルルール」に抵触するので。
「太ってる人は足を隠すべき! ミニスカート履くな! 常識的に考えてみんなの迷惑!」みたいな。でもそんな決まりはないわけで。同じ考えの人はまわりに何人かいるかもしれないけど、海外とかだとみんなモリモリ履いてたりするし、その常識とやらもやはりローカルルールにすぎない。
「本当は自分も絵を投稿して見てもらいたいけど、こんな下手な絵見せられてもみんなの迷惑だよね……常識的に考えて自重すべき」と思ってしょんぼりあきらめているのに、堂々と自分くらいの画力の人が絵を投稿していたらそりゃあ腹が立つんだろうと思う。
しかもそれは自分が決めたローカルルールだというのも重々分かっているためにおおっぴらには言えず、一人悶々としてしまって、Google検索してしまって、Yahoo!知恵袋に匿名で「下手なくせにイラストをTwitterに載せる人って何様なんですかね?」と投稿したりしてしまうのかもしれない。
他人の絵に対するイライラのおさめ方
「他人の下手な絵、イライラする!」と苦痛になったときにどう考えればいいかというと、だいたいは年齢や時間が解決する、と思う。
自分の場合はそうだった。
小学生のときに下手な絵を友達にあげまくった黒歴史もいいかげんもうどうでもよくなってきているし、苦手な「手」をごまかして上手く描けているフリをしていた頃のこともどうでもよくなってきている。思い出せば思い当たるけど、もう笑っちゃうくらいでなんとも思わない。
だって「他人の下手な絵にイラつく!」と苦痛に感じてしまう人でも、幼児の絵にはイライラはしないと思うのだけど、どうだろう。たぶん、自分から遠くなるほど感情に触れなくなってくる。そんな感じできっと「今」も遠くなる。
ただ「○○すべき」「○○すべきではない」みたいな感情が強い場合、自分ルールを改定しないとずっとそれに自分ごと縛られてイライラし続けることになってしまう。苦痛がひどい場合は「何をそんなに私はべきべき言っているんだろう?」と考えてみてもいいのかも、と思う。