絵が下手でつらい、何をすればいいのかわからない、自分には才能がないかもしれない、何をやってもダメかもしれない、とにかくつらい、ずっとつらい、でも長い時間をかけてコツコツ研鑽を積むなんて自分にはできそうにない……
な人向け【一瞬プロの手を借りてみるといいかも】という記事。
高校のとき美大受験でメンタルがまいっちゃった知人がいる。
彼女はこんなふうに言ってた。
「描けなさすぎて悩んでいると、もう悩むのが気持ち良くなってきちゃうんだよね、『私は何をやってもダメなんだ、ダメな私かわいそう、ダメな私悲しい……』って考えて胸がギューッとなる。布団に入って、『私はダメだ、何も取り柄がない、絶対落ちる、生きてる価値ない……』って考えるとボロボロボロボロ涙出てきて、つらくてつらくて。でもなんかクセになって毎夜繰り返しその儀式やっちゃうんだよね……」
その友人がどうなったかというと、指導教諭から「それは"自己憐憫に酔ってる"っていうんだ。残り半年黙って描け。落ちたらそのとき考えろ」と一刀両断され、無事に第一希望の美大に合格して今は元気にやっている。
ハッとした。自己憐憫に酔うっていうの、私もたまにやってしまっていたからだ。大人になった今でも「ハッ、いかんいかん、またやってる」となることがある。
こういうときは、
- 期限を決めて(無限だとメンタルが死ぬので)
- プロの教えを素直に聞き(自分一人じゃ上手くならないのに一人で描き続けていても意味ないので)
- 何も考えず期限まで行動を続けてみる(この間は結果が出なくても一喜一憂しない)
たぶんこれしかやりようがない。
布団の中でイジイジするのがクセになってしまう前に「期限を決めて今できることをする、それでダメならまたそのとき考える」というのを思い出すようにしている。
オンライン講座を受けてみる
自分が美大受験をした時代はかなりの月謝を払ってリアルで講師から教わるしかなかったのだけど、今はたくさんのオンライン講座がある。しかも安いし、無料部分があったり無料お試し期間があったりもする。ネットで検索するといろいろ出てくる。
でも「どれがいいか分からないし、講座を受けても上手くなれなかったら時間の無駄だし、自分に向いてるのがどれか分からないし、いちばん効率がいいやつをパッとやってパッと上手くなりたい。あ、でも今さら基礎はやりたくないから初心者向け講座は要らない……」みたいな感じでネットの海を放浪している人向けに3つ挙げてみます。
◎class101
◎パルミー
◎sensei
class101というのは最近できた新しい講座で気になっているんだけど、イラスト以外にもクリエイティブ全般の講座みたい?
でも今のところ自分がお金を払って利用したのはパルミーとsenseiなので、その二つについて少し詳しく書きます。
200本以上の無料講座部分がある『パルミー』
『パルミー』に興味を持ったきっかけは講師陣の中に砂糖ふくろう先生としぐれうい先生がいたことと、クリスタだけでなくメディバンペイントの講座があったこと。
200本以上の無料講座部分がある。
キャラの表情、塗り、背景の描き方、プロのメイキングなど、講師がたくさんいるのでさまざまな絵柄があり、取り扱いジャンルが幅広い。SAI、クリスタ、メディバン、フォトショと使用ソフトもいろいろ。塗りひとつとっても厚塗り、淡い塗り、アニメ塗り、グリザイユなどバリエーションが多く、自分が欲しい講座が何か一つや二つは見つかるというのがパルミーの良さだと考えている。
たとえば自分が直近で「これはありがたい!」と思って進行中の原稿に役立てたのは宝石の描き方講座。
無料講座だけでもちょっと例を挙げてみると……
▽厚塗りメイキング講座|パルミー(無料講座)
▽shichigoro-shingo(シチゴロ・シンゴ)先生イラストメイキング|パルミー(無料講座)
▽SAIで気軽に落書き!短髪の男の子メイキング|パルミー(無料講座)
▽漫画の背景を写真からトレースして描くコツ!クリスタを使ったデジタルでの描き方|パルミー(無料講座)
▽動物の描き方講座 リアルな表現とキャラクター的な表現|パルミー(無料講座)
▽男性の袴・着物の描き方を構造から解説|パルミー(無料講座)
▽日本刀の描き方講座!刀剣の構造・構えをイラストで解説|パルミー(無料講座)
「今原稿やっててこれが描けなくて困ってるでしょ?」みたいにオタクの需要を分かっているので、なにかしらは「無料なら見てみっか」と思えるものはありそう。
pixivの『sensei』
pixivの『sensei』はpixivユーザーなら無料で講座を閲覧できて、プレミアムユーザーならさらに見られる講座が増えるシステム。
パルミーに比べると絵柄が限定的で、いかにも「初心者向け!」という講座なので好き嫌いが分かれるかもしれない。また、パルミーほどこまやかな需要にマッチはしていない。
だけどいざやってみると「そんなの知ってるよ」「簡単じゃん」と舐めてたことができてなかったりしてそこそこ苦しい気持ちになった。
「やればできるかもしれないのにやらない」から、いつまでもあきらめがつかない
無料講座をただただ全部受ければ絵が自動で上手くなるか、というとそういうことではないと思う。
何かひとつささいなことを始めるとそこが糸口になって「じゃあ次はあれを描きたい」「ここをもっとこう描きたい」みたいに進行方向や新たな意欲、疑問が見えてきて、「だったら自分はどこに時間やお金をかけて学ぶか」という見通しが立つ。
どこの講座でも無料部分を設けているのは、そのへんが理由だと思う。
もちろん、いろいろかじってみた上で興味がわかなくてもういいやとなればそこでやめてもいいわけだし。
「やればできるかもしれないのにやらない」から、いつまでもあきらめがつかない。
だから、たくさんの講座があるけど「どれがいちばん効率がいいか」「どこがいちばん優れた講座か」みたいなことを気にするより、「とりあえず無料部分を試して何か自分の中に芽生えたらラッキー」くらいな感じ。