「オールバックのキャラを描くのが苦手。見て描いてもなんかどこか変になって、仕上がりにバラツキが出てしまう」
と悩んでいる人向け【オールバックを描くときは、頭蓋骨の形をしっかり取るといびつになりにくい&髪の生え際の位置をチェックすると似せやすいかも。というのを原田龍二さんを描きながら考えてみた】という記事。
※ちなみに『オールバック』というのは和製英語で、英語で表現するなら『コームドバック(クシで撫で付けて後ろへ流すというニュアンス)』だそうです。ここではオールバックと表記します。
オールバックが上手く描けない理由
オールバックが苦手になってしまう理由としては、
- 頭蓋骨を意識できていない
- 額をせまく描きすぎている
こんな感じだと思う。
はえぎわが下すぎるとかつらのかぶりかたを間違えたような感じになってしまって、せっかくいい顔立ちの俳優さんを描かせてもらっているのに申し訳ない。
三等分(+できれば頭蓋骨)を意識する
「はえぎわから眉まで〜眉から鼻の下まで〜鼻の下からアゴの先まで」が三等分になるのがバランスのいい顔とされている。
つまり、眉、鼻、アゴの位置関係から逆算すればはえぎわの位置も「あ、意外と上のほうなんだな」と分かる。
人によって、または年齢によっておでこの広さやはえぎわの形(富士額など)は違うので、それは描き分けのポイントともなりそう。
オールバックを描くには他にも髪の流れやら頭蓋骨の形やらいろいろとハードルがあるけれど、最低限「三等分」のことさえ知っておけば、マンガの絵を模写するときや人間のモデルをデッサンするときなどもそこまでおかしくならないように思う。
今すぐオールバックのキャラを描きたいのに「ではまず人間の頭蓋骨というのは〜」「髪の流れというのは〜」とか言われたら「いらんいらん! 知らん知らん!」となってしまうし。
できれば頭蓋骨の大きさも意識できるとさらにスムーズに描きやすいけど、「三等分」さえ知っていればそこまで頭蓋骨もえぐれて描いてしまうこともない。髪の流れの描き方は〜とかもあるけど、形さえ取れていればそんなに違和感がでるほどにはならないだろうし追々でもよさそう。
※間に合わせでなくもっときちんと描けるようになるには美術解剖学を学んでみると良いように思います。
▽パルミーの『立体的な頭の描き方講座』
美術解剖学の基礎が試されるオールバック
「はえぎわから眉まで〜眉から鼻の下まで〜鼻の下からアゴの先まで」が三等分。このバランスが変わることで「おでこが広い人」「鼻が長い人」「アゴが長い人」という個性になっていく。人や場合によっては額を髪で隠してバランスをとったりもする。
おでこを丸出しにする髪型、特にオールバックというのはこのバランスの良さを見せつける髪型であり、絵描きの画力が出てしまう髪型でもあると思う。
▽パルミーの『男性キャラクターデザインの考え方講座』
逆に、似顔絵描きの立場から言えば、原田龍二さんのようにバランスのいい顔立ちというのは似せにくい顔立ちだとも言えそう。でも三等分を意識して描くには理想的なバランスなので、なるべく似せるようにがんばって描かせていただきました。