「忙しくて絵を描く時間がない」を言い訳にしないためにやってみたこと

絵を描きたいのに忙しくて時間が取れない……社会人の人って、どうやって絵を描く時間を確保しているの?

と悩んでいる人向け【絵を描く時間を作るために自分がやっていること①こまぎれ時間をうまく使う②すぐに作業できる環境づくり③完成や傑作を目指さない④部分デッサンをする】についての記事。

いにしえのインターネットの頃から絵描きたちは「原稿進んでなくて焦るー!」「全然絵を描けてないー! 描かなきゃ!」といつも何かに追い立てられていて、絵描きではない人々に「いつもせかせかしてるけどただの趣味じゃん。原稿がーとか言いたいだけでしょ」とうるさがられる、という構図があった気がする。(ただの自分の被害妄想かもしれないけど)

自分の場合、「私の取り柄は絵しかないんだしもっとがんばらなきゃ」とか「趣味って言えるのは絵だけなのにそれすらできてない……」とか、謎の義務感に駆られてしまっていたのかもしれないなあと思う。

今では年齢を重ねてライフステージも変わり、生活が忙しいときには割り切って趣味をほったらかす(しかない)ようになったのだけど、同時に「忙しさにかまけて絵を描くのサボりがちなので、時間の使い方をなんとかしたいな」と思うようにもなってきた。

そのために最近やってみていることを書きます。

  • こまぎれ時間でちょっとだけ描く
  • すぐに作業できるようにしておく
  • 必ずしも完成させなくてもよいとし、傑作を目指さない
  • デッサンするなら部分デッサンをする

こまぎれ時間でちょっとだけ描くようにしてみた

絵を描くのってとっかかりから完成まで見るとそこそこ時間がかかる。

人にもよるけど3時間くらいで完成するとして、最初から3時間という時間をまるまる確保するのはなかなか難しいので、自分はこまぎれの時間を寄せ集めて3時間を作っている。

以前は「誰にも邪魔されずまるまる3時間集中して没入したいんだよ派」だったのだけど、それだといつになっても「時間が取れなくて描けない」になってしまう。そんでまたやっと3時間まるまる時間ができたらできたで、なかなか取りかからない。3時間集中して絵を描くってなかなかの苦行だからどうしても腰が重くなり、「時間がある今描かなきゃ、でもおっくうだな、ああ時間だけが無駄にすぎていく……焦る……」と休みの1日を何も描かず終わってしまって自己嫌悪とぐったりした疲労感だけが残ってしまう。

自分の場合だけど、こまぎれ時間でちょっとずつ描くほうが結局は効率が良かった。

「まで時間」を意識して使うようにしてみた

スキマ時間とかこまぎれ時間っていってもピンとこないので、自分は「まで時間」というのを意識してみている。

「ご飯炊けるまでの15分でこのキャラの下書きだけしよう」

「メンテ終わるまであと30分か、色塗りできるとこまでしちゃお」

「お風呂が沸くまで5分だけ反転チェック(デッサン狂ってないか)しよ」

今は自宅で仕事をすることも多くて「問い合わせの返信が来るまで下書きしちゃお」みたいなこともやっている。

こんな感じで、数分から数十分のこまかい待ち時間ってたくさんある。

そのこまかい待ち時間を「無」になって終わらせずに、ちまちまと使っていく。ということをやってみています。

ちょっとの時間だけ描くことで、メリットがいろいろあった

ちょっとの時間だけ描くことで、他にもよかったことがいろいろある。

まず、「まで」というタイムリミットがあるので集中しやすいということ。

自分の場合は3時間ドーンと「さあ思う存分絵を描きたまえ」と与えられてしまうと「3時間もあるしな……」みたいに散漫になったりしてかえって捗らないことがある。

「ご飯が炊けるまで15分だけしかない」という状況のほうがすぐにモードを切り替えられた。

さらに、これやってるうちに「これくらいの作業量なら15分でできるな」みたいな自分の目安もつかめてくるので、どんどん時間をうまく使えるようになってくるのが面白い。

また年齢を重ねて長時間作業し続ける体力も無くなってきつつあるので、この数分から数十分の作業がちょうどいい気がしてきている。

これくらいなら肩こりや腱鞘炎、目の疲れなども発生しにくく、疲れも持ち越さなくてすむ。おかげで最近は整体行かなくてよくなりました。以前はリカバリーにムダな時間がかかっていた。

「まで時間」を使ってみてよかったこと
  • 集中しやすい
  • 自分の作業量の目安がつく
  • 体にムリがこない

すぐに作業できるようにしてみた

あと、仕事でしんどかった日など「疲れたなー、今日は絵描くのやめとこうかな、でも毎日描くって決めたし、でもしんどいなー」みたいな迷いが生じることがある。

「やらなきゃ……」と思いつつも手をつけずに迷うのってずっと空ぶかし状態みたいなもので、何もしてないのに気力だけやたら消費してしまう。これがいちばん疲れる気がする。自己嫌悪にも陥るし。

やることを決めて何も考えず取りかかるようにしてみた

なので、迷う前に取りかかってしまえるようにルーティンを決めておき、有無を言わさず自動でやっちゃう状態にしてみている。

自分はゲーム実況動画を観るのが好きなのだけどただじっと観るというのが苦手で、片手間に必ず何かをしたくなってしまう。だから動画のお供に絵を描くという感じ。

夜に1時間ほど時間が取れるなら、日中のうちに描くものをカメラロールのお気に入りに入れておく。動画を流して、それを見るついでに机の上で充電完了しているiPadとApple PencilをとってDockのメディバンペイント(私はメディバンペイントを使っています)を起動しておもむろに描き始める。

動画に集中しちゃって絵が描けなくなるということもなく、たいてい絵の作業が捗ることのほうが多いので、今のところこのスタイルでやってみている。1時間あっという間すぎてびっくりするので再生リストで流さないほうがいいかもしれない。

取りかかるまでの「ムダ」をなるべく作らない

あと気をつけてみているのが、取りかかろうとしたときにブレーキがかかる要素をなるべくなくしておくこと。

描こうと思ったらiPadやApple Pencilが充電できていないとか、机の上が散らかっててiPad置くスペースがないとか。ちょっとしたことなのだけど、さっと取りかかれないことで面倒になって「今日はやめよう」とかなったりする。

いちいち「今日は何描こうかな」と悩むのも、面倒になる原因だと思っている。

たとえばデッサン本やクロッキー本を模写するのでも、ペラペラやりながら「この中のどれを模写練習しようかな〜」とやっている時間ってアタマにとってけっこうなムダになる。だから最初のページから何も考えず順番に全部模写することにする。やったところまでしおりをはさんでおく。(「どこまで描いたっけな〜」とペラペラやるのも意外とムダなので)

あれもこれもといろいろ買ってしまうと「どの本からやろうかな〜」とペラペラやる時間がまたムダになるので、「この絵柄好きかも」みたいな一冊だけでいいんじゃないかと思います。

※ペラペラするばかりでなかなか始められないことに対して「ムダ」という言葉を使っています。

手軽に描ける環境を整えてみた

自分はMacで絵を描いていたけど、起動にもそこそこ時間がかかるし動作も重くなってきてストレスに感じ始め、めんどくさくなってしばらく絵を描かなくなってしまったことがあった。

始めるまでに時間がかかると、そのぶん挫折するリスクが高まる。自分の場合。

そこでiPad ProとApple Pencilにしてみたのだけど、これはいつでもどこでもすぐに絵が描けてしまう……。

YouTubeをだらだら見ていて「あー絵を描くの面倒だな今日はやめちゃおうかなー」と思いながらdockのメディバンペイントをタップしちゃえば有無を言わさず2秒で準備ができてしまう。

絵を描くのにiPadを使ってみて、「迷うヒマがない」というのがいちばんのメリットだと感じた。

iPadPro 12.9インチ 128GB Wifiモデル を見てみる

Apple Pencil 第2世代 を見てみる

「iPadは買う予定ないな」という人やアナログ派の人は、コピー用紙とボールペンをそばに常備しておくというのもいい。「今日疲れたし絵を描くのやめとこうかな〜」と言いながらコピー用紙をシュッと一枚出して描き始めてしまうことができる。

自分は厚さ・(紙の)明るさ・コスパの点でコクヨのコピー用紙を愛用しています。

傑作を目指さない

当然ながら毎度毎度「完成」とか「傑作」をきっちり目指さないこともだいじだと思う。

絵は完成させないと意味がない・上手くなれない、とかもよく聞くけど、「完成させないと意味がない」からと言って全く手をつけないのではもっと意味がない。

「毎日大好きな動画を観るついでに、楽しくらくがきをする」程度の感じでやっているので、無理なくできている。

デッサンするなら部分デッサンをする

デッサン苦手とか嫌いとか言う人が多くて自分もそうなのだけど、「手だけ」とか「耳だけ」みたいに部分デッサンだけにしてみたら思った以上に負担が少なかったです。

顔全体とか体全体って情報量が多すぎて、それを三次元から二次元の紙の上に変換して出力するのってかなりたいへん。部分部分に分けてしまうとびっくりするくらい気が楽だし、気が楽ってことは一つ一つのパーツを余裕を持ってじっくり観察できてじっくり描けるということなので、結局は効率もいい。

時間もこまぎれのほうが結局は効率がいいし、デッサンもこまぎれのほうが効率がいい。

ヒトの脳って意外と許容量が少ないのかも……(もしくは私の脳の処理能力が特別ミニマムなのか……)

「絵が描けない」には別の理由があるのでは?

ここまで書いてきたけど、いろいろ工夫してみてもなお、なんとなく腰が上がらないときってあると思う。

たぶんそれは忙しいからというより、絵を描く気力がそこなわれているのかもしれない。

Twitterの人間関係がめんどくさくて絵を描いてアップする気にならないとか、評価されないことを気にしていて「そもそも私が絵を描く目的ってなんだっけ?」と感じてしまっているとか。そこへ仕事の疲れがダメ押しとなったりしているとか。

こまぎれでちょっとずつ負担をかけないように絵を描いてみてもしんどい……という場合、何か別の理由があるのかもしれないので、「絵を描けないのは自分の怠け心のせいだ!」みたいに自分のことを断定しないであげてほしい……。

タイトルとURLをコピーしました