「上手く描こうとするなって言われても…」絵を描くときに気負わないコツ

「絵の練習は上手く描こうとするな、下手でいいから形を取ることに集中しろ」とよく言われるけど、でも上手く描けないとモチベが下がっちゃう。上手く描こうとするなって言われても無理だよ……

という人向け【上手く描こうとしないコツ①消さずに隣に描く②描く回数を増やす③オンとオフでアプリを使い分ける】について考えてみた記事。

絵の練習をするにあたって「練習なんだから上手く描こうとするな」というのはいろいろな人が言っていることだけど、絵が上手いプロに言われても「それはあなたが上手い人でプロだからそんなこと言えるんだよ!! こちとら自分の絵がくっそ下手すぎてモチベ下がりまくるんだよー!!」となってしまう。

そこで、「上手く描こうとするなって言われてもそれが難しいから、上手く描こうとしないコツ」について考えてみた記事。

「上手く描こうとするな」ってどういう意味なのか

自分が美大受験のためにデッサンの指導を受けていた頃にも「上手く描こうとするな、形を取ることに集中しろ」ということはさんざん言われた。

デッサンやクロッキーは筋トレみたいなものだから、それ自体にカッコつける必要は全くない。

毎日スクワット300回やるのに1回1回完璧なフォームで完璧な笑顔で気取り散らかしてやらないのと同じで、トータルでそこそこ筋肉に効いてればそれでいい。毎日300回やってればそのうちの何割かは効果がある。

「上手く描こうとするな」というのはそんな感じの意味だと自分はとらえている。

プロになるまで日々プライドをへし折られながら、どうしても描きたくて絵を描いてきたような人は、

「絵を描きたい」→「上手く描けない」→「でも描く」→「上手く描けない」→「でも描く」→「上手くなってくる」→「楽しい!」→「でもまだ上手く描けない」→「でも描く」……

みたいな感じで、嫌でもそういうメンタルセットが当たり前にできているだろうと思う。

けど「趣味で二次創作してSNSに投稿して評価されたいな」「月に1、2枚くらい絵を描いて、自分の満足のいくものにしたいな」くらいの人の場合、そのメンタルを身につけるのはなかなか難しい。むしろ趣味で絵を描いている人にとっては、そこがいちばん難しい部分かもしれない。

一瞬で、一足飛びに、

「絵を描きたい」→「上手く描けないから楽しくない」→「描くのやめちゃう」

になってしまう。もうちょっと描いていれば楽しくなってくるかもしれなくても、無理。モチベ的に。となってしまう。

自分が小学校で子どもたちの絵を見ていたときも、「上手く描けないから描きたくない」「せっかくのスケッチブックを自分の絵で汚すのが嫌だから描かない」という子どもが多くいた。

「上手く描けないから描きたくない」というのって、かなり根強い、強固な障壁になる。

そこらへんをなんとかして上手いこと乗り切るコツを考えてみた。

上手く描こうとしないコツ

失敗しても消さずに隣に描くようにした

小学校で子どもたちの絵を見ていた頃、上手く描けないとさっさとページをめくって無かったことにして次のページに新しい絵を描き始めてしまう子どもが多かった。

これでは、ロクな絵も完成させないままノートが一冊終わってしまう。

上手く描けなかったのを無かったことにして次のページに描きたくなる気持ちはとても分かる(自分も子どもの頃はそうだったから)のだけど、それって算数ドリルで答え合わせをして、間違えたところを消しゴムで消して書き直してしまうのと同じ。

失敗を見て見ぬふりをしていても、同じ失敗を繰り返すだけ。

ということが、大人になった今なら分かる。

なので失敗した・上手く描けなかったと感じたら、その絵の隣にもう一度描くということを自分は意識してやるようにした。

「上手く描けなかった」と感じたその絵が隣にあるのだから、どこが描けてないか、今度はどこを直せばいいかを考えながら改善バージョンを描くことができる。三段階くらいやっているうちに「おっ、これこれ! こう描きたかったんだよー!」となったりする。(もちろん、そうならないこともある。)

「上手く描けなかった」と感じたその絵を消さずに隣に置くことで、自分の失敗絵と向き合うのにも慣れてくる。

そうすると最初の絵は"失敗絵"ではなく、"試作品第一号"になる。

自分は仕事で少し似顔絵を描いていたのだけど、似顔絵を描くときも「全然似ないよ〜! 似てなさすぎてサムい! 全然ダメ! 下手! 恥ずかしい! もうイヤ!」となるけど、敢えてそれを残しておくことにしている。

深田恭子さんを描いたときの紆余曲折、試行錯誤の記録がこちら。似なさすぎて鳥肌立たせながらも10回描いてやっとなんとなくつかめてきた過程を残してみた。

最初は「やだやだ失敗! 全然描けない! 恥ずかしい! 消したい!」ってなるけど、だんだん「何度描いても下手すぎウケるwwwもうちょっとなんとかがんばれ私www」くらいになってくる。

でも実は、絵の練習においては「何度描いても下手すぎウケるwwwもうちょっとなんとかがんばれ私www」というメンタルが何より大事だと思う。これがないと絶対に途中で嫌になってやめてしまうから。

「下手すぎウケるwww」を体得したことで、プライドがバカ高くて生きづらかった自分は絵だけでなく人生全般がかなりラクになったので"失敗しても消さずに隣に描く"に慣れるの、良いんじゃないかなーと思います。

描く数を増やした

毎日スクワットをやる場合、たった1回だと気取り散らかしてカッコつけて完璧にやりたくなる。けど300回やるとなると、1回1回を完璧なフォームで完璧な笑顔で気取り散らかしてはいられない。なるべく集中して、でも完璧主義に陥らないで、サクサクと回数を重ねていくことができ、当然、たったの1回を気取り散らかしてやるよりも効果が高い。

考え方はいろいろあるけど「まずは質よりも量」というのはこういうことだと自分は思っている。

上の深田恭子さんの似顔絵の例でもそうだけど、自分は「まずは10回描いてみる」というのを意識していて、10回描くまではどんなに下手でも良いことにする。

思うように描けなくても、

「深キョンはもっと髪にボリュームがある。これは違う、ハイ次〜!」

「ちょっとまだ目の形がつかめてない。目はそんな大きくないよ〜! ハイ次〜!」

と切り替えて、サクサクと修正しながら描き続けていく。

そのためにはそれまでに描いたものたちをよく見る必要があるので、「自分がさっき描けなかったところ」と向き合うことが当たり前になってくる。

お絵描きアプリを使い分けて気分を切り替えてみた

デジタルで描いている場合、普段のイラストを描いているアプリとは別に「自分だけが好き勝手に練習するアプリ」というのを決めておくのも自分にとっては良かった。

イラストをSNSに投稿していると、「こんな絵じゃ見た人に下手だと思われる」「こんな絵じゃ手抜きだと思われちゃう」みたいに、まだ投稿していないうちから人の目が気になってしまう感覚があったので。

なので別々のアプリを使うことで「今は自分だけのお絵描きだから、上手く描けなくても自由に伸び伸び描いていい」みたいに、オンとオフを切り替えやすかった。

自分のできなさを笑い飛ばす練習っていいかも

絵を上手く描こうとしないコツとして自分がやってみているのは、まとめるとこんな感じ。

  • 失敗したと感じても消さずに隣に描く
  • たくさん回数を重ね、次へ次へとつなげていく
  • アプリを変えて、自分だけのために絵を描く時間を作る

とは言え、自分の描けなさと向き合うのって、やはりどうしても最初は抵抗があると思う。

自分の場合、「自分のできなさを笑い飛ばすという経験」をすることで少しラクになった部分があるので、最後にそれについても書いてみる。

自分が初めてダンスを習ったとき、自分の動きがヘタクソすぎて、滑稽すぎて、教えてくれる人も自分も大爆笑しながら楽しく練習したことがある。

これは自分が「ダンスなんてやったことないし出来なくて当たり前! でも踊ってみたいからゼロからやってみよう!」という開き直りがあったからだと思う。

でも絵となるとなぜか「自分はそこそこ上手く描けるはず、下手だと恥ずかしい、こんなはずじゃない、もう描くのイヤだ」になってしまうのってなぜなんだろう?

それはやっぱり自分の中に「絵はそこそこ上手く描けるはず。幼稚園から絵を描いてるし、美術科受験や美大受験も経験してるんですわよ?」みたいな、根拠のない矮小なプライドがあったからだと思う。

絵が上手くなりたいなら「今の自分がどれくらい描けないか」を知らなければ始まらないのに、そこに向き合うのがこわくて、テンション下がるしモチベが下がるしで向き合えず、どんどんイヤになってしまっていたのだ……。

今思うと「なんなのその自信……? なんでその程度で巨匠ヅラしてたの……? 笑えてくるんですけど……」ってなるのだけど。

何においても「今の自分がどれくらいできないか」に向き合って受け止めて笑い飛ばす練習って大切なんじゃないかと思った。

自分の場合はそれがダンスだったり死にゲー(ダークソウルとかをやりました)だったりした。

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