【ファンアートを描く】「好き」から「描きたい」までを分析してみた

ファンアートって二次創作とは違うの? 描きたいけどSNSに投稿してもいいのかな?

ファンアートを描きたいけど描き方が分からない。どうやって描いたらいいんだろう? コツを知りたい……

という人向け【ファンアートとは何か&ファンアートってどうやって描いたらいいのか】についての記事。

まず、二次創作とファンアートはどう違うのか

ネットで絵を描いていると、「二次創作とファンアートってどう違うの? ジャンルによっては二次創作はアウトとかあるけどファンアートはどうなの?」みたいな疑問って湧いてくる。

二次創作とファンアートの違いというか呼び分けみたいなのって、世代や国やジャンルや界隈においてもさまざまだから線を引いて明確に区切ることは難しい。

自分がインターネットで絵を描き始めた20年前くらいには、海外(英語圏)の人が二次創作を指す言葉として「fanart」とか「fanfiction」という言葉を使っていた。

Wikipediaにおいても「ファンアートとは二次創作を指す」とのことで、自分は「ファンアート」と「二次創作」をほぼ同じ意味だととらえている。

ファンアートとは、他者が創作したキャラクター、衣装、道具、もしくはストーリーをもとにした作品のことである。この用語は、小説のキャラクターのファンが作成した作品にも適用できるが、通常は漫画、映画、テレビゲームのような視覚媒体からの二次創作を指すために使われる。

ファンアート-Wikipedia

「二次創作ってなんかもっと、勝手に設定やストーリーを付与することでしょ? 原作に忠実にキャラ絵を描いただけで創作要素入ってないから二次創作じゃないよ」と思ってしまうけど、やっぱり作者以外の人間が描いている時点で創作要素はゼロではない。

「実在の俳優さんの写真を見て写生的に描いただけだから二次創作じゃないよ」と思ってしまうけど、三次元を二次元に描き写している時点で変形は発生しているので創作要素はゼロではない。(厳密には写真は三次元ではないし、写真をそっくりに描き写して自分の作品とするのはまた別の問題があることだけど)

という点から、「(設定とか加えずに)そのままキャラや人物を描いただけ」のファンアートも、広い意味での二次創作だと言えるのだと思う。

したがって、二次創作もファンアートも"公式がガイドラインを出している場合はそれを確認して自分の判断で"ということになる。

「ファンアートを描きたいけど、描き方やコツがわからない……」

初心者さんの「ファンアートの描き方が分からないのでコツを教えて」というのはとてもよく目にする質問なのだけど、たいていの絵描きさんは「知らんがな! 湧き上がってくるものを描きたいように描いてれば勝手に描けるようになるよ」と答えると思う。自分もそう思う。

のだけど、超初心者の場合は「それができないから悩んでるんだよ!」となるだろうから、自分がキャラ(人物)にハマってからファンアートを描くようになるまでの流れを詳しく分解して説明してみる。

(あくまでも自分の場合なので、参考になるかどうか分からないけど)

まず、描きたいくらい好きな対象と出会う

何かを描くって、「これを描きたい!」と思わないことには始まらない。

ばくぜんと「なんかいい感じの絵を描きたい」だと難しいけど、ファンアートを描く場合は幸いなことに「描きたい対象」がある。

たとえば自分はこういう段階を経てファンアートを描いている。

  1. 特定のキャラ(人物)を、すごく好きになる
  2. 自然とよく観察してしまい、「ここが好き」というのがいくつも見つかる
  3. 「ここが好き、ここだよここ、分かって……!」というのを絵に描いて誰かに伝えたくなる

それくらい好きなものに出会うことが、はじまりなのではないか。ある意味ここがいちばんの難関なのかもしれない。

ここの段階をすっとばして「描くものないし最近流行りのこのキャラで練習すっか」「このキャラ人気だから、描いたらいいね増えるかも」みたいな感じで描こうとすると、ファンアートとしてはあんまりうまくいかなくて「ファンアートの描き方難しい、分からない、誰か教えて」となってしまう気がする。

他の人のファンアートをたくさん見る

これは個人の好き好きだけど、自分は他の人の作品を見るのが大好きなのでSNSでも積極的に見ている。他の人の作品(自分の好きな対象が他の人からどう見えて、どう表現されているか)を見るのが純粋に楽しいので。

それって何を見ているかというと、こんな感じ。

  1. 「私がまだ気づいていない推しの良さを教えてくれる作品に出会いたい!」
  2. 「私の描きたいことをすでに描いてくれている作品に出会いたい!」

①にはたくさんたくさん出会える。しかし②にはなかなか出会えない。

不思議なものでというかやっぱりというか、自分にとって全面的にドンピシャな作品というのはない。

「すごくいい……! だけどここが私のツボとは違ってくるな……私だったらどう描くかな?」とか「そういう解釈があるのか……(熟考)でも私は違うな、私だったらもっとこう描こう」とか、「私だったらどう描くか」が、無限に自分の中で繰り広げられる。

他の人の作品というレイヤーをたくさん重ねて見比べることで、自分の中の「こう描きたい」が鮮明になってくる。

自分にとって、人の作品を見る楽しさというのはそのあたりかもしれない。

「人の作品は見たくない、興味ない」という人もいるだろうし昔の自分もそうだったのだけど、それはそれで全然まったくかまわないと思う。

のだけど、もし「自分が何をどう表現したいのか」でモヤモヤしてきたときは、自分が一人で創作し続けるだけだと解決しにくいようには思う。

「これを描きたい!」が沸点に達したらあとは全自動

「これを描きたい!」「こう描きたい!」というのが沸点に達したら、あとは全自動で描いてしまう。

描けないところは手が勝手に調べたり、手が勝手に資料を集めたり、手が勝手に毎日練習したりして、勝手に描けるようになってしまう。

この夢中状態の現象は、絵を描く人なら誰しも何度か経験していることだと思う。マリオで言うスター状態みたいなもので、一生のうちに何度か突然降って湧いて、しかしずっと続くわけではない。

また、スターの数やタイミング、持続時間や効力は人によって違う。

「好き」から「描きたい」に高めるまでが一瞬の人もいれば、時間がかかったり右往左往したりする人もいる。「描きたい」状態がすぐに収まってしまう人もいれば、何年も続く人もいる。

自分も「好き」から「描きたい」までに時間がかかるほうなので、以前は人と比べて焦りがちだった。でも「私の好きになり方はそういうものなんだ」と理解してからは気が楽になりました。

好きになることから始めてみるといいのでは

以上、ファンアートを描きたいけど描けない、描き方が分からないという人向けに、参考になるかは分からないけど自分がファンアートを描くときの過程を説明してきた。

まとめるとこんな感じ。

  1. 観察してしまうくらい好きな対象と出会う(それまでは気長に待つ)
  2. 「ここが好きなんです! ここだよ、分かって!」と他者に伝えたくなる
  3. 他人の作品を見て、自分の「好き」をさらにくっきりさせる
  4. どうしても描きたくなって、あとは全自動で描いてしまう

これってファンアートに限らず、絵を描くこと全般に言えるのではないかと思う。

「私もなんか上手い絵を描いてフォロワーやいいねが欲しい」とか考えることも別に悪いことではないけど、「絵が上手くなるにはどうしたら? (とネット検索して)デッサン? クロッキー? うわーめんどくさ、もっと手っ取り早い方法ないのかよ……」と、永遠にネット検索し続けるだけで終わってしまう気がする。

その点ではファンアートって「好きで好きでたまらないからどうしてもこれを描きたい」というビジョンを持ちやすいので、全自動で勝手に描いてしまうスター状態がかかりやすく、いいのではないかなあと思っている。

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