「自分の絵には魅力がない…」絵の魅力を見つけるコツ3つ考えてみた。

自分の絵の魅力ってどこだろう?自分の絵はつまらないし下手だし、何一つ魅力がない気がしてしまう……

と悩んでいる人向け、【魅力=個性なので誰の絵にも必ず魅力はある。誰しも自分の絵の魅力を見つけにくいその理由と、魅力を見つけるコツを3つ考えてみた。】という記事。

SNSで人の絵をたくさん見ていると、「あの人もこの人もみんなすごいな、私の絵だけなんの魅力もない……」という気持ちになってしまうことがある。

そういうとき、冷静に自分を立て直すにはどうしたらいいんだろう、と考えてみた。

  • 誰だって自分の魅力は見つけにくいものである、ということ
  • どうやって自分の魅力を見つけるか、3つのコツ

自分の絵の魅力が見つけにくい理由

自分のことは客観的に見られないから

自分は10年近くMinecraftをやっているけど、いまだに「装備したつもりがうっかり装備してなかった」ということがある。ご存知の方も多いと思うけど、基本マイクラは一人称視点なので自分の姿は見えないのだ。装備を忘れてる姿はまわりから見ればまぬけなんだけど、視野に入らないのだから仕方ない。そのたびに「自分のことって見えてないんだよな〜」とつくづく思ったりする。

他人のことは見えるのに、自分のことは見えていない。これはリアルの世界でもそうだ。

だから他人の魅力にはすぐ気づけても、自分の魅力には気づきにくい。逆に、他人のアラは目につくのに自分のアラは見えにくかったりすることもある。

これは本当にそうで、シンプルにそれ以上でも以下でもない話なんだと思う。

まわりの人たちの絵を見回してみて魅力があるようなら、「自分では見えないだけで、私にも何か魅力はあるんだろう。気づく日が楽しみだ」くらいに考えていればちょうどいいんじゃないか。

バランスが良すぎて突出したところがない

あと最近思うのが、魅力って言うとすごくそこだけ突出しているイメージを抱きがちなのでは? ということ。

(「デッサン力」とか「パース」とかの各項目は適当です。)

でも、最初からどこかずば抜けて突出しているような人ってなかなかいない。たぶん、右側のタイプが多い。だからみんなして「自分の絵には魅力が見つからない」と悩んでしまっているのではないか。

右側のレーダーチャートだって「表情」が全項目の中で最も高いから魅力と考えていいはずなのに、他もバランスよくそろっているために気づきにくい。

バランスがいいというそれ自体も魅力と考えていいはずなのに、「どこか一つが突出していない=魅力がない」みたいに思い込んでしまっているのでは。

欠点がない、いわゆる"上手い絵"を目指すほど、バランスが良すぎて「ここが魅力」っていうのが分かりにくくなってしまうというジレンマ。

特に最近はSNSで目も肥えやすく情報も豊富だからなのか、バランスよく総合的に上手い人って多い気がする。これだとどうしても「自分の魅力はどこ?」と考えたときに見つかりにくい。

魅力を見つけるためのコツを考えてみた

自分は教室で子どもたちの絵を見てきた経験から、「自分の魅力を見つけるのが苦手な人って多いな」というふうに思っていた。謙虚に考えすぎてしまう人が多いというか。

だからいつも「もっとこんなふうに考えれば自分の魅力が見つけやすいのでは?」ともどかしいことが多かったのだけど、そういった、魅力をスルーしないコツ(?)みたいなものについて書いていく。

人に言われてうれしかった言葉を思い出し、受け取り直してみる

まず、人に言われてうれしかった言葉がないか思い出してみる。

最高の褒め言葉とかではなく、なんとなく他人から絵に対して言われたこと、でもいい。

と言うと「えー、ないない! ないから困ってるんだよ」と即答されることが多いのだけど、言われたことを受け取れていないだけのことも多い。

たとえば、

「生き生きとした絵だね」→「全然そんなふうには描けていないのに……お世辞はやめてほしい」

「服のシワが上手い」→「自分の意図と違うところを褒められてもうれしくない」

「描き込みが細かくてすごい」→「そんなの誰でもできるし大したことない。そんなことしか褒めるところがないなんて、自分の絵はダメだ」

みたいな感じで、褒められたうちにカウントしていない言葉があるかもしれない。

実際、自分も子どもたちに「あなたの絵のここが好き、ここが良いと思った」と伝えても、受け取ってもらえないことがちょいちょいあった。露骨に突っぱねられることこそ少ないけど、体感で8割くらいは受け取ってもらえてない感覚がある。

だから、ちょっと思い出してみてほしい……。すぐには思い出せないだろうから、ちょっとずつ、折に触れて「自分の絵に対して他人が言ってくれたこと」を思い出してみる。というのはどうだろう。子どもの頃まで遡って。

当時は突っぱねてしまったけど、今だったら褒め言葉として受け止められるものもあるかもしれない。

あとは、こんなこともよく言われる。

  • 自分が苦もなくできることは、実は得意なこと
  • 欠点だと思っていることを逆転させると魅力になる

全部自分の中にあるものだから、ちょっと思い出すだけで見つかるかもしれない。

「褒められたこと」とか「魅力」としてカウントしてこなかったものをもう一度受け取り直してみるというか。

他人に聞いてみる

他人が言うことは自分が思うより的を得ている。というのにいいかげん自分も気づいたので、悩んだら人に聞くことにしている。

と言っても「ねえねえ私の絵の魅力ってどこかな? 私のいいところ10個言ってみて〜」とか聞くのってちょっと難しい。そういうのではなくて、ただ淡々とSNSに絵をアップし続ける。人の目にさらし続ける。そうすると一年に1つや2つは誰かに何かを言ってもらう機会がある。(人から何かを言ってもらうって、それくらい有難い=なかなかないこと……)

そんな悠長なことやってられっか、という場合は、

  • 仲のいい絵描きさんに、クローズドなコミュニケーションツールでじっくり聞いてみる
  • 「#自分の特徴あげてもらってそれを全部封印した絵を描く」みたいなタグに乗ってみる
  • 良いところを褒めてくれるタイプの添削サービスを受けてみる

他の人の絵の魅力を見つけてみる

「いやいや、自分の絵の魅力を見つけたいんだよ、他人の絵を見てどうするの?」と思うかもしれないけど、自分の辞書に載ってないことは人間思いつけないようになっている。と思うのだ。

子どもたちにお互いの絵の感想を聞いてみたりすると、それを強く感じることが多かった。

他人の絵を見て「ここが良いな」と感じたということは、気づいていなくても自分もそのカケラを持っているから感じられるわけで。自分の絵にそのカケラがないかどうか、もう一度慎重に探ってみる。ピンとこなかったらまた別のカケラを探ってみる。ということができる。

いっそのこと、他人の絵を見てここが良いなと思ったら「そのタネきっと私にもあるんだろうな。やったー、育てよう!」くらい思ってしまってもいいんじゃないか。

もし「他人の絵のいいところを見つけるのが苦手、アラばっかり目についちゃって苦痛」という場合、「上手い」の理想がピンポイントすぎるのかもしれない。自分も覚えがあるけど、絵を描いている人なら一度は陥るゾーンだと思う。

それだとどうしても自分にも他人にも厳しくなり、趣味や楽しみで絵を描く場合には苦しみが多い。それでもいいんだ! というならかまわないけど、もうちょっとゆるめたい、広げたいと思ったらいろいろなジャンルの作品を見て「上手い」のバリエーションを増やしてみることもできる。

今は小さい芽を、突出した魅力にしていく

上でも書いたけど、「魅力」って言うと突出した何かすごい武器、みたいなイメージがある。

でも、そんなの誰だって最初は持っていない。

最初はちょっとした誰かの一言で嬉しくなったり、「自分はこれを描くのが好きなんだな」と自覚したりして、それを育てていくことで魅力になるんだと思う。

突出した何かはないとしても、ちょっとした芽は必ず誰もが持っている。なぜなら魅力というのは個性だから。一個の人間が描いている以上、拙かろうがよくある絵柄だろうが、個性は必ずある。

褒めてくれた誰かの言葉を決して聞き漏らさず、「うれしい!」と思ったら喜んで描き続ける。それが自分の魅力を見つけて育てるってことなんじゃないか。だから多分、突出した何かにしようと思うなら、そこからけっこう時間はかかるんだろう。(突出した何かを持っていない自分には分かりませんが……)

最後おまけで自分の話をする。

中学生のときに先生の似顔絵を描いていたら知らない子が「雑な絵! ヘンな絵! 目なんかチョンチョンって描いてるだけじゃん。でもなんか似てる!」と笑ってくれてそれから仲良くなった。描くとその子が喜んでくれるから調子に乗って描いていたら、先生たちも「特徴のとらえかたが面白い」なんて褒めてくれて、学級新聞の4コマ漫画を任されたり。そんなささやかな、いい思い出があった。

大人になってネットで絵を描いて誰も見てくれない暗黒時代。走馬灯のように、あのささやかなことを思い出した。絵を見てもらえて、笑ってもらえてうれしかったあの頃のこと……。はたと「私が本当に描きたいものはあのチョンチョンなのかもな。そして見た人にニコニコしてもらいたいのかも」と腑に落ちた感じがした。

その後しばらくして、声をかけてもらってほんのちょっと似顔絵の仕事をやらせてもらったりした。似顔絵を仕事で描いても趣味で描いても、やっぱり「(上手くないけど)なんかいい」と言ってもらえることが多くて、何十年も前にあの子が言った一言に、今、自分は救われ続けてるなと思う次第です。

チョンチョンじゃないのもあります

「魅力」なんて言っても大したことじゃなくてよくて、大して上手くなくてもそれでよくて、そんなささやかなものを思い出すことで、本当に描きたいものを思い出せるのかも。という話です。

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