初心者・未経験者でも請けられるイラストの仕事ってあるの?
在宅で絵の仕事や副業をしたい、でもどこでどうやって請ければいいの?
な人向け【初心者・未経験の場合、クラウドソーシングサービスやコミッションサービスに登録してイラストの仕事を請けるのが早くて安心。Adobeソフトが使えると有利かも】という記事。
自分も普通の大学しか出ておらず、デザイン系の業務経験も全く無しの状態(ただ、長らく同人活動をしていて趣味でのイラストやデザイン、印刷物のデータ作成には慣れている、という程度)から、SNSをきっかけに10年ほどデザインのお仕事をさせていただいた経験がある。
言わば、(仕事としては)初心者で未経験の状態からイラストやデザインの仕事をすることも可能ということ。クラウドソーシング系のサービスを利用すれば初心者でも初心者なりに請けやすい仕事というのもあるし、未経験でも仕事を請ける方法がある。そこから経験や実績を積み重ねていくこともできる。
※ここで言う「初心者」とは、「ある程度ソフトも使いこなせてそこそこイラストやマンガ、デザインができるけど、仕事としては初心者・未経験」ということです。
初心者でもネットで請けやすい、イラスト仕事の種類
今は業務がオンラインで完結することも多いので、初心者だろうが経験者だろうがネットで請けてネットで納品することがほとんどだと思う。自分も対面で会って仕事の打ち合わせをしたのは今まで一度しかない。
ネットで請けられるイラストの仕事、特にクラウドソーシング系のサービスでよく依頼される案件を挙げてみた。
※需要は目まぐるしく移り変わっていっているので、あくまでも「この記事を書いている時点」での話になります。
webサイト用イラスト
まず企業や個人のwebサイトで使われる、挿し絵的なイラストレーション。
たとえば化粧品系の企業なら「化粧品の使い方や手順を説明する、手描き風ナチュラルテイストなイラストを○点お願いします」みたいな案件。
当たり前だけど、こういったイラストも誰かがどこかで仕事を請けて描いている。
商品のLP広告用マンガやイラスト
商品をアピールするための宣伝用ページで【LP広告】というのがある。広告をクリックするとマンガで商品の説明があるページに飛んで、スクロールしていくと申し込みフォームがあるアレ。
ああいった原稿も企業内にマンガを描く人がいるわけではなくて(いる場合もあるかもしれないけど)、外注のことが多い。
企業から必要なラフを渡されて、それをマンガに仕上げるといった仕事。
ロゴマークデザイン
一般企業のほか、飲食店、小売店などのロゴマーク作成もよく見かける案件。
クラウドソーシング系のサービスだとコンペ形式で複数のデザインを募って、そこから最もイメージに合うデザインやクリエイターが採用されるという感じのことが多い。
マスコットキャラデザイン
ロゴマークの延長のようなもの。企業の他にも、飲食店や小売店、病院などもマスコットキャラを発注しているのを見かける。
YouTube用マンガ原稿
これもよく見かける、YouTubeマンガの原稿。「スカッとした話」とか「泣ける話」みたいなのを漫画から動画にするというもの。個人で動画制作をしている人からの依頼が多い。
ラフや絵コンテを渡されてマンガに仕上げるパターンや、シナリオだけ決まっていてある程度お任せのようなパターンもある。
TRPGキャラの立ち絵・背景・素材作成
最近ブームが再燃しているTRPGの素材作成。
ユーザーに若い世代が多いせいか、好みの絵を描けるクリエイターなら実績にこだわらないクライアントも多い印象がある。
電子書籍の表紙・挿絵
今は個人で気軽に電子書籍を出版できるので、その表紙や挿絵を発注する人もいる。
同人誌や同人CDの表紙・ジャケット・ロゴデザイン
同人誌のタイトルロゴ、またデザイン的な要素が強めになるけど装丁など。
漫画を描くのが得意でもデザインが苦手な人も多いので、外部に発注するケースもよくある。
※ただし「お金をもらって既存のキャラのイラストを描く」というのは二次創作ガイドラインに抵触する場合があるので注意が必要です。
個人アフィリエイト用のマンガ・イラスト
個人でアフィリエイトをしている人もまだまだ多いので、「運営するブログのイラスト素材や広告用マンガを描いてほしい」という案件もある。よくある既存の素材ではまかなえないような、独自のイラストが必要な場合など。
似顔絵系
似顔絵と言っても一昔前のようなプレゼント用イラストは減ってきているかもしれない。逆に、SNSアイコンやプロフィール用などの似顔絵のニーズは増えているように思う。
主なクライアントはSNSを使って営業するフリーランスや個人事業主、YouTuberなど。「顔出しはしたくないけど顔は知られたい、覚えてもらいたい、親しみを持ってほしい」みたいなニーズは多い。
在宅でイラストの仕事を請けるには
そういった仕事は、クラウドソーシングをはじめとしたサービスで探し、請けることができる。
《クラウドソーシングサービス》
《その他スキルを販売できるサービス》
自分から提案するクラウドソーシング(企業からの案件多め)
クラウドソーシングというのは最近よく聞く業務形態で、
個人や企業が「こういう業務を○○○○円でお願いしたいです」と案件を出してくる
↓
それに対してクリエイターたちが自分のアイデアやイラストを提案
↓
採用された人が仕事を請ける
こんな感じのコンペ形式が一般的。人気のコンペは難易度が高いけど、初心者でも十分挑戦できる案件も多い。もちろん自分から出品したり、実績を積んでスカウトを待ったりする使い方もできる。
自分はランサーズ とクラウドワークス を使っている。初心者限定の、初心者に実績を積ませることを目的とした案件を出してくれることもあり、最初の頃にはあれこれとお世話になった。
他に、使っていて感じたメリットはこんな感じ。
- 先方が料金を提示していることがほとんどなので、料金相場を肌で感じることができる
- 企業案件など、普通にしていたら知り得ないような仕事を請けることもできる
- 他クリエイターの仕事ぶりやスキルを見ることができる
受け身で待つコミッションサービス(個人からの案件多め)
その他にもスキルを販売できるサービスは増えている。たとえばコミッションサービスという形式もあって、これはもともと海外の「絵が描ける人にお金を出して、自分の描いて欲しい絵を依頼する」という文化なのだそうだ。
※「絵を描いてもらうのにお金を払うのは当たり前では???」と思うけど、日本だと「絵が得意なんでしょ? タダで描いてよ……えっお金取るの!? 信じられない!」になるほうが多い。そこの不利益を解消してくれるサービスでもある。
「イラストの仕事を受注する」というよりは「有料でイラストをお願いされて描く」みたいなニュアンスが強いので、初心者でもとっつきやすいかもしれない。
有名なところでは「スキルのフリマ」というキャッチコピーのココナラや、コミッションサービスというくくりのSKIMA などがある。Skebはリクエストを受けて有料で描き、細かい注文や打ち合わせは無し、という、クリエイターの負担を最小限にしたサービス。
SNSは「併用」という感じで使っています
SNSだけでイラストの仕事を募集しようとしても、なかなか苦労するかもしれない。仕事を発注したい人にしてみれば、SNSで探すよりクラウドソーシングなどクリエイターの素性がはっきりしているところで探した方が効率がいいし、クリエイターの裏付け(本人確認)もとれていて安心だから。
クリエイターにとっても、SNSでイラストの仕事を募集しても依頼が集まりにくいばかりか「納品したのに依頼人が音信不通」とか「料金を踏み倒された」みたいなことも起こりうる。またお金のやり取りのためには個人情報も渡さねばならず、そのへんも不安。
クラウドソーシングやコミッションサービスはクリエイターの代わりに請求業務をしてくれる(料金から手数料を引いた分がクリエイターに振り込まれる)ので、よけいないざこざに悩まされず業務に専念できる。
もちろんユーザーの多いSNS(TwitterとかYoutube)で自分の作品を広く見てもらうのは宣伝効果が高いので、「SNSで知ってもらって、依頼はココナラから」みたいに流れを作っている人もいる。
※ココナラの場合、逆はできないみたいです。ココナラで目をつけたクリエイターさんとサービス外で連絡をとって依頼をするみたいなのはNGなもよう。(そりゃそうですね)
身につけておくと有利かもしれないスキル
今はイラストの仕事を請ける場合ほとんどがデジタル。
自分の場合、結婚式のウェルカムボードとかおじいちゃんおばあちゃんへの似顔絵プレゼントなど「どうしてもアナログで描いてほしい」という案件も無くはなかった。けど、ほとんどの場合デジタルでデータを作成してデジタルで納品する。
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)
仕事でマンガを描くなら、クリスタ。
web漫画を手書きで書いてそれをスキャンして……なんてわけにはいかないし、デジタルで描くにしても効果線を一コマ一コマ手描きで入れていくのでは時間がかかってしまう。「時間のわりに身入りが少なく、割に合わない→食っていけない」ということになる。
また、依頼するほうにしても、同じレベルのクリエイターならクオリティが安定していて手が早い方が良いに決まっているし、そもそもクリスタデータでの納品を要求されることもある。
クリスタが使える人とそうでない人とでは、請けられる仕事の量も幅も、かなり差が出てきてしまう。
クリスタは最大で6ヶ月の無料体験期間があり、その間に十分使い慣れることができる。(随時調べながらでも作業はできるので、完全に習熟する必要もないと思う)
ペイントソフト CLIP STUDIO PAINT 無料体験版のダウンロード
主流のソフトなだけあって関連書籍も多く、独学するにもあまり苦労しない。
イラレとフォトショ(Adobe IllustratorとPhotoshop)
自分はたまたまIllustratorが使えたためにデザインの仕事を請けることができた、といういきさつがある。
クラウドソーシングで実際の案件を見ると分かる通り、ロゴデザインやパッケージデザインなどAdobeソフトを使うような業務は多い。
Adobeソフトが使えれば請けられる業務が増え、アドバンテージになると思う。
書籍を利用して独学で習得する(時間がある人向け)
特にイラレは多少クセがあるものの独学でも時間をかければ十分習得できる。(自分もすべて独学で習得していますが、趣味に絡めて実際に何か〆切に追われながらデータを作って覚えるのが早かったです。書籍は友人にもらったムック本一冊だけでやっていたけど、なんとかなりました。)
初心者向け
初心者〜中級者向け
オンライン講座で習得する(早く身につけたい&Adobe CC代を節約したい人向け)
ただ、Adobe CCのコンプリートプランは月額5,680円。1年分だと68,160円(価格は変動があるので要確認)。この価格は、まだ軌道に乗っていないフリーランスにとってはネックになる。
Adobe CC代を節約するには、Adobe認定パートナーのスクールを受講すること。一般向け価格ではなく、学生向け価格で使える。
たとえばデジハリオンラインスクールのAdobeマスター講座だと、3ヶ月の講座+Adobe CC1年分込みで39,980円。かなりお得な講座、というかむしろAdobeCCがお得に使える裏技とも言える。
イラストの仕事は間口が広く、その分チャンスもあり厳しくもある
自分も全くの未経験状態からデザインの仕事をさせてもらった身なので、「未経験でイラストの仕事なんかできないでしょ?」と不安になる気持ちがよく分かる。
でも、ひとことでイラスト関係の仕事と言っても幅が広い。
言い方が難しいのだけど、自分が未経験から仕事を始めてみた上で感じたことを言うと、「高いお金を払って熟達者に頼むまでもない案件だから、ちょっとくらいクオリティが下がっても安い価格で描いてほしい」みたいなことはたくさんあるのかもな、と。だからこそ自分みたいな経験の浅い者が任せてもらえた仕事もあるのだと思う。
(もちろん、質の高いものを求める人はそれなりの金額を払ってしかるべきクリエイターに依頼する。)
逆に今は、自分が経験を積んだことで時間単価が上がり条件から外れてしまった仕事もある。あとからきたクリエイターに「安く早く描きます! 直しも無制限!」なんてやられると「ちょ、ちょっと待ってくれよー! そんなことされたらこちとら商売上がったりだよー!」と焦ってしまうこともある。
しかし、そうなったら、自分のニーズがある場所を自力で新たに見つけていくしかない。どこの世界も厳しいということだと思います。
ただ、厳しいけれど始めるチャンスは誰にでもあるということなので、迷っているようなら試してみることができるのかなあと。