ネットでイラストの仕事を請けるためにポートフォリオを作りたい。なるべく簡単に作るにはどんなツールがいい?
まだ未経験だし、載せる絵がないよ……ポートフォリオに二次創作イラストって載せて大丈夫?
という人向け【ネットでイラストの仕事を請けるためのポートフォリオの作り方】についての記事。
※この記事では、クラウドソーシングやSNSなど、ネットでイラストの仕事を募りたい初心者さん向けの情報を書いています。アニメ制作会社やデザイン会社に就活に行くとかの場合はまた別なので、クリエイティブ系に強い就職コンサルタントに相談してください。
私自身「ポートフォリオを作って打ち合わせで見てもらう」という経験をしたこともあるけれど、「応募者のポートフォリオを見てお仕事をお願いするかどうかの判断をする」という反対の立場の経験もある。
その上で感じたのは、「ポートフォリオというのは"何が描けるか"を短時間で確認して判断するためのもの。体裁はどうでもよく、絵が見やすく見られればそれでいいな」ということだった。
自分の経験をもとに「どんなポートフォリオを作れば簡単で、かつ見やすいか」について考えてみた。
「ポートフォリオって何を伝えるもの?」
依頼する側だったとき、ポートフォリオで知りたかったのはこんなところ。
- どんな絵が描けるのか(得意ジャンル。メカ、風景、人物など)
- どんな絵柄が描けるのか
- どんなソフトをどれくらい使いこなせているのか(どんなデータが作れるのか)
ネットのイラスト仕事の場合、たいてい依頼人というのは、
「化粧水の広告用に4Pほどのマンガを描いてくれる人を募集したい。こちらのネームをマンガに起こせる程度にマンガのスキルがある人求む。女性向けの商品だから絵柄は萌え系よりもいまどきのすっきりかわいい感じがいい」
みたいに目的やイメージをはっきり持って、条件に合うクリエイターを探していることが多い。
その条件に合うかどうかを、ポートフォリオを見て判断したい、ということ。
この例であれば、ポートフォリオのイラストの画風が"大人かわいい"感じで、さらにクリスタを使用して作成したマンガの作例画像が載っていれば「このクリエイターさんは条件に合いそうだ!」ということになる。
絵をぱっと見ることができればそれで十分(できれば見やすければもっとありがたい)で、体裁がどうだとか、テンプレートがどうだとか、有料ツールを使って作成されているかどうかとか、そういったところは関係ない。
「まだ未経験で、アピールできるイラストがないんだけど……」
何も、仕事として描いたイラストしか載せてはだめ! というわけではない。
上でも書いたとおり、依頼する側は「どんな絵が描けるのかを見たい、そして判断したい」。
ポートフォリオはそのための手段である。
趣味で描いたイラストでも練習で描いたイラストでも、依頼人のニーズに沿うもの、判断のよりどころになるようなもの(※1)であれば、どんどん使ってアピールしてもらえると参考にできてありがたい。
※1 ラフイラストやらくがきなどは判断のよりどころにならない。仕上がったもので判断される。線画→色塗り→エフェクトくらいの途中経過や、カラーバリエーションなどの差分を載せてもらうのは参考になった。
また、実績の大小はさほど関係ない。実績というのは「私は企業や個人を相手にビジネス的なやりとりができ、問題なく納品できるクリエイターですよ」ということを示す程度のものだと自分は考えている。
「ポートフォリオに二次創作イラストって載せていいの?」
これはいろいろな考え方があると思うけど、まず最初の原則に立ち返ってみると、
ポートフォリオはどんな絵が描けるのかを伝えるためのもの
である、ということ。
そもそも二次創作が禁止なジャンルではダメだけど、禁止でないジャンルならポートフォリオに載せてもいいのでは、と自分自身は考えている。(もちろんそのキャラ絵を販売するとかはダメです。まずはジャンルのガイドラインを確認することが大切)
ただ、特定の作品の絵柄にそっくり似た絵しか描けない・そのキャラしか描けない、というようであれば、判断材料としては不利になるだろう。(それでは商用に使えないので。)
二次創作のイラストをポートフォリオに載せるにしても、キャラをそっくりそのまま描くのではなく、「キャラの誰々を自分の絵柄で描くとこんな感じにアレンジして描けますよ」みたいなことならば、力量も絵柄もアピールできて判断材料としては有用なのではないかと思う。
「ポートフォリオはどんなツールで作るのがいいの?」
ポートフォリオは見やすい・扱いやすいのが第一だと自分は考えている。
どんなのが便利かというとそれも人によるのかもしれないけど、画像をまとめてフォルダに入れて圧縮してメール添付で送られるより、SNSや無料のホームページサービスなどのほうが見やすく扱いやすい。(ただし、画像をまとめてメール添付で送って欲しがる人もいるので、本当に人による)
オンラインのポートフォリオを作るのであれば、簡単な順に、
- SNS(pixiv、Instagram、Twitterのメディア欄など)
- Tumblr
- クラウドソーシングのマイページ(ココナラなど)
- Jindoなど無料ホームページサービス
- WordPressのホームページ
といった感じかな? と思うけど、手間と労力からいって上の二つあたりは特に手軽で、誰でもすぐ作れる。
※複数のSNSをまとめられる『POTOFU』というサービスもある。すでに複数のSNSにイラストが散らばっちゃっているような人には便利かもしれない。
Twitterのメディア欄をポートフォリオとして使う場合
自分の場合は準備もなく急にデザインの仕事をすることになったので、ポートフォリオとしてTwitterのメディア欄を使うことが多かった。
というか、打ち合わせで「Twitterやってますか? どんな絵描いてるか見ていいですか?(見ますよ?)」と聞かれてその場で見られるということがけっこうあった。
そういう時代なんだ……! と感じておもしろかった。
Twitterのメディア欄を使う場合、「ペットの写真とかソシャゲのスクショが大量に挟み込まれていてイラストが見つけにくい」みたいな感じだとポートフォリオとして機能しないので、その点は日頃からなんとかしておく。
- ポートフォリオとして残したくない画像はそのつど消去する
- 見られたくないイラストは『ポイピク』などでよける
- 仕事専用のアカウントを作る
- モーメント機能(環境によって使えないこともある)や、ツリーでつなげて固定ツイートにしておく
※Twitterの仕様は変わることがあるので、その時々でより良い方法を採っていく必要があると思います。
tumblr(タンブラー)を使う場合
「Twitterをポートフォリオとして使うのは抵抗があるな……」「せめてなんかこうもうちょっとカッコつけたいんだけど」という場合はTumblrが手軽で便利だと思う。
Tumblrって一昔前のSNS……なイメージかもしれないけど、自分も使っていて、意外と便利に活用できている。交流よりも、淡々とお知らせをするSNSという感じ。
- 無料で使える
- ポートフォリオ用のオシャレな無料テンプレートがたくさんある
- 複数アカウントを作れるので、複数のポートフォリオを作れる
- 独自ドメインが使える
特に、複数のポートフォリオが簡単にできるので「そのときの仕事相手に対して必要なものをさっと作る」「別の仕事用にはまた別のを作る」みたいな使い方ができたのが便利でよかった。
InstagramやTwitterと違ってテンプレートもあるので、自分のイメージを醸し出すこともでき、埋もれにくい。
またTumblrは独自ドメインが使えるので「もし軌道に乗ったらのちのちHP作って本気出すかも」みたいな人は独自ドメインにしておくのもいいかもしれない。
JimdoやWixなどの無料ホームページサービスを使う場合
Tumblrよりもうちょっと手はかかるけど、自由度が高いのがJimdoやWixなどの無料ホームページサービス。
自分のTwitterアカウントの共有ボタンを設置したり、スライドショーをつけたり、複数ページを作成できたりもする。
自分もJimdoを使っていたけど操作性が自分には合わず、ちょっと苦労しました。
ココナラやクラウドソーシングのマイページを使う場合
最近では、クラウドソーシングのマイページをポートフォリオとして使う人も多いと思う。
たとえば『ココナラ
(※ココナラにTwitterのアカウントを載せて誘導する、といった逆の使い方はNGだそうです。)
イラストの他にも、使えるスキルやソフトの種類、経歴なども掲載できるので、情報量の多いポートフォリオとして使える。また他の人のプロフィールページを見ることで、ポートフォリオ作りの参考にもなる。
WordPressでホームページを作る場合
この中では最大にめんどくさいしお金もかかるけど、WordPressで一からホームページを作るという方法もある。
ホームページを作るのに慣れている人や、自分のブランディングを独自ドメインでしっかりしていきたい人、がっつりイラストの仕事をしていきたい人ならばWordPressもいいかもしれない。
このブログもWordPressで作っているけど、最初がそこそこたいへんだったので手放しで誰にでもおすすめという気にはならない。
ポートフォリオでチャンスを得ることもある
イラストを仕事で描きたい、そういうチャンスがあったら生かしたい、という人なら、「名刺がわり」な感覚でポートフォリオを作っておくのもいいと思う。
自分自身も「趣味で絵を描いたりしてます」みたいな雑談をしていたら「そうなの? 何か描いたもの見せてよ」と言われてTumblrをその場で見せたら仕事が決まった、ということもあった。
逆に、イベント会場などで「私はこんな絵を描くんですが、何か仕事ないですか」とスマホの画像を見せてもらったこともある。今のご時世ではリアルでそういうのは難しいけど、ネット上でもできる。
「この渾身のポートフォリオで仕事を勝ち取るんだ!」みたいに気合を入れて作るのもいいのだけど、最初はそこまで気負わず、「名刺がわりに自分のイラストを見てもらえるように準備しておこう」「見て見て〜」くらいの気軽なポートフォリオから始めてみると楽しいかも、と思う。