「絵描きに感想を送ったのに返事がない!」とモヤモヤしていたときの話

絵描きに感想を送ったのに返事がない。自分なりに精一杯の感想を送ってあげたつもりなのに、嬉しくなかったのかな?

長文で感想を送ってあげたのに、どうして返事をくれないの? 傲慢なのでは?

とモヤモヤしている人向け【考え方は人それぞれだから、自分の尺度で見返りを求めると不毛だというのを感じた】という話。

したごころ丸出しで感想を送りまくっていた頃の話

自分は個人サイト時代に感想がもらえないタイプの絵描きで、ジャンルの大手の人たちに「あわよくば恩恵にあずかれないだろうか……」とか「もしあなたに褒めてもらえたらがんばれるのに……」みたいなしたごころ満載でせっせと感想を送っていた時期があった。

たいてい返信は「たくさんの感想ありがとうございました」と数人分まとめられていたり、日記更新(個人サイトにはたいてい日記コンテンツがあった)のついでにちょろっと触れられるくらい。そのたびに「簡単に済ませやがって! 十把一絡げにしやがって! 私が絵が下手だと思ってバカにしやがって!」とドス黒い感情が湧き上がっていた。

要するに、自分の絵がたいしたことないというコンプレックスに加え、絵が上手い人から相手にされないことで、自分の存在価値を無視されたような気がして(勝手に)傷ついていた。

人ってたいてい「自分は無価値だな」と薄々感じつつも、普段はそれに蓋をして生きている。だから自分が無視されたりスルーされたりすると、自分には価値がないということを再度突きつけられた気がしてひどく動揺してしまうのだと思う。

それを、

「感想をもらったら返信をするのが人としての礼儀では?」

「せっかく褒めてもらっているのに喜ばないなんて、人として傲慢なのでは?」

みたいに「相手の人間性がなってない! 相手が間違ってる!」と思い込むことで、なんとか自尊心を取り繕っていた。勝手に感想を送られて勝手に敵視されて、向こうにしてみればほんっといい迷惑。

こんな気持ちは誰にも見せずにしまっておいたつもりだけど、絶対ににじみ出していたよなあ……そりゃこんな奴に近づきたくないわ。

感想を送った相手に自分の存在を認めてほしい、という、これも承認欲求の一つだったのかもしれない。

今となっては、恥ずかしさしかない。

でも気づけてよかった。せめて言葉に出さず自分の中にとどめておけてよかった。

自分が感想をもらうようになって気づいたこと

絵を描き続けていると、しだいに自分が感想をもらったりする機会も増えた。

そうすると「ん?」というような感情をぶつけられて、気付かされることもあった。

「仲良くなりたいから感想を送る」?

同じジャンルのROMの方から「あなたの絵が好きなので友達になってください」というメールをもらうことが、個人サイト時代はけっこう多かった。

相手も絵を描いていてお互いのセンスや感性に惹かれあうとかならまだしも、こっちとしては「知らないし惹かれ合えない相手とどうして仲良くなれるのか」ということになる。

これは「絵が描けないROMには興味ねーよ!」とか「底辺絵師となんか仲良くならねーよ!」いうことではなくて、お互いに惹かれあう要素があれば仲良くなれるかもしれないけど、無ければ難しいということ。

お互いに興味を抱き合えないと、仲良くはなれないのだと思う。

自分が大手さんに感想を送っても仲良くなれなかったのも、そういうことだった。

「ジャンルを離れて欲しくないから感想を送る」?

実際自分はハッキリこれを言われたことがある。

何年も前に連載が終わったどマイナーなジャンル(描き手が5人くらい)で二次創作をしていたとき、更新するごとにメールで長く感想を送ってくれていた人がいた。

いつも同じような文面だったから「書くことがないなら無理して感想送ってくれなくてもいいのに……なんだか申し訳ないな」と思ったし、実際やんわり伝えたこともあるけど「全然全然! 送りたくて送っているので! あなた様の絵が大好きなので!」ということだった。

私はなぜかいつも「なんか窮屈だな」と感じていて、「描きたいことは描き尽くしたなー」というタイミングで私はそのジャンルを離れることにした。

ホームページにその旨を書いたところ、その人から「ひどい! ジャンルにいて欲しいから今までずっと感想を送ってあげていたのに!」という長文の抗議メールが来た。

自分がなんとなくいつも窮屈に感じていた理由が、そのとき分かった。

自分の中のしたごころをはっきりと見つめる

自分はしたごころを持って感想を送ったこともあれば、したごころの含有された感想をもらったこともあり、人ってそういうもんだと感じるようになった。

したごころなんて持つべきではない! ではなくて、あってもしょうがないし、ゼロにはならない気もする。

ただ、「感想を送って"あげる"」みたいな感覚のときって、自分の経験的にはしたごころの含有量が高かった。それはけっこう相手にも負担になったりするし、自分があとで恥ずかしくもなる。

もう罪悪感を抱いたり恥ずかしい思いをするのはいやなので、したごころをはっきりと意識して見つめてみることにした。

自分の気持ちを客観的に把握することで、行動をする前にブレーキをかけたりもできる。

そもそも、人によって考え方が違う

SNSで絵を描いている人ってたくさんいるし、人それぞれ考え方が違う。

「感想をもらったらそれは応援だから、応援には感謝を込めて返事をすべき」みたいに考える人もいれば、「SNSで絵を投稿するのも自由気ままでよし、それに感想を送るのも自由でよし、返事も自由でよし」と考える人もいる。

こちらに無意識下のしたごころがあることで「感想を送ったら返事をしてくれるべきなのに!」みたいな負の感情が湧きがちで、それは相手にも窮屈だし自分をも苦しめていた。

なのでそこに気づいてやめてみたという話です。

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