真面目な人ほど絵の練習が続かないかも?その理由と心理学的な解決方法

絵の練習が全然続けられない。

何やっても続かない私って、根性なしのダメ人間なのかなあ……

と誤解している人向け【真面目な人ほど三日坊主になりやすく、絵の練習を続けられない心理学的な理由があるかも。絵の練習を毎日続けるには①中途半端なところで終わらせる②やりかけで別の絵に手をつける③次への課題を残しておく】という記事。

絵の練習に限らず、新しく始める習慣ってなかなか続きにくいもの。

人間には【現状維持バイアス】というのがあって、「今まで通り、何も新しいことをせずに現状維持で生きよう」というのが人間の本能だから。

「せっかく今まで平和に無事に生きてきたのに、何か新しいことを始めたらこの平和が壊れてしまうかもしれない」という不安が働いてしまうから、脳はなるべく新しいことを避けようとする。三日坊主は、もうこれ人間の本能みたいなものなんだと思う。

そこで心理には心理をということで、【ザイガルニック効果】を利用して三日坊主を防ぐ方法を考えてみた。

【ザイガルニック効果】とは?

三日坊主になりにくい心理のコツとして、【ザイガルニック効果】というのがある。

人は達成できなかった事柄や中断している事柄のほうを、達成できた事柄よりもよく覚えているという現象。

Wikipedia-ツァイガルニク効果

つまり、「中途半端にやりかけたままで終わっていないこと」が気になってしまう心理のこと。

たとえばゲームだってダンジョンのなかほどまで進めたあたりで用事が入って中断したりしたら続きが気になって気になってしかたない。テレビ番組の、いいところでCMをはさむ手法もこれだ。

絵の練習で言えば、「衣類までペン入れしたからあとは頭部だ」というところで止まっていたり「下塗りをして人物の左手だけ本塗りした状態」というまま放置したりしていると、気になって気になって続きをやり遂げなきゃ気持ち悪い! となるのではないだろうか。

これを利用すれば、明日につなぐことができるのではないか。

自分は中途半端なところでやめられないタイプ(よく言えば根をつめがちな真面目なタイプ)なのだけど、これを知ってからは「明日につなぎやすい練習の終わらせ方」を意識するようにしてみている。

明日につなぎやすい練習の終わらせ方

ザイガルニック効果を期待するために、自分はこんな作業のやり方をしてみていますという話。

  • 中途半端なところでやめる
  • 一つ完成しそうになったら並行して次を始める
  • 完璧を目指さず次への課題を残しておく

一見「逆じゃない?」という感じだけど、自分にはこれが合っていました。

中途半端なところでやめる

「よーし下書きは終了だ! キリのいいとこまで私がんばったぞー!」と達成感を得てしまうと、次の日腰を上げるのがおっくうになってしまう。

なので中途半端なところでムリヤリ今日の作業を中断しておく。というのをやっています。

できれば自分が好きな作業(あんまり苦労なくできる作業)を敢えて明日に残す。

だいたいの人って小学生の頃から「最後までやり遂げましょう」「キリのいいところまで終わらせたら帰っていいよ」みたいに言われて育ってくると思う。なので、真面目な良い子で育ってきた人ほど中途半端なままで作業を中断するのは最初はすごく抵抗があるかもしれない。

でも次第にこの「中途半端で中断している……!」という背徳感というか自分焦らし? が気持ちよくなってきて、今では自分は無意識で楽しく中断している。

「フォント迷うな〜! でもこれを決めるのが楽しいんだよね……明日に楽しみを取っておこう」「気持ちが乗ってきてがんばれば今日完成させられそうだけど、敢えてやめとこう!」みたいな感じ。

すると次の日「昨日の中途半端で止まってる作業が気になってるから早く再開したい!」となったりする。

それに、作業を中途半端でやめるのは体にもいい。

「キリのいいところまで終わらせよう」と根をつめると肩や首の痛みにもつながりやすい。自分は以前整体通いをするほど肩や首や腰をいわしていて、整体師に「身体は痛みを感じたらもう手遅れでリカバリーに時間がかかるので、痛くなる前に作業をやめなさい」と散々言われたのだけど、今やっと先生の教えを守れるようになりました。

一つ完成しそうになったら、並行して次を始めてしまう

でも絵の作業ってずっと続くものではなく、いつか完成してしまう。

「大作が完成したー!」と達成感に浸って3ヶ月くらい何にも絵を描かなくなっちゃう、なんてことも自分はザラにあって、趣味で描いている場合は別にそれでも困らなかったのだけど、仕事で絵を描くときにすごく困った。

仕事だとOK出たはずが忘れたころにリテイクを食らったり、追加で発注があったりというのがやっぱりある。一回切ってしまっているから気持ちのエンジンがどうしてもかからずに泣くほどの苦痛を感じてしまい、これではいかんと気持ちを作る工夫を考え直してみた。

その一つとして、一つの作業が終わりそうになったら次の作業を並行して始めてしまう、というのがよかった。

別の絵を描き始めるとか、次に描くものの資料を探し始めるとか、仕事の場合は納品間近まで作業が進んできたら並行して別の案件のラフを描き始めてしまうとか。

エンジンを切らない。必要以上に達成感を味わわない。最小限の集中力は切らさない。みたいな感じ。

自分のまわりの人々も、まだ今原稿中なのにもう次の本の構成の話をしたりしていたりする。あれも今の本を脱稿してふぬけてしまうのを防ぐ効果があるというか、無意識で次へつながる気持ちの持って行き方をしているのかもしれない。

完璧を目指さず次への課題を残しておく

これは何も今の絵に全力を出すなとかいうことではなくて、描いていてどうしても「ここ本当はもうちょっとアレだな……」「もっと色がこう、アレしたかったな……」みたいな箇所ってあると思う。

それを完全に満足いくまでこだわって直すのではなく「ここは次の絵ではこうしてみようかな」みたいな感じで次への課題として取っておくほうが、作業も進むし次の絵も描けるし良いんじゃないかと最近は考えている。

今のこの一枚を俺の生涯最後の最高傑作にするのだ! という気概も尊いのかもしれないけど、それだとそこで終わっちゃうよね……。で、描き上げたらしばらく描かなくなっちゃうよね……。人生はまだ続くのに。

だから今にこだわりすぎずちょっと先を見るというか。子どもの頃に自転車の練習をしていて「ちょっと遠くを見て乗ると安定するよ」とアドバイスされたことがあるけど、そんな感じにも近い気がする。

真面目な人ほど三日坊主になりがち。不真面目に適当に。

三日坊主の原因って、小さい頃に植え付けられた「最後まできちんとやり遂げなきゃダメ」「終わるまで帰れない」「一つのことを終わらせてから次をやるべき」という感覚なんだと思う。

それを真に受けてがんばっちゃう真面目な人ほど、三日坊主の素質があるわけだ。

なのに「三日坊主になっちゃうのは私がダメ人間で不真面目だからだ……もっと真面目にならなきゃ」と間違った方向へがんばってしまうのでよけい三日坊主になる。

教育って難しいですね……。

大人になってその染み付いた考え方をいったん解除してみたら、「なんだ、このほうが効率いいし精神衛生的にもいいじゃん!」となったので、書いておきました。

三日坊主にならないコツを考えてみた
  • 中途半端なところでやめる
  • 一つ完成しそうになったら並行して次を始める
  • 完璧を目指さず次への課題を残しておく
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