絵が上手くなりたいけど何もしない…そんなぬるま湯から出る方法とは

絵が上手くなりたい……けどあれはやりたくない、これもお金がかかるからイヤ、それもめんどくさいな……ああどうせ私は才能がないんだ、つらい……

な人向け【絵描き仲間を作ったりプロの指導を受けることで「上手くなりたいけど何をしたらいいか分からないから何もしない」という膠着状態を脱することができるかもしれない】という話。

「絵が上手くなりたいけど何もしない」のはなぜなのか

この記事は、

絵が上手くなりたいと言いつつ何もしない(あるいは自分流でちょっとやってみるだけ)→当然上手くならない→「どうせ自分はセンスも才能もないんだ……」と落ち込む→でもやっぱり何もしない(あるいは自己流でちょっとやってみるだけ)……

みたいな無限ループにハマってウツウツとしている状態の人向けです。

どうして「絵が上手くなりたいけど何もしない」のか。自分の経験をもとに考えてみた。

「絶対に上手くなれる保証や証拠がないことはやりたくない」から

デッサンとかクロッキーとかいろいろな練習方法があるけど「それをやったら絶対に上手くなるの? 証拠は? やった人のビフォーアフター見せて?」みたいに自分もつい考えてしまっていた。

これは「少しでも楽をしたい人間の心理」だから仕方ない。

少し前にTwitterで100日絵の練習をした記録をまとめた記事が話題になったけど、あれを見て「へー、100日でこんなに上達できるかもしれないなら私もやってみよう!」ではなく「100日でこんなに上手くなるわけない、ウソをつくな」「どうせもともと上手かったんでしょ? ウソをつくな」みたいに否定的な反応をしていた人も一定数いたようだ。

その心理を考えてみるに、

「100日がんばれば上達するのか……でも私は100日もできないしやりたくないな」

↓(がんばらなくていい理由が欲しい)

「これはウソの証拠だ! 100日がんばってもどうせ上手くならないに決まってる。だから私は100日がんばる必要はない!」

ということなのかなと思う。

イソップ寓話の『すっぱいブドウ』みたいな感じ。

狐が己が取れなかった後に、狙っていた葡萄を酸っぱくて美味しくないモノに決まっていると自己正当化した物語が転じて、酸っぱい葡萄(sour grape)は自己の能力の低さを正当化や擁護するために、対象を貶めたり、価値の無いものだと主張する負け惜しみを意味するようになった。

Wikipedia-すっぱい葡萄

最初から葡萄を取るチャレンジすらしていないあたり、狐よりも負け惜しみがヒドイかもしれない。

「今の自分のセンスや才能で何とかなると思っている」から

あれもできない、これもイヤだ、それもしたくない、じゃあどうしたいのかというと、「自分の持って生まれた才能とセンスでなんとかしたい」。

「人に習ったら私のオリジナリティが失われてしまうから……」と言って、いつか自分の中の才能が花開けばいいな〜と何もせずじっと座って眺めている。水もやりたくない、肥料もあげたくない、手入れもしたくない。

そしてたまに「もー、私の才能いつ咲くの!? あの人のはもう咲いてる、いいなー、きっと日当たりがウチよりいいんだ。ズルい!」とイライラしたり「全然咲かない……どうせ私は才能ないんだ、このタネがきっと虫食いだったんだ、芽が出るはずないよね……あーあ、私は運が悪い……」と嘆いたりを繰り返す。

「どうせ私は才能がないんだ」と何もしないでいるのは、「努力はしないで才能だけで上手くなりたい」と紙一重で、自信がないと思っていたら実は傲慢なだけだった過去の自分。

ぬるま湯から出るためには少しずつお湯を足す

「どうせ……」と言ってイジイジと自分をいじめて何も行動しないのは、ぬるま湯に浸かっているみたいである種の気持ちよさがあるから、なかなか出られない。

自分も長年、いろいろなぬるま湯でダラダラと生きてきた。痩せたいけどダイエットはしたくない、絵は上手くなりたいけど練習はしたくない、資格欲しいけど勉強はめんどくさい……などなど。思えば人生の9割くらいぬるま湯ダラダラだったかもしれない……。

そんな感じで何においてもとことんろくでなしの自分だけど、自己嫌悪から抜け出そうといろいろとあがき始めるときっかけというものが降ってきて(今までも無数にあったけどぬるま湯ブクブクしてたから見えてなかった)否応なくぬるま湯を出ざるを得ないような経験も何度かした。

そのうち、そんなに大きなきっかけがなくても自分できっかけを作れるようにもなってきた。「ぬるま湯から出るためには、少しずつでもお湯を足して、熱くて出たくなるようにすればいい」ということもなんとなく分かってきた。

絵を描くことで言えば、誰か他人の力を借りて今よりも上手く描く方法を習ってみる、など。

絵を習ってみる

今はオンラインスクールも増えてきて、プロの指導を格安で受けられるようになってきた。ここでは、比較的安い費用で受講できるアニメ私塾とパルミーについて挙げてみる。

【アニメ私塾】と参加方法について

自分も使っている書籍なのだけど、『アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術』は、絵描きオンラインスクール【アニメ私塾】のノウハウを書籍化したもの。

Twitterでも有名なので、絵を描く人なら【アニメ私塾】という名前を見かけたことがあるかも。

書籍を読んでみると、室井さんは「画力は技術を"知る"こと、つまり記号(現実をアニメ絵にデフォルメする簡略化の方法)という情報をたくさん得ること」という考え方で、そのためのノウハウを共有してくれている方。

「私塾」という名称や室井さんのいかつめなビジュアル的に「熱血根性で描きまくれ!」みたいなイメージを勝手に持っていたのだけど、実は真逆だった。

【アニメ私塾】さんは公式ホームページが無く、TwitterやFacebookでの情報発信がメインのようだ。

  1. アニメ私塾ネット村に参加(これはFacebookのプライベートグループで、実名アカウントでのみ参加可能。年会費13,200円)
  2. 1月からアニメ私塾塾生募集開始
  3. 3月に入塾手続き、4月に受講スタート  (※2022年の場合)

※Twitterの【アニメ私塾ネット村参加フォーム】のリンクはなぜかスパム扱いの警告が出てしまうけど、リンク先はGoogleフォームです。

【アニメ私塾ネット村参加フォーム(2022年2月14日〆切)】

2022年10月アニメ私塾ネット村新規・更新参加フォーム(次回10/13日夜10時〆切)
⬇︎ 2022年10月アニメ私塾ネット村新規・更新参加フォーム(次回10/13日夜10時〆切) * The English description is below. アニメ私塾ネット村参加同意書 ●アニメ私塾受講説明会ネット村 レジュメ(...

まずはオンラインサークルの【アニメ私塾ネット村(年会費13,200円)】に参加してみて、そこからお金を払って学びたいということであればオンラインスクールの【アニメ私塾(年間受講料99,000円〜)】に申し込むという形。

こんな人に向いているかも
  • 励まし合える絵描き友達・仲間が欲しい人
  • 仲間たちと切磋琢磨したい人
こんな人には向いていないかも
  • 刺激を受けたくない、マイペースを貫きたい人
  • 「自分はそこそこ上手いから他人の教えを請いたくない」という人
  • Facebookの実名アカウントを作りたくない人

【お絵かき講座パルミー】について

講座ってどうしても講師に対する合う合わないが出てくるのと、「自分は他の絵描きさんと交流とかは苦になるから一人でマイペースに受講したい」ということもある。(私はこっちのタイプ)

探してみて自分に合うかもなと思っているのが【お絵かき講座パルミー】。たくさんの講師がそれぞれの得意分野で講座を持っているオンラインスクールなので、自分に合う講師の受けたい講座だけ受けられる。

ほんの一例としては、

  • 砂糖ふくろう先生の「ジェスチャードローイング」
  • よー清水先生の「背景入門」
  • 斉藤拓也先生の「構図講座」
  • かとうひろし先生の「マンガ入門」
  • 田中貴久先生の「イラストレーターのための確定申告」
先生一覧| お絵かき講座パルミー
パルミー(Palmie)はイラスト・マンガの描き方が学べるオンライン教室。顔や身体などのキャラクターの描き方、背景イラストなど満載。初心者歓迎のサイトです!

無料の講座もたくさんあるので、自分は気になる講座をちらちら見たりしている。(無料会員登録は必要)

もし「自分に合いそうだからもっと高度な講座も受けたい」と思えば有料で受講することができるのだけど、最近砂糖ふくろう先生の「ジェスチャードローイング講座」が気になり始めているところ。(ふくろう先生は、確かたてなか流のワークショップにも参加されていたような記憶があるので)

こんな人に向いているかも
  • マイペースで一人でコツコツやりたい人
  • 自分が何を学びたいかがピンポイントで分かっている人(構図を知りたい、動きのある人体を描きたい、背景を描けるようになりたい、など)
  • いろいろな講師にいろいろな方面を学びたい人
こんな人には向いていないかも
  • 自分の得意不得意が分からない人
  • 何を学びたいかが分からない人
  • 自分一人だとモチベーションが続かない人

【パルミー】は月謝制で1ヶ月から申し込むことができ、6ヶ月プランにすると月々の月謝が割安になるシステム。割引キャンペーンも多くて7日間のお試し期間もあり。(自分用覚え書き)

パルミー公式サイトで詳しく見る

脳が警戒しないよう、軽い気持ちで出来ることから始める

オンラインで学ぶ方法はたくさんあるのに、「うーん、でもなあ……」となってしまう。

人間の脳というのは「なるべく新しいことを始めたくない、現状維持で安全にいきたい」と考えるものらしいから。「よし! 上手くなりたいからオンラインスクールを受講してみよう! ポチッ!」みたいなことってなかなか難しくて、まずは「やらなくてもいい理由」を一生懸命探そうとしてしまう。

そこらへんを回避するコツも、ぬるま湯常駐者だった私には分かってきている。

脳が警戒しない程度のことから、軽い気持ちで少しずつ始めるのだ。

なるべく、しれっと、少しずつ、じわじわと慣らしながら脳に気づかれないよう誘導していく。

たとえば、

  • 書籍を一冊だけ買ってみる
  • 無料講座だけチラッと見てみる
  • 気になる講師さんがいれば、SNSをフォローしてみる

みたいなこと。これを私は「少しずつ熱いお湯を足す」と言っていて、最近ぬるま湯だなー出なきゃなーというときに試している。

最初からバーンと1年分の講座を契約する! とかだと「こんなに大きな変化を起こして大丈夫なの!?」と脳が警戒してしまうので、まずは書籍を"一冊だけ"買ってみることから始めたりとか。

自分は今までいわゆるアニメ絵をあんまり描いてこなかったため、アニメ絵の「こういう動きはこんなふうに描いたらそれっぽく見える」というのを身につけたい、というのがあって、なんとなくゆるっと手に取ったのが『アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術』。これを模写して使っていた。

この書籍でアニメ私塾の室井さんの教え方を知り、自分の欲しているものと一致したため『なぞるだけで絵がうまくなる! アニメ私塾式 キャラ作画上達ドリル』も買ってみたらこれも自分の欲している方向に合っていた。

なぞって本当に上手くなるの? と思っていたのだけど意外な効能が多く「素直に上手い人の描き方を教わるのって楽しいな」という感覚が得られた。

なぞって描くことの意外な効能や楽しさに気づけた話について書いています

また、【パルミー】きっかけで知った よー清水先生の『「キャラの背景」描き方教室 CLIP STUDIO PAINTで描く! キャラの想いを物語る風景の技術』という書籍も買ってよかった一冊です。

本を一冊買ってみるというちょっとしたことでも、そこから派生して「やってみたい」と思えることが増えていくもんだなと感じた一連の流れ。

「人に教わる練習」から始めるつもりで取り組むといいのかも

昔の自分を顧みると、「絵が上手くなるための練習」より先に「人から素直に教わる練習」が必要だったように思う。

絵って自分の内面から出るものだからか、つい「人に教わりたくない! 私が自分一人で描きます!」みたいになりがちで、上手くなりたいとか言うくせに自分は謙虚さを忘れがちだった。

「これなら自分にも無理なくできるかも」「この講師の指導なら素直に聞けるかも」みたいなところから少しずつ「素直にプロに教わる」という感覚に慣れている最中だけど、かたくななプライドを少しずつ手放すことで、だいぶ楽になりつつある。

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