ルーミスの『やさしい人物画』。私はこんなふうに模写して使いました

「ルーミスの『やさしい人物画』って読んでもよく分からないんだけど…これって役に立つの?」

「模写すると効果があるって言うけど本当かな? どんなふうに模写すればいいの?」

という人向け【私はこんなふうに模写して使っていました。効果があったかどうかは知らん】という記事。

ルーミスの『やさしい人物画』。私はこんなふうに模写して使いました

みんなが一度は通るのでは、という定番のルーミス『やさしい人物画』。

「ルーミスの本はすごく勉強になった」という人と「わけわからんし、意味なかった」という人に分かれると思う。

自分の場合は「ルーミスに出会わなければあのまま絵を描くのやめてたな」というくらいありがたい存在なので、肯定派がどんな使い方をしたのかについて書いてみようと思う。

全身のバランスを知るために模写をした

私がルーミスを手にしたときの目的は"美術解剖学を勉強するため"。

美術解剖学とかいうと「難しそう」となってしまうけどいざ中身を見てみると、乳首から乳首の距離は頭一個分とか、ひじとへそは高さが同じとか、くるぶしは内側が高いとか、そういうことが分かりやすく描いてある。

それを「へえー」と言いながら見て描き写してみるという使い方をした。

他にも胸の筋肉とか骨格の図解とかたくさんスケッチや図が描かれています。

全身のバランスを今まで一度も確認したことがない場合、模写してみるとちょっとしたことで「あ、へえ」となると思う。別にそっくり描き写すのが大事なわけではなく、私は「あ、へえ」と感じることに重点を置いている。

「模写くらいやったことある。バランスなんてだいたい分かってるよ」と思っていても、改めて模写してみると「あ、そうか」ということもある。

私は今まで何度か模写しているけど、さっきこれを描きながら「あ、そうか、膝の皿の底が線の上か」となった。いつももうちょっと下に描いてしまってた。

普段好きなキャラを描いているときも「なんかスタイルがイマイチだな……」と感じたら、へそと乳首と肩の骨の位置関係をチェックしてみたり、ひじとへその位置が合っているか見てみたりするとだいたいどこかずれていて、おかしい部分にすぐ気づくことができる。

こういうのを踏まえてpixivのランカーさんの作品を見たりすると、「この作品はデフォルメ絵だけど、すごく自然に見えるなあ。人体のバランスが正しいんだな」とか「この作品の違和感はなんだろう? ああ、ひじが下すぎるのか」とか発見があって面白い。自分が描くときにも活かせる。

※「ルーミスって役に立つの?」という人はたぶん、「いや、だって、私はそんなムキムキのキャラ描かないし!」というのがあると思うんだけど、女性の人体もちゃんと描かれてあります。(東洋人や子ども、青年の人体もあるけど割合は少ないです)

※あと、ムキムキの男性がモデルだと筋肉のつき方が分かりやすいというのもポイントなんだと思う。シュッとした細身の男性にも筋肉は同じ位置についているわけなので、そこは押さえつつ細身体型に応用していく、みたいな使い方ができると思います。

頭の形の基本を知るために模写をした

頭蓋骨の形、私はルーミスでちゃんと意識して描くようになった気がする。

特に苦手な顔の向きを描いたりしたとき「なんか顔のバランスおかしいな」となったら、このアタリの取り方でパーツの位置を確認することができる。

耳の位置も上のように把握することで、描くたびに「もっと前か? うん? 上すぎるかな?」と迷うこともなくなった。

※「ルーミスって役に立つの?」という人はたぶん、「リアルな顔を描きたいわけじゃないからそういうの必要ないです」と感じるんだと思う。でもデフォルメ系の絵柄で描くときでも、骨格を把握しておくと同じように役に立つ。(もとのバランスを知らないことにはデフォルメもできない)

描きたいものがないとき、モチベーションが下がったときにも模写をした

最近また模写をしていて、「見て描くだけ」というのがむしょうに落ち着くときってあるな、と感じている。

見て描く・そのまま描くって、無になるので。

自分の好きな絵を好きなように描くというのは楽しいけど、一度に沢山のMPを消費する感覚がある。気力の残りが少ないときにはちょっとしんどい。

その点模写は気力がなくても体力があればできる。

だから、「一から好きな絵を描く気力はない、でもなんか練習しておきたい」というときに(ルーミスに限らないけど)模写することにしている。

気力が尽き果てたときも、何度も模写している一冊が手元にあるとお守りになる。

ルーミスの模写の効果ってあるのかと言われると、分からない

「で? ルーミスの模写で絵が上手くなったの? 効果はあったの?」と言われると、分からない。

絵が上手くなったかどうかは、数値化できるものではないから。

でも上に書いたとおり、私が感じている効果というのはあって、

  • 顔のパーツの位置に迷わなくなった
  • バランスがおかしくてもリカバリーできるようになった
  • 人の作品を見る目が養われた

こんなところ。

テニスやゴルフだって素振りだけしていれば上手くなるわけじゃないのと同じで「目に見えてどうというわけじゃなくても、なにかしらのプラスにはなっている気がするな」という感じ。

個人差もあるだろうし、その人の今のコンディションや熟練度にもよると思う。(ある程度長くいろいろ自己流で絵を描いてきたけど伸び止まりや行き詰まりを感じている、くらいな人だとちょうどいい気がする。自分がそうだったので。)

「そんな不確かな効果しかないなら意味がないからやらない」ということでもいいと思うし、

「まあ絵の練習なんてそんなもんだよね、ちょうどモチベ落ちてるしやってみるか」ということでもいい。

なお、もう買ったとか手元にあるとかなら"読むだけで終わり"というのはもったいないかなと感じる。

これらの本の中身は全て"プロが、私に教えるために描いてくれた絵"なのだから。

ワークショップでプロに目の前で絵を描いてもらったのと同じ価値があるのに、それをボサッと見て終わりではただの通りすがりの見物人になってしまう。お金も払ってるのに!

「効果なさそうだし買わない」ならいいと思うけど、「買ったけどチラッと読んだだけ。ぜんぜん効果がなかった」ということなら、「えー、せっかくだからちょっとだけ見て描いてみなよ〜」と袖を引いてゴネたい気持ちはあります。

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