クロッキーって効果ある?なんの意味があるの?初心者でもできる?上手く描けないしやりたくない……
とクロッキー嫌いで悩んでいる人向け、【クロッキーは上手くなくても初心者でも大丈夫。自分は脳と手の準備運動&気持ちを上げるためにやっています。】という記事。
「クロッキーなんて効果ない!」と思いたい人が多いみたい?
ブログの検索ワードで「クロッキー 効果ない」「クロッキー 意味ない」というのが多いんだけど、クロッキーの効果を実感できない人が多いというよりは、クロッキーが苦手なために"クロッキーに効果がない証拠"が欲しくて検索している人もいるのかも。
確かに、短時間でササッと形をとらえろと言われてもなーって感じだし、焦るし、雑な描きかけみたいになって未完成感が強いし、なんか自分の絵がよけいヘッタクソで未熟に見えるし、全然上手くなってる気もしないしで、苦手に感じる人が多いのも分かる。
それでも「嫌だけど、もしクロッキーに何かすごい効果があるんだったらやらなきゃ損だしな……」という恐れから、やらなきゃとは思っていて、でも隙あらば「クロッキーなんか効果ないよ! やらなくてOK!」と言ってくれる人を探している……という状態。(昔の自分です)
大前提として、そんなにやりたくないならやらなくていいと思う。授業とか課題で強制されているわけではないのなら。
目指すは【半自動無意識的クロッキー】
自分も美大受験組だったけど、「クロッキーをこんなふうにやれ」みたいに指導された記憶はほとんどない。
ただしまわりのできる受験組は、普通に、息をするように、"クロッキー帳に見たものの形をとらえるという行為"をしていた。話の合間に、指導教諭が前の人の添削をしている待ち時間に、デッサン練習をする前に、数分だけ集中して何か描いていた。自分もちょっと真似してみたりした。(形から入る派)
あれが今思えばクロッキー。半自動無意識的クロッキー。
鉛筆と紙がある、目の前にヒトがいる、モノがある、となるとつい描いてみちゃう。「つい描いちゃう」の数分の積み重ねが何十時間、何百時間になっていき、より短時間で形をとらえられるようになったり、コツがつかめたりつかめなかったり、つかみかけたものが10年後につかめたりする。のかも。と、今となっては思う。
他にも、こんないいこと(?)もある。
- 思った通りに手が動くか確認できる
- 自分の線を、絵を描くまでのテンションに持っていける
- 時間を無為に過ごしてないぞという安心感がある
- 形に興味が湧く、何かしらの発見がある
- 実物を見て描いてみないと分からないことってけっこうある
- 意外と面白い仕上がりになると嬉しい&楽しい
- ワタクシ絵を描いてます感を自分に対してかもしだせる
一つ一つは全く大したことないけど、ちょっとした、どこに効いているのかも分かりにくいけど何かを積み重ねている。日常の習慣で、無意識のうちに。
自分はクロッキーってそこがキモなんじゃないかと考えている。
もっと言ったら、人生まるごとそういうものだと思う。
それを、「絵が上手くなるにはクロッキーが必須! 効率的なやり方はこれ! 一日○時間やりましょう!」みたいに言われたり、スマホで時間を測って「はい5分! 終わり! 描けたかチェック!」とかやったりするんじゃ、そりゃあイヤになる。やりたくなくなる。"効果がない証拠"を探したくなる。
特にとにかく早く絵が上手くなりたくて焦っている状態だと効率や効果を優先して求めてしまい、「効果のほども分からないのに、そんな悠長なことやってられっか!」になる気持ちも分かる。
でも、半自動無意識的クロッキーならやるとかやらないではなく無意識のうちにやっちゃってるので、「嫌だけどやらなきゃと思っている」ならばそちらを目指すのもいいかも。
もっとクロッキーを気軽にシンプルに考えてもいいのでは
やりたくないのに無理してクロッキーをやらなくてもいいと思う。風邪薬みたいに効果効能がはっきりしている手法でもないと思うので。
でも「いや、興味がないわけじゃないんだよね、しんどくないならやってみてもいいんだけど……」と思う場合は、もう少しプレゼンを読んでいってください。
クロッキーは発声練習みたいなものだと考えてみる
ウォーミングアップ&線のテンションを上げるためにやる
クロッキーというのは1分、5分、10分など短時間で形をとらえる練習で、他のもので例えると発声練習とかストレッチみたいなものに近い。自分の体を思うように使えているか確かめる、または使えていない体を調整するために行う。当然、初心者だってスキルに関係なくできる。
また、自分は普段テンションが低くて線のテンションも低く、いきなり絵を描こうとしても線が死んでいることが多い。それこそ発声練習と同じで、線も急にフルマックスボルテージのものは出ない。クロッキーをやるうちにだんだん線のテンションが上がってきて、絵を描くレベルのテンションにまで持っていけるという感じ。
その後の練習の質を上げるためにやる
発声練習はその後の練習の質を上げるためにするものであって、録音して「声が良くなったな〜」とニヤつくためのものではない。
クロッキーもその後の練習の質を上げるためにするものであって、後から見て「上手くなったな〜」と悦に入るためにするものではない。
発声練習もクロッキーも、やっているその瞬間こそに意味がある。むしろその瞬間にしか意味はない。
なのに発声練習と違ってクロッキーは紙に残っちゃうから、どうしても「自分は下手だ」とか「ここが描けてない」だとかやりたくなる。それが良くない。発声練習みたいに、出して消えておしまいでいいのに。
デジタルで描いて消せばいい
だったらデジタルで描くだけ描いて消せばいいのでは、と考えて、最近は自分はそうしてみている。
Twitterにアップするイラストに手をつける前に、カメラロールの写真で2〜3分、長ければ10分ほどやって、消す。ときにはクロッキーで描いてたものが気に入って、それを仕上げてTwitterにアップすることもある。
これだと後にも残らないし、かと言って全てが無に帰すわけでもないので、最近気に入っているやり方。
初心者でどう描いたらいいか全く見当もつかないなら
見たものをそのまま描く練習なので好きにやったらいいんだけど、「初心者だし、まわりにクロッキーやってる人もいないし、全然どう描いたらいいか見当もつかないんだけど……」という場合は参考書籍が一冊あると「こんな感じで描けばいいのか」と雰囲気がつかめると思う。
自分が気に入って使っている書籍は『人物クロッキーの基本 早描き10分・5分・2分・1分』。
自分はこの作例の"線"の表現力が好きで真似して描いてみたりする(模写をする)んだけど「上手い、すごい、こんなの描けないよ」とかは思わなくてよくて、雰囲気だけでいいんです。
描いて、やってる感に浸って、体が温まれば消せばよい
"見て、形を取ること"に集中する練習であるので、描くだけ描いたら消せばいい。
線のテンションを上げ、頭と手をつなげてウォーミングアップして、クロッキーやってる感に浸ればいい。
一日数分浸ってるうちに、あとは何かが積み重なったり積み重ならなかったりする。
あくまでも自分の考え方なので、「なんか良さそう、気に入った」と感じる部分だけ持って帰ってみてください。