
この記事では、
「他人の絵と自分の絵を、どちらが上手いかつい比較してしまう」「絵が上手い人を見ると、自分と比較して落ち込んでしまう……」
という人向けに、【上手い人と比較してしまう理由】と対処法についてまとめている。
絵を長く描いていて、"今まで他人と比較して落ち込んだことなんかないよ"という人はいないと思う。
絵に限らず、比較はしてしまって当たり前。落ち込むのも当たり前。
なのになぜか、その当たり前なことでみんな悩んでしまう。
この記事では、
【絵が上手い人と比較してしまう理由】と、比較するのはもうしょうがないとして、【比較したあとにするべきこと】についてまとめた。
他人の絵と自分の絵を比べてしまう理由
自分のいるグループの輪を乱さないための"順位づけ"
人間は社会的な生き物なので一人では生きられない。
社会の中で波風立てず暮らすには、「その中で自分がどの位置にいるのか」を順位づけしておかねばならない。
pixivやTwitter、その中のお絵描きクラスタだって"社会"の一つだ。
お絵描きクラスタで言うと、例えば下手な人がいばっていると反感を買って輪が乱れ、クラスタ全体がギスギスして空中分解したりする。
そうならないよう、人は常に無意識で(意識的な人もいるけど)、順位づけしているのだ。
「絵のランク中の下くらいの振る舞いをしなければ」とか「自分は下手だから中の上ランク以上の人には馴れ馴れしくからんじゃダメ」とか。
"比較"と"順位づけ"は、居場所を守るための人間の本能なのである。
いわゆるアレ。犬が家庭内でやるやつ。
「なーんだ、本能にふりまわされてたんだ。犬以下じゃん、ウケる」と思えば、落ち込む気も失せるんじゃないだろうか。
「あの人に比べて私の絵は……」と思いそうになったら「だから犬じゃねえっつうの!!!笑」と強めにツッコミを入れるようにする(自覚する)と、比較のクセは減っていく。
犬は大好きだけど。
比較することで、正しい情報を得るため
また、犬よりちょっと高度な理由もある。
それは"比較することで、正しい情報を得るため"。
ビジネスホテルの比較サイトで料金、立地、星の数を比べれば、より好ましいところで予約できる。
マッチングアプリで複数の異性の収入、家族構成、顔を比較すれば、より好ましい異性とお付き合いができる。
同じように「私は絵が上手いのかな? それとも下手なのかな?」といろいろな人の絵と自分の絵を比較し、情報を得たいのである。
(比較力の未熟な小中学生なんかは、「中1でこの絵って上手いですか? 下手ですか?」なんてYahoo知恵袋に黒歴史を刻んでいくようになる。)
ここで「ん?」と感じた人もいるかもしれない。
「他人の絵と比べて、あの人より自分は下手だとか情報を得て、それでなんのメリットがあるの?」
そう、ここからが、犬よりちょっと高度な話になる。
比較することで自分がどうなりたいかを決める
苦しいのが、「あの人に比べると自分は下手だ……」と比較して、落ち込んでしまうケース。
比べて落ち込む絵には、自分の理想がひそんでいる
しかし上手い絵を見ると何でもかんでも落ち込むかと言うと、そうじゃないはずだ。
「ああ、私もそういうの描きたい!(でもまだ描けない!)」という絵に対して落ち込むんじゃないだろうか。
そう、つい比較して落ち込んでしまうような絵は、自分が目指す方向のヒントを指し示しているのである。
つまり、その"つい比較して落ち込んじゃった"という苦しさは、「自分に足りないもの、欲しいものはこれだ! これだよ!」という不足のアラーム。
せっかくアラームが鳴っているのに「うるさいな」と押さえ込もうとしてしまうのは、もったいない。
その絵のどこがアラームを鳴らしているのか、向き合ってみよう。
「私はこの絵のどこが欲しいんだろう?」
自分にない、自分の理想を備えた絵を直視するのは、ちょっと動悸はするだろうけど。
落ち込むことがあまりにも多い人は……
上手い絵と自分を比べて落ち込んでしまう、というのはごく当たり前なこと。
ただ、落ち込みまくってずっと自分の絵も手につかない……なんていう人は、健全な比較ができていない可能性がある。
自分の絵に対して過小評価すぎなど、【認知の歪み】が起こっていたり、「絵が下手でかわいそうな自分」みたいな【ネガティブ癖】がついてしまっているかも。
ネガティブ癖は楽なので、そこに落ちてしまうと強く意識しない限りずっとネガティブループを繰り返してしまう。
そういう人はたいてい絵以外に原因がある。
自分の落ち込みやモヤモヤを「自分の絵が下手なせい」という理由にすり替えているだけの場合が多い。
人はみな、心の奥にあるネガティブなものと向き合うのが怖いので、手近な理由をつけて深く考えないようにする傾向がある。
(性格に難ありでフラれたのを「私がブスだから仕方ない」と容姿のせいにするみたいなこと)
SNSから離れてみたり、しばらく絵を描くのをやめてみるのもおすすめ。