ジャンル内の苦手な絵描きにムカついたとき、こう考えるようにしている

ジャンルに苦手な絵描きがいる。絵が下手なくせに大手さんに話しかけたり、絵が下手なくせにハッシュタグをつけたり……言動すべてがムカつく!

という人向け【他人にムカムカきたとき、【人間は「自分が我慢していることをやってのける相手に対してムカムカしがち」ということを思い出すようにしています】という記事。

人は、自分が我慢していることをやってのける相手にムカつきがち

友人「二次創作が嫌になっちゃって……」

私「そうなの?」

友人「ジャンルに苦手な人がいて」

私「苦手な人ってどんな人?」

友人「イヤな人がいてムカつくんだよ」

私「どんなふうにムカつくの?」

友人「礼儀とか常識がなくて、出しゃばりで、とにかく人間的にダメな人だからムカつく」

私「たとえばどんな仕打ちをされたの?」

友人「私は何もされていないけど、絵が下手なくせに○○さん(ジャンルの大手)にリプするんだよ! これダメでしょ!? 常識がないよね! どういう教育を受けてきたんだろう?」

私「(大手にリプすることの何がいけないんだ……?)」

ということがあった。

勝手に決めた自分ルールの中でもがいていないか

「自分は絵が下手だから、憧れの大手さんにリプをしたくても我慢している。なのにあいつは絵が下手なくせにのうのうとリプをしている! 許せない!」ということなのだと思う。

それを「礼儀がなってない絵描きがいてムカつく」とあいまいにぼかしてしまうせいで、怒りの出口が見えなくなっている。

客観的に見れば、この人が勝手に自分ルールで「絵が下手な人は絵が上手い人に気軽に話しかけていいものじゃない、もっと距離をとるべき」というのを決めてしまっていて、それを破った人に対して勝手に腹を立てているだけ。相手にとってはいや知らんがなって感じだろう。

人って、自分が我慢していることを軽くやってのける相手に対して爆発的な怒りを感じるものなんだな、と改めて思ったできごと。

自分が激しい怒りを感じたときは、これを思い出すようにしている。

「これって、私が我慢しちゃっていることだからかな?」と。

シャドウとペルソナ

いわゆる「シャドウ」と「ペルソナ」というやつで、これは『ペルソナシリーズ』を知っている人にはピンとくると思う。(個人的には『ペルソナ4』はシャドウとペルソナについてかなり分かりやすい気がします。)

本心を我慢して押さえつけてペルソナ(仮面)をかぶっていて、それが何かのきっかけで噴出してしまうのだけど、作品の中ではキャラたちの人間らしい無様さが魅力となっている。

われわれもそんな感じで自分のシャドウを引きずり出すことで、モヤモヤやムカムカは解決……まではいかなくても少し和らいだりするんじゃないか。と思った。

「我慢しちゃってること」に気づいたら、思い切ってやってみた

たとえばさっきの例であれば「私みたいなこんなヘボ絵描きが絵の上手い大手さんに話しかけるなんて、迷惑で常識外れだ。絶対にしてはいけない」と思っていて、リプをしたくても我慢している。

でも勝手に自分の中の常識で決めた根拠のないルールであって、実際にはそんな決まりはない。

だったら、思い切って自分のしたいようにしてみればいいのではないか。

「ヘボ絵描きがリプするなんて迷惑に決まってる!」←そうとは限らないのでやってみる

「こんな下手な絵にハッシュタグつけるなんて許されない、きっとみんなが嘲笑する、もしくは腹を立てる」←そうとは限らないのでやってみる

「まだ絵が下手なんだからイベントに出るべきじゃない!」←そうとは限らないのでやってみる

たぶん、真面目で自分に厳しい人ほど他人に対してムカついたりしがちなんだろうな……。自分も変に真面目で変に自分に厳しいために、そういった生きづらさには覚えがありすぎる。

だから意識して「なんでダメなの? 自分で勝手に決めてるよね? やってみればいいんじゃない?」と考えるようにしてみたら、すごく楽になりました。

勝手に設定していた自分の檻が少しずつこわれていって、他人に対して腹が立つことも減ってきた。

「画力とか交友関係が羨ましくてにくたらしい、それにひきかえ自分は……」

友人「ジャンルにムカつく絵描きがいて……」

私「どうムカつくの?」

友人「絵が上手いし交友関係も広いし、私にないものを全部持ってて、それを見せびらかしてきて、TLに出てくるだけでイライラするんだよ」

私「自慢してくるの?」

友人「本人はそういうつもりはないかもしれないけど、結果的に自慢になってるよ。できない人の気持ちも考えてほしい! でもこんなこと言ったらただの嫉妬だって言われるだろうし、よけいみじめになりそうで、誰にも言えなくて……」

ということがあった。

自分は何が欲しいのかをはっきりさせる

人間だからそりゃあ嫉妬もする。

ただ、ばくぜんと、「全部うらやましくて存在自体がムカつくから目の前から消えて欲しい」と思ってもそれは解決しない。

その相手をミュートなりブロックなりしたところで、またあらたな「うらやましい相手」が出てきて、同じ苦しみを繰り返す。自分の中の「不足」を解消しないことには無間地獄。それは自分自身もいやになるほどくりかえしてきた。

今は「うらやましい」と感じたとき、だったら自分は何が欲しいのかを考えるようにしている。

たとえば、絵が上手い人を見て「うらやましい、こんなふうに描けたらいいのに」と激しい嫉妬を抱いたら、何がどう足りていないのかを分析してみる。

全部ではなく、自分に足りなくてどうしても欲しいものだけ補っていく

この【不足】の内訳をさらに細かく見ていくと……

「デッサンか……でも最近私もデッサンはがんばっているからよし。ここはまだ敵わなくても仕方ないな」

「そうそう、私には今風っぽさが足りないのが気になっているんだよな。意識して新しい作品をインプットしていこう」

「表情かあ……確かにあの人の絵は表情が魅力的だけど、私の絵は私の絵で思うように表情を描けているつもりだから、ここは直す必要ないよな」

「うん! 線はていねいに描こう! それは今すぐできるわ。それはやろう。うん」

「あと細かいいろいろはまた具体的に目立ってきたら考えるとして保留」

みたいな感じで、具体的な行動をとるための道すじが見えやすくなる。

嫉妬はあるのが当たり前で、ひとつ消えたらまた浮かび、浮かんではまた消えて、一生付き合っていくものなんだと思う。

自分が乗り越えてきたことにつまづいている人を見るとイライラする

友人「ジャンルに、愚痴ばっか言ってる初心者がいてウザくて苦手なんだよね」

私「どんな愚痴を言うの?」

友人「『センスがないから絵が上手くならない』とか、『才能がある人はいいなー』とか、『私は人よりたくさん練習してるのに何で上手くなれないの?』とか。はあ? 人よりたくさん練習してるって何を根拠に言ってんだよ! お前なんかよりみんながんばってんだよ! 私だってそこをがんばって上手くなってきたんだよ! って思っちゃう」

私「それはそう」

友人「自分の努力が足りないだけなのに、そんなところでつまづいてウジウジ言ってるやつ本当ムカムカくる」

ということがあった。

「お前も同じ目に遭うべき」

「自分だってがんばったから乗り越えられたんだ。だからお前ももがんばるべき」というのって、つい思いがち。

スポーツ系の部活で上級生にしごかれた人は、3年になったらお返しとばかりに下級生をしごいて「俺だってこれを乗り越えたんだからお前もしごかれるべき、同じ目に遭うべき」みたいに連鎖していくのって、なんかありがち。会社でも家庭でも。

これもまた、自分の試練を真面目にこなしてきた人ほど陥りがちなモヤモヤなのかもしれない。

他にも「デジタルで楽すんな、アナログで描くべき」とか「3Dモデルとかズルするな、見ないで描くべき」とかっていうのも、自分より楽している人が許せないみたいな心理なのだろう。

あと、「私も愚痴を言いたいのにフォロワーさんに悪いと思って我慢したのに、お前は抜け抜けと毎日愚痴を垂れ流しやがって」みたいなのもあるのかもしれない。シャドウとペルソナ。

まずは自分ががんばれたことを褒めてあげたい

だけど、自分の試練は自分の試練、他人の試練は他人の試練であって、関係ないんだよな……。

そもそも、自分ががんばったから乗り越えられたのであって、「自分えらい! 自分すごい! 他は知らん!」でいいんじゃないか。と、最近は考えることにしている。

苦手な人は「では自分はどうしたいのか」を教えてくれる

「苦手な人って、自分の考え方のクセに気付くきっかけになることが多いな」と今は感じている。

ミュート! ブロック! でもいいのだけど、自分の考え方のクセに気づかない限りたぶんまた同じような人が現れて、同じ苦しみを繰り返す。

実際、自分もそんなことを何度も何度も繰り返してきた。

自分の場合は、こんなことに引っかかることが多かった。

  • 自分の我慢していることをひょいとやってのける相手にムカムカしがち
  • 自分の不足を突きつけてくる相手にムカムカしがち
  • 自分が乗り越えてきたことにつまづいている相手にムカムカしがち

これに気づいただけでもだいぶ楽になったけど、

  • じゃあ自分も我慢しないでやってみよう
  • 自分が強く感じている不足を突き止めて、それを補おう
  • つまり自分はすごいしえらいから褒めてやれってことだね

みたいに考えることで、やりたいことができるようになったり、具体的な行動につなげられたり、気分がよくなったりした。

こう書くと「ぜーんぶ上手くいってめでたしめでたし」みたいな感じだけど、そんなに上手くいくわけじゃないし、そんなにきれいなものでもない。

行きつ戻りつしながら、振り返ってみると這いずってわずかに前進した跡があるな……という話です。

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