「絵を描くときに、イマイチ男らしい体つきと女らしい体つきを描き分けられない。男女の描き分けを髪型とか衣服に頼ってしまっている気がする……」
と悩んでいる人向け【髪型や衣服だけで描き分けていると表現の幅にも限界があるので、骨格から描き分けられるようにポイントを見つけてみた】という記事。
自分は子どもの頃からお絵描きが好きだったけど、当時は「女の子の絵」しか描けなかった。二次創作をするようになっても「女の子みたいにかわいい男の子の絵」しか描けなかった。
当然ながら表現の幅が極狭でいろいろともどかしかったので、いわゆる美術解剖学を自分のできる範囲で学んでみたところ、絵を描くのが格段に楽しくなった。
▽パルミーの『女性の身体の描き分け講座』
▽パルミーの『イラストに活かす解剖学講座』
「男女の体つきの違いはこう!」「だからこう描き分けよう!」とまではぜんぜん極めてないので、男女の描き分けで自分がどんなところを意識するようになったか、どんなところを意識して描くとそれっぽく見えるか、くらいのことを整理しておく記事です。
男女の体つきの描き分けで意識していること
女性の衣類を着ていても、女性のするようなメイクをしていても、しっかりと男性だと分かる家政夫のミタゾノさん。
ミタゾノさんという存在には男女の描き分けのヒントが詰まっていると思ったので、描きながら考えてみた。
直線を多く使うと男性っぽさが出せる
松岡昌宏さんは顔つきも体つきもシャープ。特に顔の輪郭は直線的で、眉も直線的でキリッとしていて眉毛自体もしっかりと濃い。
なのでミタゾノさんは髪とメガネで眉と輪郭を隠すことで、男性っぽさをカモフラージュしている。(全隠しではないところがミソのように思う)
これはふくよかな男性でも同じで、たとえ丸みがあっても「ふにゃっと柔らかそうで女性みたい」とはならない。ふくよかならふくよかななりに、輪郭には男性っぽさが出る。
『俺のスカート、どこ行った?』の古田新太さんも、髪で眉と輪郭をうまくカモフラージュしている。
▽ローラさんと双子のお兄さんを描いてみた記事はこちら
体つき、特に手で男性っぽさが出せる
他に男性っぽさが出やすいのは手。以前テレビのバラエティ番組で「複数の美女の写真の中から女装の男性を当てる」みたいなクイズがあり、そのときも手や首などの骨格で見破られることが多かったように記憶している。
ミタゾノさんの手もしっかり大きく直線的に、スジも意識して描いてみた。このしっかりした手首に女性用の腕時計をしているのが、ミタゾノさんのなんとも律儀な感じが出ていて良い。
また、伊野尾慧さんもこの当時28歳としっかりした成人男性。かわいらしい雰囲気ではあるけど手を大きめに肩幅をしっかり描くことで女性っぽくはならない。(眉もキリッと描いている)
いちばん後ろの川栄李奈さんは前の二人に比べると肩幅も小さく、手も華奢。
目もチョンと描いただけのシンプルな絵柄だけど、
- 顔の輪郭を直線的に
- 手をひと回り大きく描く
という部分を意識することで、あまり難しいこともなくなんとなく男女の描き分けができたと思う。
服やメイクに頼らず描き分けをしていこう
『家政夫のミタゾノ』を観て、「いかにも男性らしい体つきなのに女装姿が似合っていて、かと言って女性になりきろうとしているわけでもなく、男性っぽさも女性っぽさもかねそなえた三田園薫」という存在に魅力を感じた。(過去に事情があって女装をしているという設定があった気がする)
当初ミタゾノというキャラクターは「こんなに大柄な成人男性が女装すると、不自然で違和感が強くなってしまいドラマの邪魔になるのでは?」と危惧されていたと製作陣のインタビューか何かで読んだ。
確かにこれはドラマのキャラクターなので、気が散ってストーリーが頭に入ってこないようでは困るわけで。
しかしフタを開けてみれば気が散るほどの違和感もなく、ただただ「ミタゾノさん」という一人の敏腕ハウスキーパーがそこにいた。
これはヘアメイクや衣装によって程よく男性らしさをカモフラージュし、ミタゾノさんという人物像にしっくりくる女装になっていたのも大きいと感じた。
どこをどうカモフラージュすると男性に女性の服を似合わせられるか、というのは男女の描き分けのヒントになりそうだし、俳優さんやコスプレをする人なども自分と違う性別を演じるときに意識していることなのではないかと思った。