イラストの仕事をしたいけど、PCって必要なの? どんなPCが必要なの? プリンタは必要なの?
と迷っている初心者向け【業務によって必要な環境は変わるので、まずは自分がどんな業務をやるのかをはっきりさせる。PCがないとできない仕事もあるし、iPadだけでもできる仕事もあります。】という記事。
※けっこう「イラストの仕事でPCとかプリンタって必要?」という質問をいただくので、初心者の方向けに記事にしてみました。ごく初心者の方向けの記事です。
知人「スケッチブックに絵を描いて携帯のカメラで撮ってTwitterに上げているんだけど、けっこういいねがつくんだー。これを仕事にしたい。絵の仕事ってどこでもらえるの?」
私「スケッチブックに描いた絵を携帯で撮影したものは、仕事のデータとしては難しいかも」
知人「データって何? 絵の仕事ってやっぱPCとかプリンタとかスキャナ揃えなきゃ無理かな? PCで描いてプリンタで印刷しなきゃダメってこと?」
みたいな問答があって、どこから説明すればいいか分からずうやむやにしてしまったことがあった。
知人にとっての「絵の仕事」って、もしかしたら昔の画家みたいなイメージだったのかもしれない。
けど今の時代の「絵の仕事」は「企業や個人からの依頼に沿った使い勝手のいいイラストやデザインのデータを作成して、ネット上でデータをやり取りすること」の場合が多いと思う。
自分もしばらくデザインの仕事をしていたことがあるけど、そのときはPCでAdobeソフトを使って作成したデータをやり取りする形で成り立っていた。
デジタルでデータを作ることに慣れる必要がある
「データ? 作成? どういう意味か全く分からないんだけど?」という場合、『イラストAC』や『PIXTA』などのイラストや写真の素材サイトに登録して絵を販売してみることで基本が分かると思う。
特にPIXTAはデータ形式や著作権などについても細かく規約やガイドラインがあって販売前に入門テストも受ける必要があるので、必要最低限の知識は得られる。
絵の仕事をするのなら、デジタルでデータを作ることに慣れることがまず大切になってくるように思う。
自分のやりたい業務をはっきりさせる
業務内容によって必要なデータ形式も変わってくるのだけど、どんなデータでも作成できるようなオールマイティな環境を整えて維持するのにはなかなかのお金もかかる。なので、どんな業務をやっていくかをハッキリさせる必要がある。
「どんな業務があるのか全然見当もつかないんだけど」という場合、クラウドソーシングに登録してみるといろいろな案件を見ることができる。
自分が今メインで使っているのは ランサーズ(Lancers) というサービス。
こんな感じで細かくカテゴリ分けされて実際に企業や個人からの依頼が掲載されている。
自分も「依頼を受けなくてもいいから、どんな仕事があるのかとりあえずのぞいてみるか〜」という感じで最初は登録しました。(登録は無料)
「絵の仕事ってPCって必要なの?」
PCがなくてもできる仕事はある。
Web上で使う画像(個人のSNSアイコン、企業の広告用マンガ、YouTubeマンガ、LINEスタンプ、企業のウェブサイトのイラスト、TRPGのキャラ立ち絵や背景など)は、自分はiPad ProとApple Pencilでほとんどの作業をしている。
また印刷物でも、同人誌の原稿やA1サイズのポスターくらいならiPad Proで作れるしそのまま印刷所に入稿もできる。
大切なのは、PCを持っているかどうかということよりもデジタルのデータを作れるかどうかだと思う。
「デジタルに弱くてPC周辺のことが分からない、使えないし勉強したり覚えるつもりもないからアナログで描いてそれを売りたい」みたいな場合、デザインやイラストの仕事をするにはちょっと難しいのではないか。クラウドソーシングの案件を見ても分かるように、ほとんどの場合デジタルデータでの納品が求められるからだ。
もちろん業務によってはPCがないとできないものもある。
自分がやっていたパッケージデザインやロゴデザインはAdobe IllustratorのAIデータで入稿する必要があったので、Adobe Illustratorを使う作業はPCがないとできない。
一般的な企業のお仕事の場合、まだまだAIデータでの納品を要求されることが多いと思う。自分が今までやってきた企業の仕事は全部AIデータだった。(いずれこの状況も少しは変化していくのかな、とも思うのですが)
当面はまだ、PCを持っていてAdobeソフトが使いこなせたほうが請けられる仕事の幅も広がる、ということは言えそう。
プリンタやスキャナーは必要?
「プリンタとかスキャナーって必要?」というのも、けっこう聞かれることがある。
自分は10年ほどデザインの仕事をしていて、必要だったことは一度もない。
ただ文字入りのデータを作る際、モニタで何度も入念に確認して見つからなかった誤字が紙にプリントしたらなぜか見つかるみたいなことがあるので、必ずプリントアウトしてチェックするんだという同業者もいた。(モニタだけでチェックすると目が慣れてしまって誤字が見つかりにくいらしい)
あとは「紙に印刷したときの色の具合をチェックしたい」ということもあるかもしれないけど、これはクライアントが色校正を送ってくれる。
「自分でポストカードを作ってそれを売りたいからプリンタが絶対に必要だ!」ということも最近はあまりない。今は小ロットから頼める業者も増えてきて、自宅のプリンタで印刷するより業者に頼んだ方が安くきれいにできたりする。
スキャナーも、今はカメラ機能でたいていのことは代わりになる。
※ただし「紙の請求書を出してくれ」という取引相手がまだ多かったので、請求書をプリントするためにモノクロレーザープリンタを使っていた。それが壊れてからはコンビニプリントで事足りている。
アナログオンリーだと請けられる業務が限られる
「PC使えないとイラストの仕事はできないの?」というのってつまり「アナログではイラストの仕事ってできないの? デジタル苦手だからアナログのまま絵の仕事したいんだけど……」と聞きたいのだと思う。
友人知人に頼まれてフライヤーのちょっとしたイラストやSNSアイコンを描くとかくらいなら、スケッチブックに描いて携帯カメラで撮って送るとかでも全然ありかもしれない。
ただ、仕事だとほとんどがデジタルデータでの納品になる上に、仕事でイラストを描くというのは「修正ありき」。デジタルであれば「ちょっと色合いを青系から赤系に変えてみてもらえます?」「大きさと位置を変えてください」などという修正にも一瞬で対応できるけど、アナログだと一から描き直さねばならない。これだと今の世の中のスピードについていくことは難しいし、そんなイラストレーターやデザイナーにはそもそも依頼してもらえない。
自分のやりたい業務に合わせて環境を整える
請けるアテもないような業務のためにあれもこれもそろえるのではお金がたいへんなので、
- 自分がどの業務をやっていきたいか考えてみる
- それにはどんな作業環境が必要なのか調べる
- 今の作業環境でもできる仕事から始めてみる
みたいな感じで段階を踏んでいくと無理がないのではと思います。