「絵を描きたいけど、初心者だから何か参考になるサイトや本を知りたい」
という人向け、【初心者におすすめな参考サイトと参考書籍『人を描くのって楽しいね』】について。
自分が初心者10年目くらいのときにお世話になった『人を描くのって楽しいね』というサイト(書籍化もされています)がある。
「絵を習いたいけど、マル描いて〜みたいな初歩的すぎる練習はしたくないしなあ……かと言って自分は初心者だからデッサン本の模写とかは難しすぎて……ちょうどいい手応えのある教材って何かないかな」という人に向いているのでは、と思います。
自分がお世話になった老舗サイト『人を描くのって楽しいね』
2001年から運営されている、『人を描くのって楽しいね』という老舗サイト。
名前の通り人物を描くことに特化していて、頭部の描き方、手、腕、全身の描き方を分かりやすく教えてくれている。
自分がこのサイトに出会ったのは初心者10年目(25、6歳)の頃。どハマりしたジャンルの二次創作で半裸マッチョ剣士を描くためにどうしても男性の筋肉を描きたくて、美術解剖学をどうやって学ぼうかと途方に暮れてしまっていたとき、分かりやすく教えてくれたサイトです。
『人を描くのって楽しいね』自分の使い方
使い方としては、
軽い気持ちで模写をする
それだけでした。
たくさん載っている作例が分かりやすくて、眺めるだけで「へえー鼻ってこういう構造になっているのか。なるほどなるほど、理解したぞ」みたいに、つい分かった気になってしまうのだけど、実際に自分でも描き写してみる。
模写というと拒否反応があるかもしれないけど、自分なりの模写のポイントとしては、
「へえ〜! と言いながら軽い気持ちでやるだけ」。
「何かつかまなきゃ」「上手く模写しなきゃ」とか思うのではなく、別に自分の絵に生かさなくてもよくて、描いたあとで「ここが描けてない! 自分は下手だ!」とか反省もしない。今この模写をしている瞬間だけ無心で取り組み、終わったら忘れる。
正直言って、一回やそこら模写をしたことで目に見えて何かが身につくということは無い。「模写してもムダなのでは?」と感じる。けど練習ってなんでもそうだけど、その繰り返しで何かが得られたり得られなかったり、10年後の自分につながったりするのだと思う。
(RPGのレベルアップと同じで、経験値がある程度貯まらないと目に見える変化はないけど、経験値を貯めないとレベルは上がらない、みたいな感じ)
「へえー」と言いながら描き写して、全然上手く描けなくても達成感を得て「まあ今回はこのへんにしといてやるか!」とやるのが、このサイトの使い方のすべてだと思っている。そういう使い方をするのにちょうどよい難易度。(高度なので、太刀打ちできなくてもそんなに凹まない)
- 一回の模写で「上手く描けない」と感じたとしても、なにかしらの経験値は蓄積される
- 「上手く描けないなー、まあいいや」という"保留"の感覚に慣れることができる
自分はこのサイトとルーミスを立ち戻り地点にしていて、5年ごとくらいに思い出したようにまた戻って軽い気持ちで模写をしてみては「やっぱり全然描けない! まあ今日はこれくらいにしといてやるか!」とやっています。
『人を描くのって楽しいね』こんな人におすすめ
美術解剖学が難しい・めんどくさい人におすすめ
このサイトでは、「顔は球にお面をつけた形」とか「目は台形」とか「骨盤はハート形」とか、いわゆる美術解剖学として学ぶと小難しいようなことを「つまり簡単に言うとこういうことだよ」とシンプルに噛み砕いて、実際に描きながら教えてくれている。
語り口は子ども向けのようなやさしい感じだけど、高度なことばかりが詰まっている。
pixivの雰囲気が苦手な人におすすめ
pixivの動画で見られるお絵かき講座『sensei』というのがある。
私もやってみたことがあるんだけど、体系的に一通り学べて効率がいいと感じた。
ただ、「あのpixivの絵柄の雰囲気がどうも苦手」という声をけっこう聞く。
その点、『人を描くのって楽しいね』は流行りの要素が一切ないので、「自分は萌え絵とかじゃなく、本格的な絵で上手くなりたいんだよ!」というタイプの人に向いているかも。
流行に左右されないから、ずっと使い続けられる。
(逆に「今っぽいウケやすい絵を描けるようになりたい」という場合は『sensei』いいかもです。)
上手い人に教わりたい人におすすめ
最近はイラストの描き方講座サイトってそれはもういっぱいあるけどそれこそ玉石混交。
※もちろんこのブログは石ころのほうなので、描き方講座をやるのではなく、自分がやってみてよかった描き方講座をおすすめしていくスタイルです。
『人を描くのって楽しいね』は運営20年、「もっと絵が上手くなりたい」という人たちはたいてい通ってきたサイトなのでは。きちんとした知識と実力を持った中村さんという方がコツコツと作り上げたサイトで、詳しい肩書きなどは存じ上げないけど、作例を見れば質の高さが分かると思います。
『人を描くのって楽しいね』書籍版も出版されている
また、『人を描くのって楽しいね』は書籍化もされている。
「アナログでイラストの練習をしたい」という人は、手元に広げられる書籍の方が使いやすいかもしれない。また、加筆されていてサイトよりも情報量が多い。
顔と頭部に特化した『顔・頭編』、
衣類の描き方について補完されている『衣服編』もある。
初心者には難しいのでは……? しかしそれがいい。
サイトの場合も書籍の場合も、『人を描くのって楽しいね』の使い方としては、
へえー、と言いながら気軽に模写する
これを自分は推している。
『人を描くのって楽しいね』は、正直言って初心者には難しいと感じられるかもしれない。
確かに内容としては、「自己流で描いてきたけど、描けないところをもっとうまく描けるようになりたいな」という、初心者後半〜中級者以上向けなのかな、とは思う。
けど、いくら初心者と言ったって「はい、まずはマル描いてみましょ〜!」みたいなことはやりたくないと思うんだけど、どうでしょう。絵を描いてみたい! とせっかく意気込んでいるのに、あんまり簡単なことをやらされても萎えちゃうし飽きちゃうんじゃないだろうか。
「だったら初めて絵を描く人も、いっそこれくらい高度なことから始めるとやりがいがあっていいんじゃないか?」と思ったのでおすすめしてみました。
「へえー」とか「うわー難しいな」とか言いながら気軽に模写してみることがなんか楽しいというか。
子どもの頃、難しい本も分からないなりに読んでいるとなんとなく分かってくるような、あの感じです。