手っ取り早く上手いっぽく見えるイラストを描くポイントってあるのか

絵が下手で描く気が起きない。かと言ってデッサンとか本格的な練習をする気もないんだけど、もっと上手いっぽく見えるように描きたいなあ……

本当に上手くならなくてもいいから、手っ取り早く上手いっぽく見えればそれでいいんだけど……どうすれば上手いっぽく見えるかな?

という人向け【手っ取り早く上手いっぽく、それっぽく見えるかもしれないポイント】について考えてみた記事。

「手っ取り早く、上手いっぽい絵を描くポイントを知りたい」なんて言うとなんだか不真面目に聞こえるかもしれない。

けど、本当に上手い絵を描くには一生、もしくはそれ以上かかる。

真剣に一生絵と向き合って努力したい人やプロを目指している人は「手っ取り早く」「上手いっぽく」とか言ってないで真摯に取り組まなければならないと思うけど、趣味で、楽しみとして絵を描くなら、【本当に上手い絵】ではなくまずは【上手いっぽい絵】でもいいのではないか。

趣味なのだから「くそっ、俺はまだまだダメだ!」とスポ根みたいにがんばるのもいいのだけど、「おっ、なかなかいい感じに描けたんじゃない? 絵を描くの楽しいー!」という感じでもいいのではないか。

そこから少しずつ【本当に上手い絵】を目指したいなら目指すってことでいいのではないか。

この記事では、画力を上げなくても手っ取り早く今より上手いっぽく見える(見せる)ってどうすればいいのか、自分のやってみたことについて書いている。

上手いっぽく見える絵の条件【お手軽編】

今すぐ簡単にできるようなことを、まず四点挙げてみる。

  • 線を丁寧に、最後まで完成させる【難易度☆】
  • 手を使ったポーズを描く【難易度☆☆】
  • 流行りの顔を取り入れる【難易度☆☆】
  • 色塗りの参考書籍を買って真似する【難易度☆☆☆】

線をていねいに、最後まで仕上げている絵

これは美術系の専門学校卒のオタク仲間から言われたことだけど、初心者のうちって、

  • 線をていねいに描く
  • 最後まで仕上げて完成させる

というのを疎かにしがちだと。初心者ほどていねいに描いたほうがいろいろと良いだろうに、なぜか初心者ほどシャッシャッと線を描き飛ばしてしまいがち、なのだそうだ。

自分も心当たりがある。線の勢いで何とかしようとしてしまうというか、なぜかシャッシャッと描いたほうが上手いっぽく見えると思っていたフシがあった。なぜか。なぜだろうね……。

絵うまな人たちと絵チャをやったときもみんなシャッシャせずにゆっくりていねいに線を引いていて、これはここに秘訣があるんだなということにいくらボンクラな自分でも気がついた。

それからはシャッシャをやめて、「線をゆっくりていねいに描いてみる」そして最後まで仕上げる」を心がけてみている。たいして上手くなくてもきちんとして見えるので、見る人の目が滑らないのではないかと思う。

プロのアニメーターなど超絶上手い人の絵ならざかざかっと走り描きしたものでもかっこいいし、見る人の目も滑らないかもしれないけど、「自分のような初心者が同じことをしようと思うなよ……」と肝に銘じ、自分は気を付けています。

自分の考える「ていねいに」というのは、具体的には例えばこんな感じ。

  • 多線を重ねず、一本で決めるつもりで集中して線を描く
  • アタリもゆっくり一本の線で
  • 描けない部分をシャッシャでごまかさない

ポーズ(特に手のポーズ)が描けている絵

ポーズが決まっている絵を一瞬「この絵素敵!」と思ったけどじっくり観察していたらアラを見つけてしまった、みたいなことって絵描きならあると思う。同じ絵描きだからこそ気づくアラであって、絵描きじゃない人は気づかないかもしれない。

どうしてもまずはアラよりもポーズに目が行くので一見「上手い!」「決まっている」「目を惹く」と感じる。悪く言えばポーズにごまかされて一瞬アラが見えにくくなるというか。

それを逆手にとれば「上手いっぽく見える絵」のヒントになるのでは。

手のひらをこちらに差し出しているポーズが一昔前にはやったけど、あれも、簡単にポーズがきまってそれっぽく見えるからみんな描いていたんだと思う。(私も描きましたけど!)

顔の前に手を出すことで遠近感が生まれるし、棒立ちよりも三角構図が作りやすい。また手は指は左右で10本もあり複雑な形をしていて情報量が多い。人の目線は「近くて情報が多いところ」に行くので、手に目線を誘導することができる。そうすると他の部分が多少ヘナチョコでも一瞬目を惹くし上手いっぽく見えやすいのではないか。

(単純に複雑なパーツである手がきちんと描けていると上手く見えやすいということもある。)

なので「この一冊だけで上手いっぽくなるような、お得なポーズを何か一冊だけ買いたい」と探しているなら手のしぐさに特化したポーズ集がいいかもしれないです。

※手っ取り早さを考えるなら、写真集とかデッサンのポーズ集よりも、デフォルメされたマンガ絵のポーズ集がいいのではと思います。

流行りの顔が描けている絵

「流行りの顔」ってなんぞや、と思うかもしれないけど、

流行りの絵=たくさんの(絵を描かない一般の)人が見慣れていて、上手いと錯覚する絵

なのでは、と自分は考えている。(イコールは「だいたいそんな感じ?」くらいのニュアンスです。例外もあります。)

popular(人気の)ということは、popular(流行りの)でもあり、流行りのものがより多くの支持を得るのは当たり前のこと。多くの支持を得ているから人気なのでもあるし。

人気の中に「(一般の人が感じる)上手い」があるのでは。

絵描きは「いやいや、そんなの流行ってるだけで上手くないよ、自分はしたくない」と思ったりするので、自分が描きたいものと世に受け入れられるものとのギャップでプロでも悩んだりするのですよね……。

けど「手っ取り早く上手いっぽく見せたい、願いはそれだけ!」ということなのであれば、流行りに乗っかるというのも一つの手段ではあるのでは。

pixivなどのランキングを長年見ていると、瞳や髪の塗り方、口の中、歯などの表現方法などに流行りが出やすく、2、3年くらいの短いスパンで移ろっている気がする。

最近pixivで「この描き方よく見るなー、こんな感じの表現が流行ってるなー」という共通点をいくつか見つけたので、参考にして描いてみた。

以前描いた深田恭子さんの似顔絵に並べて、流行りの顔っぽく描いてみた

同じ人が描いた絵で、どっちもたいして上手くないのに、右と左だったら「よく見る見慣れた雰囲気」のほうにパッと目がいくんじゃないかと思うけどどうだろう。

pixivのランキングやイラスト雑誌を見ていると、「今流行っている表現方法」みたいなものってすごくあるなと感じていて、ホイホイ真似していくのも自分は楽しく感じた。自分の絵柄を流行りのものに変えるということではなくて、真似してみて流行りのエッセンスだけ感じてみるというか。けっこうワクワクします。

ソフトを使いこなしていて、塗りの技術がある絵

よくSNSで「私の線画塗ってくれませんか」みたいな塗り絵企画があるけど、大したことない線画でも他の人が塗るとすごいイラストになったりする現象ってある。

それって、色塗りは上手い下手よりまずは単にソフトの使い方を知っているかどうかということになる。だったら「絵が上手くなるために」と長時間大嫌いなデッサンをするよりも、ソフトの使い方をサラッと知ってみるほうが手っ取り早い、ということになる。

今まで「上手いなーすごいなーどうやって描いてるの? 私には全然ムリだ……」とただただ羨ましかった神イラスト(だと思っていたもの)も、「あ、あの本に書いてあった塗り方じゃん! なるほど、このエフェクトを使ってこう塗ればこんな感じに仕上がるんだな」とタネ明かしができればけっこうどうってことなかったりもするし、真似もできる。

上の絵を描いてみたときも、「流行りの要素って、ほぼ塗りかも……?」というふうにも感じた。「このよく見る流行りの塗り方が自分にもできた!」という感覚は単純に楽しくてワクワクしたし。

悩みの原因が「下手だから楽しくない」わけなので、「たいして上手くないのに楽しい」というのはかなりお得な要素だと思う。楽しくならないことには続かないから。

上手いっぽく見える絵の条件【ちょいがんばる編】

ここからは、「そこまで手っ取り早くないけどやってみたら楽しくなったこと」について。

  • 人体の最低限のバランスを知るために美術解剖学をつまみ食いした
  • それっぽい動きを描くために、アニメーターさんの書籍を模写した
  • 固有色以外を使う塗り方を意識した
  • 動きのある絵ってなんぞや? と考えてみた

最低限のバランスが分かっている絵

当然ながら、人体のバランスを分かった上で描いている絵は上手くそれっぽく見える。あらゆる人類はだいたい同じ位置に人体のパーツが付いていて、無意識でそのバランスを見慣れているからだ。上でも挙げた、「見慣れているもののほうが上手く見える」の現象。

だけど初心者にとってはそれがいちばん難しいんだよって話で、「じゃあデッサンとかやらなきゃじゃん、それが嫌なんだけど……」で、まずそこで詰むのだと思う。自分の場合もそうだった。

だからなるべく効率よく簡単に美術解剖学をつまみ食いできればいいよね……。

自分は『人を描くのって楽しいね』というサイトと並行して、おなじみのルーミス『やさしい人物画』を模写して使っていた。(これは美術解剖学をかじる行為であって、デッサンではない)

筋肉や骨の名前みたいなのを覚えるわけではなくて、「乳首の位置は頭ひとつ分下」とか「下ろした腕のヒジはヘソの位置」とか「くるぶしは内側のほうが高い」みたいな、知っていると「へえ〜」となる豆知識の数々だったり、「骨盤はハート型でとらえると描きやすい」とか「肩の関節は卵一つつけるとつなげやすい」くらいなこと。

サラッと模写をしてみて「あ、へえ〜!」程度でいいんじゃないかと思う。

自分は10年以上前から何度か思い出したときに模写して使ってみているけど、模写するたびに「あ、そうだったそうだった」「え、あ、へえ〜、今気づいたわ」みたいなこともある。とうてい一度で身につくものではないので、サラッと何度もやっている感じ。

最近はこちらの『人物を描く基本』も。ルーミスと違って日本人モデルなのでなじみがあり、より模写して描きやすいと感じた。

それっぽい動きを描けている絵

これも本来は美術解剖学の分野になるのだろうけど、それっぽい人体がそれっぽい動きをしていれば上手く見えると思う。

例えば腕は内側には曲がるけど、外には曲がらないし、足も曲がる方向や稼働範囲は限られている。

走るときは上体がかがむとか、片手をあげると肩の位置もあがるとか。立つときに重心がかかったほうが低くなるとか。

こういった動きを、美術解剖学抜きでそれっぽくとらえて描くには、アニメーターさんの書いた書籍の方が的確で詳しいと感じた。自分が買って模写して使っていたのは『最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術』。

この本のタイトルを自分なりに補完すると、「(めんどくさいデッサンとか美術解剖学とかやらなくても、動きの記号的なものをつかむことで)最速で(描きたいと思ったポーズをそれっぽく一応)なんでも描けるようになる」ということだと思う。これって教えてもらう側が言うのも何だけど、かなり画期的な教え方なのではないだろうか。

「走るポーズはここをこう描くととそれっぽい」とか「ジャンプするときはここをこう描くとそれっぽい」みたいなツボみたいなものがあって、小難しいことは置いといて、まずはそれを知るとそれっぽく描けるよ、というノウハウ集でもあるということ。

固有色以外を使って、まとまりがいい配色ができる絵

自分が高校で油絵をやっていたときに「周囲の環境を意識しろ」と言われたことがある。

「色塗りが苦手で……」という人は、【固有色】しか使えていないことが多いと思う。(固有色というのはそのモノ自体の色で、例えば肌にはうす黄色いピンク、制服には紺、背景のソファは緑みたいなこと)

塗りが複雑な絵(固有色以外が使われている絵)を見て「なんでここにこんな色を使うという発想が湧くんだ……?」と感じる場合、たいていこれはモチーフが周囲の環境に影響を受けることによって複雑な色味になっている。

「顔はうす黄色いピンクだけど、ソファの緑が反射して緑がかっている」とか、

「桜並木の下にいるから、紺の制服も薄桃の霞がかかっている」とか、

「空の青さが髪に反射して、青みがかった薄茶色になっている」というような。

「いやいや、そこまで周囲の色は反射してないよ! 顔にソファの緑なんか反映されてないじゃん!」とは思ったんだけど、気持ちの問題というか、そういうものなんだろう。と思ってそうしていた。定石と言いますか。確かに、固有色だけで塗り分けるより絵にそれっぽくまとまりができる。

動きがある絵

そして、動きがある絵。

「動きがある絵」というと、スポーツなり戦闘なりで激しくアクションしているものを思い浮かべてしまうかもしれないけど、もちろんそれが描ければかなり上手いっぽく見えそうだけど、「動きがある絵」ってそれだけではないのだと思う。

前後の動きや流れが想像できる

「前後の動きも想像して描け」「この人は何をしている途中なのか」というのも指導教諭からよく言われた。

そんなの知らんわ! と思っていたけど、これも今考えればつまり「動きを意識した絵を描け」ということ。

例えば写真を撮られるときってついポーズを決めて顔も作って静止してしまうけど、それは動きのない、つまらない写真になる。

みんなでいっせいにジャンプしたところを撮ったり、表情が変わった瞬間を撮ったり、何かしているところを気づかれないうちに撮ったりした写真のほうが、生き生きとして面白い写真になる。

イラストも同じで、前後の動きが想像できるようなものの方が生き生きとして目を惹くのではないか。

詳しく言葉で解説できる

あと「テーマがある絵」ってよく言うけど、それも広義の「動きがある絵」なのだと自分は考えている。

テーマがある絵ってどんなんなのかというと難しいけど、つまりその絵を詳しく言葉で説明できるかどうか、ということを自分は判断基準にしてみている。

例1)「本を持った女の子がメガネのフレームに手を当てて、こちらを見ている絵」

例2)「本の途中のページに指を挟んでいる女の子が、ちょっと疲れた顔で、メガネを外そうとフレームをつまんでいる絵」

例1は「本を持ってメガネっ子がポーズを決めている絵」にしかならないし、説明されても大して興味は湧かないと思う。

例2は「今まで読書をしていた子が、疲れてメガネを今まさに外そうとしている。さあ、素の彼女に戻りますよ」という物語が見え、例1と比べれば興味を惹くのではないだろうか。

pixivのランク入りイラストって、バストアップの何気ない作品でもこういう物語が見えるものが多い。そこを意識して見ると「みなさんちゃんと物語をもって描いているんだなあ」ということが分かって楽しいです。

自分にできるところ、やりたいところからやってみています

前半の4つは今すぐにでも試せる。

  • 線をていねいに描き、完成させる
  • 手のポーズをつける
  • 流行りの顔を描く
  • ソフトを使いこなして色塗りをする

簡単にちょっと試しただけで「おおっ、自分の絵が上手いっぽく見える! 絵を描くの楽しい!」となるのって、いちばんモチベーションにつながると思う。

コツコツと毎日デッサンとクロッキーをやるだけってしんどいし続かない。別にプロになりたいとかではなく、趣味で描いてSNSにアップしたいだけなのであれば、労力が割に合わない。

だからちょっとチート技使って自分の目をごまかして気分を上げて、あの手この手でなんだかんだして、絵を楽しんでいきたい所存です。

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