絵描きは芸術家じゃなくアスリート。身体を思い通りに動かす意識を

「毎日何時間もイラストの練習してるのに上手くならない」

「かなりマジメに努力しているのに報われない」

という人向け、【一生懸命やるだけじゃイラストは上手くなりにくいので、フィジカルを意識しよう】という記事。

イラストは「根を詰めて一生懸命マジメに練習をする人ほどたいして上達しない」という哀しい法則がある。

イラストや絵を描く人ってインドア系が多いというか、"椅子に座って黙ってじっくり取り組むもの"と思われがちなんだけど、イラストを描くって実はフィジカル(肉体的)なものなのだ。

だから、スポーツやお芝居、歌などと同じく、技術に則して自分の体を思い通りに使うことを意識しないと上達しにくい。

この記事では、

  • 自分の体が思い通り動いているか意識すべし
  • イラストを描く準備運動とクールダウンをしよう

ということについて描いていく。

自分の体(指先)が思い通りに動いているか?

絵が上手く描けないのは「センスがないから……」「感性が鈍いから……」みたいに精神論になりがちなんだけど、実は「身体が思ったように動かせていないから」という理由も大きい。

いわゆる"音痴"というのがあるけど、あれも体が思い通りに動かせていないことで起こる現象だ。

いくら完璧に歌詞を覚えても、100回お手本を聴いても、まずは音程の通りに発声できなければ意味がない。

「一生懸命練習してるのにイラストが上手くならない!」という人は、音痴のまま自己流で喉が枯れるまで歌っているようなもので、そんな練習はつらいだけで全くの無駄になってしまう。(練習自体が楽しいのならそれでも全然OKだけど。)

スポーツもお芝居も歌も絵も、全部「身体を思い通りに動かす」ことが重要。

例えばイチローは「体は小さいけど、"思い通りに身体を動かす力"はメジャーで誰にも負けない」と言っている。

武井壮も「身体を思い通りに動かせればどんなスポーツもできる」と言っている。

お芝居のジャンルだけど鴻上尚史さんも同じような提言をしていて、身体の使い方についての本を多く書いている。

「アスリートってたいへんだな、ほんのちょっとのことでバランスが崩れる繊細な練習をしているんだな……」と我々は思うけど、イラストを描くのだってかなり繊細な作業なはず

なのに、絵描きってそこらへんに無頓着な人が多いんじゃないかと感じている。

「自分の身体が思い通りに動かせているか?」と意識して絵を描いている人って、果たしてどれくらいいるだろう。

自分の身体を意識するために行うといいこと

毎日のルーティンを作る

「自分の身体を思い通りに動かせているか、って言われてもよく分からないし……」という人は、毎日同じものを描くルーティンを作るのがおすすめ。

毎日違うものを描いていると、微妙な調子の違いって気づきにくいから。

私が行っているのは、マルと直線を描くルーティン

よく「絵の練習でマルを描くのは無意味! マルを書いても絵が上手くなるわけない!」という意見がある。

しかしこれは絵が上手くなるためにやるんじゃなく"今日のコンディションをつかむため"であり"思った通りの線を描けるよう脳と指先の感覚をつなぐため"

ルーティンと言っても、描き始める前に紙のはしっこやキャンバスのはしっこにちょいちょいっとやるだけ。

詳しくはこの記事に書いている。

調子が悪ければストレッチや深呼吸、軽い運動

連日の作業が続くと、指先や肩、腕が凝って思うように動かないなんてこともある。

そういう場合はそのまま作業に入らず、ストレッチや深呼吸で身体をほぐす。

「は? イラスト描くのに準備運動とか要る?」と思うかもしれないんだけど、イラストだって身体を動かすことで生み出してるんだから。

脳と指先がガッチリ連動していないと、イラストなんて繊細なもの描けっこない。

上手く描けないなーっていうときに、椅子に座ったままイライラし続けても絶対に抜け出せないので。

描くものとテンションを合わせる

例えばすっごいハイテンションなものを描くとき、じっと座って真顔で描いていてもなかなか上手くいかないと思う。

(笑顔のキャラを描くとき、あまりにも自分が悲しい気持ちだと上手く描けなかったりするでしょ?)

そういうときも、描く前に身体を動かすようにしている。

身体的なテンションを上げれば、気持ちもそれに引きずられるからだ。

比べるのはおこがましいけど、アスリートが本番前に音楽を聴いて気持ちを上げるのと同じような感覚。

デジタル派でも、アナログの練習も続けるのがおすすめ

今は作業は全部デジタルで、という人も多いけど、身体の感覚を知るためにアナログ練習を続けるのはメリットが多い。

自分の調子を判断する要素は多い方がいいし、デジタルだと自動補正がかかって線に調子が現れにくいからだ。

完全にソフト頼りでいると、ソフトを変えたりアプデで設定が変わって調子がガッタガタ、みたいになってしまう。

私はデジタルで描くほか、毎日コピー用紙一枚使ってなんでもかんでもあれこれ描くようにしている。

絵を生み出すための、大切な自分の身体をいたわる

クールダウンをする

就寝直前までギンギンに作業して、疲れ果てて肩ガッチガチのまま布団へバッタリ……みたいなのは睡眠の質も悪く翌日に疲れも残るし、好ましいとは言えない。

絵を描く前に準備運動をするように、描いた後もクールダウンがおすすめ。

自分は夜遅くまで作業する必要があった場合など、ストレッチポールを使ってから就寝するようにしている。

ポールの上に寝転がるだけで背中から首がグニャグニャにほぐれ、寝つきがスムーズになった。

特にストレートネックで首がこる、痛い、という人にはおすすめ。

ペンにグリップをつける

自分はiPadとApple Pencilで絵を描くけど、Apple Pencilって細くて重くて、どうにも疲れやすい。

持ちにくいペンで長く作業すると疲労が溜まって身体を傷めるし、ストレスも溜まる。

なのでグリップをつけて、持ちやすく疲れにくいペンにカスタマイズすること。

道具を使いやすくすることで、パフォーマンスを上げることができる。

自分が使っているのはこれ。

無茶をしない

若い人ほど体力もあるせいか、半分徹夜でずっと作業をする人がいる。

けどそれって手の関節や腰、首に負担がかかるし、睡眠を削ることでダメージもある。

イラストって座ってできるからつい長く作業してしまうけど、たくさんすれば良いというものではない。

そもそも、自分の身体に意識的でいれば、むやみに長く座りっぱなしの作業はできないはず。

絵描きって、歌手やアスリートみたいなもの

自分も小さい頃からじっと絵を描く子どもだったから分かるけど、まーお絵描きしてると動かない!

そのせいか自分の絵が下手なのをセンスとか感性のせいにしがちで、フィジカルに目を向けない人が多い。

自分は美大から逃げた際に、演劇をやったり楽器をやったりスポーツをやったりして、自分のフィジカルと向き合うことを知った。

そして「あれ? 絵を描くにも、もっと上手く身体を使えばいいのでは?」と気づいたあとは、トントン拍子でデザインの仕事をさせてもらうことになった。

座ってウンウン悩むだけの芸術家気取りをやめ、アスリート気取りでフィジカルフィジカル言い出してからの方が、絵に関する仕事はうまくいっている。(考え方もポジティブになった。)

がんばっているのに結果が出ない…という人は、座りっぱなしでウンウン言うのをやめてみよう。

もっと自分の身体と向き合って、身体で絵を生み出しているということを意識してみるといいかもしれない。

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