イラストを毎日投稿するといいって言うけどたいへんそうだな……。実際に毎日投稿をしてみたら、どんな良いことがあるの?
と迷っている人向け【私がイラストの毎日投稿をしてみたときに良かったこと&しんどかったこと。しんどくならないためにこんな工夫をするといいかも?】ということについての記事。
「毎日イラスト投稿がんばろうかな! でもたいへんそうだし、明らかなメリットがないとやりたくないな……毎日投稿って実際やったらどんな感じなんだろう?」
そんな感じで、他の人の経験を聞いてみたい人って意外といるのかもしれない。
この記事では、
- 自分がイラストを毎日投稿してみて身になったと感じること、良かったこと
- しんどかったこと
- ここに気をつけないとムダになるかもな……と感じたこと
ということについて書いていく。
自分の場合は、絵の上達に関して言えば即効性はゼロだった
自分は個人サイト時代からイラストを描いてネットにアップしていて、イラストの毎日投稿も何回かしてみた経験がある。
初めに言っておくと、毎日投稿することで目に見えて絵が上手くなるかというとそうでもなかった。(自分の場合)
初心者でもないので、毎日投稿するうちに絵に変化が出てきたとかもない。
むしろ重要だったのは、毎日描いていれば「あー、どうもここ描くの苦手だな」「ここにクセがあるな」みたいなところが分かってくるけどそれを見て見ぬふりせず、自分の苦手を把握すること。だったと思う。その把握した弱点を背負ってじわじわそこから何年もかけて向き合っていくという感じ。短期間でどうこうなるわけではないため、絵の上達に関して言うと、自分の場合は即効性ゼロだった。
でもとにかく楽しかったからやっていた
毎日投稿のスタンスはだいたいこんな感じ。
- 期間限定(季節のイベントに合わせたり、推しの円盤発売までのカウントダウンなど)
- 期間は二週間〜100日までいろいろ
- 絵本のように、連載でストーリーを描いていくもの
- デッサンや模写を毎日投稿していたわけではない
今思うとほぼ自己満足のためで、とにかく描きたかったから描いていた。「発売日をただ待っているだけなんて無理! 推しへの愛を我慢しきれないよ……!」みたいな、愛と体力と気力が充実していた時期だったんだと思う。ここ数年はとんとやってないです。
そんな毎日投稿で感じた、良かった点を挙げていく。
イラストを毎日投稿してみて良かったこと
楽しみにしてくれる人が増えた
いいねの数だけで見ればだんだん増えていって、「いつも楽しみです」「今日初めて知ったので、さかのぼって見ました!」「あと数日で終わってしまうのが寂しく感じます」というリプをいただいたりもして、楽しみにしていてくれる人がはっきり反応の数として増えた。
増えたと言ってもくれぐれも「最初は数個だったいいねが急激に増え、一ヶ月目には何千単位に……!」みたいな話ではない。微々たるものです。
「労力に見合う評価が欲しい、いいねが増えなきゃやってられない」というタイプの人だと、モチベーションはキープできないと思う。
楽しみにしてくれる人が数人でもいることで、何が良かったかというと。
自分が描きたくて描いていたためほぼ自己満足で完結していたのだけど、やっぱりどうしても「今日はちょっとめんどくさいな〜、今日はやめちゃおうかな、自己満足だし別に毎日しなくてもいっか」という日も出てくる。
そういうときに「いつも楽しみです!」という言葉を思い出すと「今日はちょっとめんどくさい気分だけど、うーんでも楽しみにしてくれる人もいるしな!」みたいな気持ちになってモチベーションが底上げされ、重い腰を上げられたりしたのが良かった。自分以外の誰かのためって、けっこう力が出る。
やってるうちに気持ちも乗ってきて、結局は自己満足ができて達成感もあって「あー、今日も描いてよかった!」となった。
これが「なんだよ、めんどくさいのにがんばって描いたのに反応少ない!」とか感じてしまうようだと、続けるのはしんどいと思う。「誰かのため」は腰を上げるためのスイッチ程度にとどめるほうが精神的に健全な気がする。
受け取り手のことを考えるようになった
毎日投稿だからとにかく飽きられないようにと、自然と見てくれる人のことを考えるようになった。どうにか飽きずに楽しんでもらいたいな、楽しませたいな、という気持ち。飽きられたくなくて無理に工夫しようとするとしんどいので、そうではなくて。
具体的に挙げていくと、
・同じ構図を続けて描かない
なぜなら、同じ構図は見る人がつまらないだろうと思うから。動きや情報量が少ないのでバストアップも描かない。動きや情報量が少ないと見る人がつまらないだろうと思うから。何より自分が飽きる。毎回、複数人の全身を描くようにしていた。
・予定調和になりすぎない
なぜなら、見る人がつまらないだろうと思うから。予定調和じゃ自分だって描いていてつまらないし。でもしょせん素人のベタな連載なので、どうしても先は見えがち。だからスピンオフ的に少し脱線したり「えっ?」と思うような展開やパロディを入れたりして緩急をつけた。アニメだってストーリーに関係なく急に水着回とかあるもんね。
・気持ちよく見られること
また、Twitterでサクッと見るイラストだから、見た人がパッと理解してパッと楽しく気持ちよく感じるようなイラストを心がけた。スナック感覚ですぐ美味しいもの。分かりやすいもの。「私の絵からじっくり何かを感じとってよ……」だと分かりにくいしつまらないだろうと思うから。じっくりと見て何かを感じ取れるような絵を自分が毎日描けるとは思えないし、みんなそんなに暇じゃないだろうし。
・ツッコミしろを作る
あとはメインのキャラ以外に後ろの方でサブキャラがなんかやってるとか、よーく見ると細かい発見があって面白い、みたいなのも意識した。小ネタを入れるという感じ。リプなどでツッコミを入れたりしやすいと、見る人がさらに楽しいんじゃないかと思ったから。
繰り返し言うけど「飽きられないためにがんばって工夫した」とかじゃなく「楽しませたくて工夫するのが楽しかった」。誰かに楽しんでもらう・面白がってもらうために絵を描く、という感覚が養われた気がしている。誰かにプレゼントを贈るときの感覚に似ているかもしれない。
「毎日投稿してもたいして上手くはならなかった」と上で書いたけど、こんなふうに見てくれる人のことを想像する練習にはすごくなったと思う。
毎日描く習慣が作れた
毎日描く習慣が作れたこともよかった。
絵に限らずなんでも「やらなきゃな〜、でも……腰が重い……誰か何かきっかけをくれないか……」となりがち。一定期間だけでも毎日投稿すると決めることで、重い腰を上げるきっかけになる。
しんどいのは最初だけで、きっかけさえあればあとはなんなくやれちゃうことって多い。性格にもよるだろうけど、期間を区切ることで意外とできちゃう。
毎日投稿してみて気をつけたいと感じたこと
飽きたし飽きられた
あったりまえだけど、毎日投稿だとやっぱりどうしても自分が飽きるしまわりにも飽きられる。
絵本形式でストーリーのある連載だって飽きるし飽きられる。
ハマってるジャンルの二次創作だろうが飽きるし飽きられる。
ただのデッサンとか模写、同じ構図、バストアップばかりだと、もっと早く飽きるしもっと早く飽きられる。自分にとってもまわりにとってもエンタメ性がないから。
100%自分の練習のため、100%自己満足のためと言っても、やっぱり自分のためだけにすることって飽きも早いし続きにくい気がする。
人は必ず慣れて、そして飽きる。「まあ途中で多少飽きられても仕方ないよね。描いてる私も飽きるかもなあ……」と受け入れて「それでもなるべく飽きられにくい工夫をしよう!」と楽しめるかどうかが、挫折するかしないかのさかいめになりそう。自分は工夫をしたり小ネタを仕込んだりするのが好きなタイプだから、毎日投稿に向いていたんだと思う。
中だるみの日もあって、そこを乗り越えないと挫折しがち
さすがに毎日投稿していると、仕上がりイマイチだったな、反応もイマイチだったな、という、"中だるみ"みたいな日もある。
そういうときに「あーダメだった、自信なくした、やる気もなくした」となってしまうと続けるのがしんどくなってしまう。
「一ヶ月毎日投稿してりゃそういう日もあるよね」と中だるみありきで続けるとラクかもしれません。
やっつけになる
毎日投稿のいちばんあるあるな罠ですけど、手癖になるとあっという間にただのやっつけになる。(同じ構図、バストアップ、テーマのないらくがきになりがち)
自分の場合は時間があるときについ描きためになってしまうというのがあった。夏休みが始まる前に宿題を終わらせるタイプなので、先々の構図とか色合いくらいは決めておかないとソワソワしてきてしまい気づいたら前倒しでやっちゃってる。
仕事や家事との兼ね合いで多少の描きためはするとしても、「とにかく毎日アップすりゃいいんだ」にならないよう気をつけたいところです。やっつけになるくらいならお休みするくらいで。
焦りや気のはやりが疲労感につながりやすい
仕事や学校がある上での毎日投稿ってたいへんなことだから、特に気持ち的に余裕があるときじゃないとキツいかもしれない。
「宣言したんだから毎日投稿しなきゃ」
「まだ画力がなくて描きたい構図が描けない、ボツだ、新しいのを急いで描かなきゃ」
「今日は時間がなくてクオリティが低い、フォロワーさんが見ているのに……」
「がんばって毎日投稿しているのに反応が薄くなってきた、飽きられてる……?」
などなど、真面目にとらえがちになるとしんどい。
まずは「クリスマスまでの二週間」とか「キャラの誕生日カウントダウン一週間」みたいに短いスパンがいい気がする。
※自分の経験だと、仕事や家事と両立するなら1カ月毎日となるとそこそこきつい、ギリギリだったなという感じでした。気持ちに余裕があるとき(または推しへの熱量が高いとき)にやらないとしんどいかもしれません。
99%自己満足のためと割り切って、余裕のあるときに
他人が毎日イラストをアップしてても、私はよっぽど好きな絵描きさんじゃないとチェックしないと思うんです。
毎日更新をしていて頻繁に目に入るからといって、私はその絵描きさんのファンになることもない。
だから自分も毎日投稿するにあたって、他人にもそこは期待しなかった。
「毎日楽しみにしてもらいたい」とか「自分の絵のファンになってもらおう」という発想がそもそもないので、9割くらいは自己満足のためだった。(人間だもの、10割自己満足とは言い切れない)
それでも毎日投稿したい、あわよくば飽きられずに反応も欲しい、ということであれば、楽しく工夫できることはいろいろあったかなと思っている。
- 同じ構図、バストアップを描かない
- 予定調和になりすぎない
- 気持ちよく見られる、分かりやすいものを
- 小ネタを仕込んでツッコミしろを作る
- 飽きや中だるみはありきで
- (主に気力面で)余裕のあるときに
- 反応を意識しすぎず、自己満足することを意識する
ほぼ自己満足+ちょっとの他者満足、くらいが、自分の場合いちばん楽しくて捗る気がしている。
イラストの毎日投稿って「上手に自己満足を感じる練習」という側面がいちばん大きいかもしれない。うまいこと自己満足を積み重ねることで幸せになるし。
絵ってそもそも一人で描いて一人で完結するものだから、他人から期待されなくても自分のために描く、他人から期待されても気にしすぎず自分のために描く、というのができると幸せ度が高い。