
Twitterやpixivで反応がないとひどく落ち込んでしまう人は「評価依存症」と言えるかもしれない。
Twitterでも、こんな克服法が話題になったことがある。
このツイートで提案されている具体的な方法はこれ。
- 自分の中に評価基準を持とう
- ポジティブな評価をくれる人を信じよう
他にも、ネットでこんな克服法も目にする。
- SNSを見ないようにする、見るときは短時間
- 自分の好きな絵を描けば気にならなくなるはず!
どれもきちんと効果がある方法だと思うんだけど、
「気にするなとか自分を信じろとか言われても、それができたらとっくにやってるよ! それができないからつらいんだよ!」
って思う人の方が多いんじゃないだろうか。
そういう人のために、この記事では「評価依存症」に陥ってしまった原因を分析、そこから具体的な克服法を提案したいと思う。
そもそも、なぜ「評価依存症」に陥ってしまうのか
まず、どんな人が「評価依存症」に陥りやすいのだろうか。
例えば小さい頃に、親から「テストでいい点を取ったからえらいね」とか、「お手伝いをしたからえらいね」なんて条件付きでしか褒めてもらえなかった人。
また「クラスの誰々より成績が良くてすごいね」、「あなたは金賞だったから、銀賞の誰々に勝ててすごいね」など、まわりより優れているからえらい、という褒め方をされてきた人。
子どもにとって、親から褒められるのは存在意義の全てだ。
それが欠けたり偏ったりすることで、自分の存在意義を他に委ねてしまうようになる。
つまり、
絵が上手くなければ自分は必要ない人間なんだ。
誰かに負けてしまったら私はゴミなんだ。
だから誰よりもたくさん「いいね」をもらわなきゃいけないのに。
どうか「いいね」を、私が生きていて良い理由をちょうだい!
「いいね」をくれない人はなんなの? 私なんか死ねってこと!?!?
大袈裟に言えばこんな感じ。
「いやいや思い込み激しいな、落ち着けよ」と思った人もいるだろうし、これが極端だと思えない人もいるだろう。
「自分軸」「他人軸」と言う考え方
元プロ陸上選手の為末大さんが、たびたび「自分軸を持つ」ということについて発言されている。
「え〜アスリートの話なんか参考にならないよ」と思うかもしれないけど、絵だってスポーツだって同じ人間がやってるんだから。
「自分軸」というのは、「他人のものさし」でみていた世界を「自分のものさし」に切り替え、本当の成功を目指す、という考え方だ。
「自分のものさしを持とう! って言われても、それができりゃあ悩んでないっつうの!」
だよね分かる。
そういうときに、「他人のものさし」から「自分のものさし」へ切り替える方法を試してみてほしい。
最終的に自分はどうなりたいのか決める
よく言われることだけど、まず"最終的に自分はどうなりたいのか"目的地点を決める。
「いいね」がたくさんついてもフォロワーが増えても、それは最終目的ではないだろう。
今絵を描いている人で「いいねを1万もらうのが人生の目標です!」なんて人はいないと思う。いる?
最終的に自分は、絵を描くことでどうなっていきたいのか、何をしたいのか。
それを決めることで、自分の軸ができる。
「ゲームのキャラデザインをする」「アニメーターになる」「メカをリアルに描けるようになる」「動きのある戦闘シーンを描けるようになる」「納得いくデザインで同人誌を作る」などなど。
私の場合は、こんな感じの目標を持っている。
"似顔絵を名刺やアイコンに使ってもらったときに、「あ、この似顔絵……ふふっ」「似てますでしょ笑」みたいな感じに、名刺交換の場がゆるむような絵を描くこと。"
一見ささやかに見えるかもしれないけど、自分の本当に望むものをよーく考えて決まった目標で、これを決めてから絵に対する気持ちがとても楽になった。
Twitterですっごく上手い絵やすっごく似てる似顔絵が高評価を得ていても、「わー、すごい絵だ! まあ私の目標とは関係ないんだけど」と距離を置くことができるのだ。
目標地点が定まれば自分がどんな努力をすればいいかがハッキリするので、ワークショップを受けるなりクロッキー会に参加するなり、具体的な行動を起こすことができるのもメリット。
実際に行動に移すことは「自分は前へ進んでいるぞ!」と感じられるため、精神衛生的にとても良い。
絵を描くことで自分がどうなりたいかを考えるには、この記事の中の「ブレインダンプ」という方法がおすすめ。
一般的な評価を疑い、距離を取る
「いいねがいっぱいついているのがすごい絵師である」というのは一般的な評価だ。
他にも「今はデジタルイラストが描けなきゃ絵師として時代遅れ」「リアルイラストに比べてデフォルメイラストは劣っている」「あれが描けなきゃ一人前じゃない」「上手くなるには1日何時間描け」「この美大を出てないとダメだ」などなど……。
そういった、いわゆる「一般論」を真に受けるのをやめてみる。
「それって真実なの?」「そうじゃないかもしれないじゃん?」
とまずは自分で考えるクセをつけると、しだいに自分の軸ができ、振り回されにくくなる。
人間って、自分で考えるより他人の言いなりになるほうが楽なんだってさ。
だから意識して自分で考えるようにしないと、絵のこと以外もずっと他人の言葉に一喜一憂する人生になってしまう。
気持ちを整理したら新しい行動をしよう
自分がどうなりたいか、どんな絵が描きたいかハッキリしたら、それに向かって行動すること、正しく努力をすることが可能になる。
ただし、昨日と同じような絵を描き続けても、それは行動ではない。
目標をはっきりさせたのだから、そのために新しい行動を起こすことが必要だ。
デッサン会に行くなり、漫画を読みまくって表現を真似してみるなり、新旧ロボットアニメを見まくるなり、やることはいくらでも思いつくはず。
「この目標のためにこれをするぞ!」と行動を始めることこそが、「自分軸」を持つということ。
Twitterで「メンタルが弱ったら筋トレしろ」でおなじみのTestosterone(テストステロン) さんという人がいる。
「とりあえず考えることをやめて、自分のできるトレーニングから始めてみる」
という点で、私は絵と筋トレは同じだと思っている。
じっと考えていると考えも脳内ホルモンも萎縮してしまうので、ちょっと脳筋になってみてほしい。
ていうか、絵をしばらく休んで筋トレしてみてもいい。
画力を上げる方法はこちらの記事に書いた。
絵の仕事を募りたいならこちらの記事に詳しく書いている。
絵が上手い人への嫉妬がつらいという人にはこちらも参考になるかもしれない。