SNSで知人に悪口を言われたときにどう対処したらいいのかということ

ネットの友人にエアリプで悪口を言われている。ジャンルのフォロワーも見てるから、あまりことを荒立てたくない……でもつらい。どうしたらいいんだろう?

というお悩みがある人向け【SNSで悪口を言われたときの考え方と、でき得る対処法、逆にしない方がいいことについて】の記事。

「このツイートって私への当て付け(エアリプ)かな?」と思う場合、冷静に考えるとけっこうそうじゃないことも多いよねという記事を書いたことがある。

くれぐれも冷静に判断しないとコトがこじれるけど、でも時には、明らかに気のせいじゃない、ハッキリと自分に"敵意"が向けられているというケースもあると思う。

自分もネットやリアルで悪口を言われた経験があって精神的にキツかったので、「こういうときどう考えると楽になるか、事態が良くなるか」ということについて自分用の覚書を残しておく。

SNSで悪口を言われていたとき、まずは間合いを取る

まず大事なのは、相手と十分な間合いを開けることだと考えている。物理的にも精神的にも。

なんでもそうだけど、自分視点(主観)で受け止めると正確な判断ができなくなるので、自分に起こっていることを俯瞰で見る。いわゆる【メタ認知】というもの。

FPS(一人称視点の戦い)だとパニックになりやすい

ゲームで言うとFPS(一人称・自分の視点で戦う)ではなくTPS(三人称視点で戦う)で見るということ。簡単に言えば【悪口を言われている自分というキャラ】と【悪口を言ってくる敵キャラ】を天の視線で見るみたいな。

ゲームをやる人は分かると思うけど、FPSだと今自分がどんな状況か分からないままタコ殴りにされてパニックのままゲームオーバーってことが起こりがち。でもTPSならどんな敵にどこからどんな攻撃をされているか、だったらどう避ければいいかというのがまだ客観的に判断しやすい。

ただ、人は基本的に、狭い視野で、自分主体のFPSで生きている。

普段は冷静で物事を客観的に見られるTPSな人も、自分がピンチになると急にFPSオンリーに切り替わってしまう。人というのはデフォルトではそういうシステムになっている。

だからコンフィグをいじって、「ピンチになってもTPS視点を維持する」にチェックを入れる。

誰かに攻撃されたとき、何を置いても「よし、まずは自分をコントロールするぞ(悲しみや混乱に気持ちが支配されないようにしよう)」とちょっとひいて後ろから見る。この間合いが取れたら事態はそう悪くはならない気がします。

TPS(三人称視点)を保つことで、事態が悪くなりにくい

ウエンツ瑛士さんがテレビ番組で「ネットのメッセージを見るときは誰かと一緒に見る。嫌なことを書かれていてもその場に他人がいれば流せる」ということをおっしゃっていたけど、これも第三者の視点がそばにあることで自分のTPS状態が保たれやすいということなのだと思う。

TPS状態を保つことができれば、自分のメンタルも含め事態が悪くなりにくい。

つらいことからちょっとだけ距離を置ける

しんどくならないためには"今、まさにこの今の瞬間に起こっていないことは考えない"というのが最大のコツらしいんです。

この考え方を知ってから、ショックなことがあったとき、ピンチに陥ったとき、憂鬱なことがあるとき、何を置いても【今】に集中するように気をつけてみている。「あの人、私の知らないところでまだ悪口言ってそうだな……不安……」「請求書○日までなのにまだ連絡来ない……イライラ……」みたいなことに囚われそうになったら、「あ、いかんいかん、それは【今】起こっていないことだ」と、今、ブログのこの行を書くことだけを考える。

数時間前に悪口を書かれていたことは【過去】であって今このときではないし「また明日も嫌なこと言われて嫌な気持ちになるのかな……」というのも【未来】の話であって今このときではない。

けれどFPSで生きているとどうしても内省的になってしまい、【今】と地続きである【過去】や【未来】まで考えが及んでしまう。人類がみな座禅とか瞑想とかをするのは、そんな無意味な過去や未来を切り捨てて【今】に集中するためなのですよね。大いなる宇宙の中の自分を感じる、究極のTPS。(……かどうかは分からないけど、座禅をやってみることで自分はそんなふうにも感じました。)

自分の感情をコントロールできる

ド主観で感じちゃうと悲しみや混乱にめいっぱい支配されてしまい、自分の気持ちがコントロールできなくなる。

そうすると、エアリプをスクショして晒し「これって私のことだよね……ショック……」とかやってしまったり「誰か味方につけなきゃ」と画策してしまったり、フォロワーさんを巻き込んだ戦争になっていく。(実際にはフォロワーさんたちは困惑して引くだけなので味方が増えるわけではなく、よけい孤立する)

どこか客観的な感覚を残しておくことで「いや、これをやっちゃあ泥沼だよな……」という理性が働き、事態をムダに悪くするのを避けられる。

相手の事情や心情が分かることがある

そしてメタ認知で考える最大のメリットはこれだと思うんだけど、相手の心情や事情が察せられるということ。

アニメやマンガの敵キャラもそうだけど、「なんでこの人、こんなひどいこと言うんだろう……」と分からないままだと怖いしつらいしひたすら憎い。

でも事情が分かると同情できたり共感できたり、ちょっとだけ許せたりする。許せないまでも「この敵キャラもかわいそうな人なんだな……分からんでもないわ」となったりする。

意地悪を言ってくる相手の事情や心情が分かることで自分の心が優位に立てるので、余裕が生まれたりする。

相手が悪口を言ってくる理由

人は「自分が我慢していることをのうのうとやっている人」を攻撃する

シャドウとペルソナについてご存知の人も多いと思うけど、人には「こうありたい、こうあるべき」というペルソナと「でも本当はこうしたい」というシャドウがある。

例えば「私は節制できてスタイルのいい人間だ。ダイエットのためにケーキを我慢すべき。太ってるのはみっともない。」というペルソナの下には「でも本当は思い切りケーキを食べたい」というシャドウが抑圧されていることがあったりする。

「本当はケーキを食べたい」というシャドウをギリギリで我慢して押さえつけている人の前で、「あーケーキおいしいな〜♪」とバクバク食べたらどうなるか。

「ケーキ食べてんじゃないわよこのデブがよ〜!!!!」と攻撃してくるだろう。

実際はもっと取り繕って「太っているのにケーキを食べるなんてどうかと思う。私ならできないわ〜」とか「太ってるのがみっともないって分からない人もいるんだね〜」とか「ケーキの食べ方が汚い、この人なんだか生理的に無理」とか、もっともらしい理屈をつけて相手を巧妙に傷めつける言葉を選んでぶつけてくる。

自分のシャドウをあっさり叶えてしまっている人を徹底的に否定し、自分のシャドウをいっそう強く抑圧するために。

たいていのケースで、悪口の正体ってこんな感じなんじゃないだろうか。

これを絵の例に置き換えてみると、例えば、

「いいね稼ぎに他ジャンル描くなんて私には無理だわ〜フォロワーに媚びてて神経疑うわ〜軽蔑するわ〜(私も喉から手が出るほどいいねがほしいけど我慢してるのにー!! ホイホイいいねをもらってるこの人が憎い! 消えてほしい!)」

みたいなこと。これ言うほうと言われるほう、自分はどっちも経験がある。

悪口のほとんどの理由は「ズルい!」という気持ち

要するに悪口って、

「自分がやりたいけど我慢していることをやっているから、ズルい!」

「自分にはできないことをしているから、ズルい!」

ということなんだと思う。

でもそれって相手の勝手だよね。私悪くないよね。「ズルい!」じゃなくて自分もやればいいじゃんね。

こんなふうに導いてくれる大人が近くにいる子どもさんは幸せだなあー! と思ったのだけど。

「自分がやりたいことを他の子がやってる」→「ズルい」

ではなく、

「私もやりたい」

と自分の感情を正確に表現する訓練をしないまま大人になる人って、たくさんいると思うのだ。

よく「悪口を言ってくるような人は、かわいそうな人なんだよ」って子どもの頃に言われてきた人も多いと思う。確かに大人になっても「ズルい!」で思考停止してしまうなんて、だいぶかわいそうな人な気がしてくる。

悪口は自己紹介でもある

「悪口は自己紹介」というのもよく言われる言葉。

例えば自分が過去に言われた悪口の中に、

「いい年して同人誌作ってるとかバカみたい、何も考えないでお金使って、貯金するっていう考えがないのかね、独身はこれだからダメ」

というのがあった。(同い年の既婚の方に言われた)

「いい年して……」:「私はいい年なので焦っています」(同い年だからね)

「何も考えないでお金使って……」:「私はお金を使うときあれこれ考えなければなりません」

「貯金するって考えがない……」:「私は貯金をすることにあくせくしています」

「独身はこれだから……」:「私は既婚なので自由にならず我慢していることも多いです」

という自己紹介になっている、と読める。

※ここで例に出した独身とか既婚というのでどうか気を悪くしないでください。たまたまそういうことがあっただけなので。

こういう自己紹介だと思うと「そうですか、あなたはたいへんなのですね」という気持ちになってくる。そんなこと冷静に分析できないよ……という場合はFPSになってしまっているので、心の状態が良いとき(思考が膨らみやすい夜ではなく午前中、誰かと一緒にでもいい)に、無理せずTPSに切り替えてみる。

人に悪意を向けられたとき、「この人、本当は何を言いたくて、何を抑圧しているんだろう?」もっと言うと「私のどこがそんなにうらやましいのかな?」と考えるようにしてみると、自分がムダに傷つかずにすむ。(腹は立つ。)

まわりから見たら、どう見ても敵キャラが悪い

ずっと悪口(言葉の暴力)を浴び続けているとつい視野が狭く主観的、FPSになってしまい、「私が悪いのかも……」という気持ちになってしまう。これがいちばん危ないと思う。

言葉の暴力を使う人って、相手を傷つける言葉と同時に「私はお前に傷つけられた」「お前のせいで私は病んだ」みたいに、被害者になってくることが多い気がする。まんまと罪悪感を感じてしまったら、理不尽な相手の思うツボ。

そう、相手はあなたに罪悪感を植えつけたくて、あなたに消えてほしくて必死で悪口を言っているのだ。消えてほしいのは実際はあなたじゃなく自分のシャドウなんだけど、嫉妬に狂った相手は自分が何を言っているのかさえよく分からなくなっている。

もうこんなの、まわりから見たら明らかに悪口を言ってるやつが闇堕ちした敵キャラで、明らかに悪いやつなわけです。

まわりだってちゃんと分かっている。なんなら「うわあこの人嫉妬に狂って悪口言いまくってるよ……標的になっちゃってる人が気の毒……」くらい思ってるよ。ただ関わり合いになりたくないから触れないだけで。

TPSでいることで「あーこれきっとまわりもどっちが悪いか分かってるよな……」と思えると、それだけでもだいぶ楽になる。

見破られることで、相手は弱体化する

FPSだと「こわい、つらい、なんでそんなこと言うんだろう……これ以上何を言われるんだろう……」と体がすくんで拒否してしまう。そうすると相手はエスカレートして潰しにかかってくる。

TPSなら「そうか、私のこういうところにこう感じたから過剰に反応してたのか」「あらあらまわりくどい自己紹介だったのね……」「なんだ嫉妬かよこいつ大したことないじゃん」ということが分かって、かなりこちらの気持ちが楽になる。

こっちが理解して軟化すると、相手の態度もまた変わってくることってある。

こっちが相手の嫉妬を見破ることで、相手は居心地が悪くなって弱体化することもある。

ここから先は説明しづらいんですけど、相手に全て見透かされてるなと察すると攻撃する気力を失ったり、分かってもらえたことで嫉妬が成仏したり、自分に恥ずかしさに気づき罪悪感を抱くようになって謝罪してきたり、みたいなことも起こっていくかもしれません。

自分の場合、ケンカ別れして10年ぶりに会った元友人が「あのとき私こう言ったけど、あれってあなたのことが羨ましくてムキになってたんだなって最近気づいた。ごめんね」みたいなこともあった。

悪口を言われたとき、具体的にどう行動していくか

「いや、考え方とかどうでもよくてさ……具体的にどうすればいいのか知りたいんだけど」という場合はその人の考え方や方向性、それぞれの状況による、としか言えない。

ここで言えるのは月並みなこれくらい。

  • ジャンルやSNSから距離を置く(自分を守るためでもあり、相手の頭を冷やす期間にもなる)
  • 別アカを作って避難する
  • フォローを増やして、嫌な要素を薄める

3番目の「嫌な要素を薄める」についてはこの記事に詳しく書きました。

悪口を言われたとき、やらないほうがいいこと

「具体的にこうするといいかも!」というのはないけど、自分の経験上「具体的にこれはやらないほうがいいのかも!」と感じたことはいくつかあった。

無理して楽しそうに振る舞うこと

上で書いてきたように、相手はあなたを何とかして傷つけて消すために悪口を言っている。(本当に消したいのはあなたではなく自分の中のシャドウだけど)

それを「落ち込んだりもしたけれど……私は元気です!!イェーイ!!(カラ元気)」「全然大丈夫、毎日楽しいな〜!」みたいに元気に健気に振る舞ってしまうと、相手の苛立ちは増し、悪口はエスカレートしてしまうかもしれない。

無理して明るく元気にふるまっても、自分もしんどいしまわりも気を使うし敵はいっそうイラつくしで自分の場合はあんまりいいことなかった感覚があるんだけどみなさんはどうでしょう。

何も落ち込んでるフリをしなくてもいいんだけど。

悪口に悩んでいるという人って、気配りもできてほがらかな方が多い気がしているんだけど、相手にとってはそれがよけい腹立つのかもしれない。自分の邪悪さ、醜さがきわだつから。

傷ついた顔もせず、無理して明るくもせず、「あなたの動向によって自分に変化はありません」の無関心を貫くのが最も無難かなと思う。

晒しとか、悪口を言い返すこと

あとはスクショ撮って「これ私のことだよね……」とかしたり、悪口を言い返したりしない。

これは道徳的にだめとかじゃなく、相手に正当な攻撃の理由を与えてしまうから。戦略上です。「エアリプだと言いがかりをつけて私のツイートを晒した!」「フォロワーに私の悪口を言ってる!」となれば、晴れて相手は堂々とあなたを非難することができてしまう。

今もし仮に裁判所に出た場合に、自分に不利になるような物証・人証を決して作らない。相手の中傷の証拠は残しておく。TPSだとそれくらい狡猾に考えることができて、なんならニヤリと笑えてくる。

直接対決

たまに解決を焦るあまり「話し合おうよ、私も悪いところあったら直すし」と相手に提案してさらに泥沼、というのを見る。

相手にしてみれば本当に憎いのは自分の中のシャドウであって、言わば堂々とケーキを食べているあなたが「羨ましい」だけ。そんな自分の無様さは嫌というほど感じているはず。

そこへ「私も悪いところあったら直すよ」なんてケーキを食べながら出て行ってしまったらコンプレックスをこの上なく刺激して逆上させ、大爆発が起こって世界が終わりかねない。

相手は鏡に映った自分といがみ合っているだけなので、こちらが出ていくことでこじれてしまう。相手の自爆に巻き込まれるのはアホらしい。

【こういうときはこう考えよう手帳】を作っています

相手の暴言を真に受けて混乱しないこと、これが悪口を言われたときの最大のポイントな気がします。

なので私はまずはFPS→TPSに自分を変えて、受け取り方を変えてみたという話です。

そうすることで気持ちが楽になったり、さらにそこから糸口が見えたり、相手の態度が軟化したり、というふうに事態が収束しやすくなる。少なくとも、事態は悪くなりにくい。味方もつきやすい。

でも、普段はTPSを心がけていても、いざ自分が渦中の人になると一瞬でFPSになってしまう。人ってちょっとしたことですぐに、メタで考えることができなくなる。悲しみや混乱に支配されてヘタを打ってしまい、つらいだけでなく事態も悪くする。人間関係はだいたいそんな感じでめんどくさくなる。

なので私はメンタルが元気な時に【こういうときはこう考えよう手帳】というのを作ってある。

「自分に価値がないという気持ちになったときは……」「ライバルに先を越されて悔しくなったときは……」などの気持ち的なものから、「脚がむくんでるときは……」「疲れが抜けにくいときは……」など体調管理的なものまで。

予想外のことが起こって感情を振り回されたとき、下手を打つ前にまず手帳を開くことで「そうだった、そう考えるといいんだったよね……元気なときの私ありがとう……」となる。

毎年新しい手帳を買ったタイミングで比較的気持ちの穏やかな年末年始、巻末のNOTEページに書いています。第三者に相談するより、頼もしい自分自身の言葉のほうが効いたりする。

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