イラストの仕事をしてみたい初心者なんだけど、仕事の進め方ってどういう感じ? 流れが分からないから不安……
という人向け【クライアントにもよるけど基本的には①詳細を確認②ラフ提出③直し④本データ、とこまめに連絡をとって確認しながら進めていくと行き違いが起こりにくいと思います】という記事。
クライアントによって進行のしかたは違う
クラウドソーシングなどでイラストの仕事を誰でも気軽に経験できる時代になったけど、人によっては「イラストの仕事に挑戦してみたいけど、初心者だから流れや進行が分からなくて不安なんだよな……」と一歩が踏み出せないこともあると思う。
自分も複数の企業や個人と仕事をさせていただいた経験があるけど、進行の仕方はクライアントによって本当にいろいろ。
個人はもちろん、企業の場合もプロジェクトや担当者によっても違ったりした。進行を管理する「進行」担当が付いていることもあればいないこともあり、連絡をこまめに取ってくれるところもあればそうでないところもあり……。
どんな仕事でもそうだけど、クライアントに合わせて対応を柔軟に変えていく必要がある。
なので、ここでは自分が経験してきた基本的な流れと「こうするとスムーズに進められる」と感じたポイントについて書く。
仕事を始める前に契約の確認をしておく
まずは仕事を始める前、当たり前だけど契約内容とか詳細を確認しておく。きょうび電話や口約束でやりとりする人も少ないだろうけど、必ずメールなどログが残るもので。
- ギャラ
- 納期・スケジュール
自分はまだ若いころは「もったいない精神」で何でもかんでも請けていたけど(そういう時期はあっていい気がするけど)、年齢を重ねるにつれ家庭のことや本業に支障が出ないよう、無理なくきちんと確認して請けるようになった。
ギャラの確認
「ギャラいくらですか、なんて聞けないよ〜」と思ってしまうかもしれないけど、ほとんどの場合先方から提示されるのでこちらは了承するかしないかだけ、なことが多い。企業相手の場合は特に。
個人相手の仕事などで、もしいつまで経ってもギャラの話をしてこない場合はこちらから聞くしかない。そのお取引相手が中途半端に知り合いだった場合、最悪、相手がわはノーギャラのつもりのこともあるので。
そういう場合は「ココナラ」などの仲介サービスを通して依頼してもらうようにするとギャラの話を直接しなくて済む。
疑問点があればここでハッキリさせておく。たとえば「素材やフォントが必要な案件だけど、その分の経費は負担してもらえるのかどうか」とか。場合によっては見積書を作る。
あと、もし気になるようなら「その金額は消費税込みなのかどうか」とか「振込み手数料はどちら持ちなのか」とか。
納期・スケジュールの確認
きちんと進行の担当者がいて進行スケジュールがある場合は、先方から「スケジュールはこんな感じですが問題ないですか?」と提示してくることが多かった。
たとえば「発売日は何月何日の予定です。メインビジュアルだけはまず何月何日までに完成させて発表する。別のところに発注している素材が届きしだい、それを使って中身を仕上げる。これは何月何日まで。そのあと遅くとも何月何日には印刷に回したいです」みたいな感じ。
けど進行担当がいないことも多いので、そういう場合は「進行スケジュールが決まっているようであれば、決まっている範囲でいいので教えてください」とこちらから聞かないと何も教えてくれないみたいなこともあった。
仕事の流れ・進め方について
仕事の流れや進め方といっても、これも案件や相手によるので「絶対こう」「こうすべき」みたいなことはない。
自分が経験したものはたいてい、
- ラフ提出
- 直し
- (ラフデータ提出と直し)
- 本データの提出
という流れだった。
どの工程もこまめに連絡をとり、「○日までに送れます」ということを相手に伝えるようにしていた。
各工程を少し詳しく説明してみる。
ラフといってもラフじゃないラフ提出
イラストで「ラフ」というとざかざかっとしたラクガキや下書きみたいなイメージがあるかもしれないけど、ここで提出するラフはほぼ完成形のことが多い。
ラフ提出をするのは「完成形はこんな感じです」とハッキリしたビジョンを先方に見せるためなので、できるだけ完成形に近いもの、完成形がしっかりイメージできるものが好ましい。好ましいというか、でないとラフと完成データにギャップがありすぎて「え? 思ってたんと違う! 描き直して!」になりかねないから。
自分はラフはほぼ完成形で提出しつつ、直しの要請があったら直しやすいようにデータを何段階かで分けて保存しておくようにしている。
「私の中ではこれで完成形なんですけど、これで良いよね?」みたいに一点だけ提出するのではなく、複数のラフや色違いなどを作って提出すると相手にイメージが伝わりやすく、直しもスムーズに進む。
直しは必ずあると思っておく
ラフというのは叩き台であり、ここから良くしていくための土台。「直しは必ずあるもの」と思っておくと精神衛生上よいと思う。
直しと言ってもいろいろで、「もう少し鮮やかな色になりますか?」みたいな直しもあれば、「コンプライアンス的にあれなので指はちゃんと5本見えるように描いてください」みたいな直し、「うーん、なんか違うんでもう一回全部描き直してください」みたいな直しもある。
「直しを要求されると自分や自分の作品を否定されたみたいな気持ちになってしんどい」という人もいるけど、直しというのはそういうものではなくて、あくまでも一緒により良い製品を作り上げるための工程だと考えているので、自分の描いたものに固執しすぎず、相手の要望でどっちにも動けるようにというのを心がけている。
また、先方はなるべく早く完成形を見て安心したいので、直しの早さというのがとても重宝されるように感じる。このときも「別のラフを○日までに送れます」とか「色味の直しは本日中に送れます」みたいに作業のめどを連絡する事で先方が安心する。
※ラフは複数点出して「どちらがいいですか?」と聞く
人って、一つだけ見せられて「これでどうですか? 直すところありますか?」と聞かれると「何か直すところを見つけなきゃ。それが俺の仕事だから」と思ってしまい、はりきってあれこれこねくり回したくなって無用な直しが発生したり「あー、やっぱ最初ので笑」になったりする。
ラフを複数点出して「どちらがいいですか?」と聞くと「どちらか選ぶのが俺の仕事だ」となり、無用な直しが発生しにくい。
(ラフデータ提出と直し)
※「ラフ」とか「ラフデータ」とか呼び方や定義は人によっていろいろです。
自分は主にデザイン系の仕事だったためイラスト以外にもタイトルロゴや文字組などデザイン要素が多かった。ので、Adobe IllustratorのAIファイルのデータを提出して確認してもらうこともあった。ここでも場合によって必要ならば直し作業が発生する。
※データの名前を「ラフ1」「ラフ2」とかにすると何度も直しが重なると分からなくなるので「○○(案件名)_20220118」などと日付を入れたりしていました。
本データの提出
OKが出てデータを整えたら完成データを提出。
データを整えるというのは、自分の場合はレイヤーを整理して分かりやすい名前をつけておく、というのを心がけている。完成データを出したあとで先方から「ロゴだけちょっと位置をずらしたいんですけど、こちらで修正してもいいですか?」みたいなときがあるので、他人が見ても分かりやすいデータにしておく。
仕事が終わったら請求書を作る
無事OKとなれば、請求書を作成して送付する。
最近はPDFで作成してメールに添付することが多い。印鑑も電子で捺す。
会社によって請求書の書式が違う(独自の通し番号があったりなど)ので、先方から「請求書を送ってください。その際の書式はこうでお願いします」みたいに指定されることもあり、そうでない場合には「請求書を送らせていただきたいので書式などあれば教えてください」と聞いて作成する。
とにかくこまめな連絡をすることで信頼関係ができる
仕事の進め方は本当にそれぞれ違うので「こういう進め方をすべき」ということはない。
けど、とにかくこまめに連絡を取ることで信頼関係ができ、お互いに安心して仕事ができる、というのは間違いないと感じている。
最初から完璧にやるのは無理だし、先方によけいな手間をかけさせてしまうこともたくさんあったのだけど、お互いにそれが仕事なんだ。と、場数を踏んでいくことでやっと学んできたところです。