【写生大会のコツ】絵が苦手でも賞をもらえる絵の描き方【小学生まで】

小学校で写生大会があるけど、どう描いたら良いのか分からなくて戸惑ってしまう。絵を描くのが苦手だし、とても苦になる。写生大会、嫌だなあ……

と悩んでしまう子どもたちとその親御さん向け【絵が苦手でも賞をもらえる絵の描き方①はみ出すように描く②強調したい部分を細かく描き込む③色は混ぜてムラにする】という記事。

絵ってどうやって描いたらいいか分からないし、勉強やスポーツと違って正解が分からないし、がんばって描いたつもりが賞ももらえないし……いつも大人の言うことを聞いて正しいことをしている良い子ほど戸惑ってしまうのではないかと思う。

もしくは、「自分の子どもが絵が苦手で、写生大会を苦にしている。でも私も絵なんて分からないし、なんてアドバイスをしたらいいのか分からない……」という親御さんもいるのではないか。

自分は小学校の先生をしていた頃に「先生方は、こんな感じの絵に賞をつけているんだな」というのをなんとなく感じたことがあった。(私は賞を決める役をしたことはなかった)

また、写生大会がきっかけで絵が苦手になってしまったり自信がなくなってしまうような子どももたくさんみてきた。

それはとてももったいないなと思ったので、こんな記事を書いてみている。

結論だけ先にまとめて子ども向けに言うとするなら、

  • はみ出すくらい大きく描こう(できれば斜めから見て描いてみよう)
  • よく見てほしい部分は細かく描き込もう
  • 色を混ぜよう

という感じ。どれも図工のときによく先生が言うことだけど「なんで?」「どうしてそれで上手くなるの??」「理由は?」となって疑心暗鬼で終わってしまう子どもが多いと思うので、自分のできる範囲で噛み砕いて書いていきたい。

絵が苦手な子どもの気持ちが楽になってくれたらそれがいちばんうれしい……というと「そんなきれいごとはいらないんだ。好きとか嫌いとかじゃなくて、子どものうちに確実に絵を得意にさせたい」と言われることも多い。

ので、オンラインで受講できる子ども用の絵画スクールについての情報を冒頭に置いておきます。

自分は絵画教室には懐疑的だったのだけど、『アタムアカデミー』は絵の技術だけでなく描いた作品の販売まで経験させてもらえるという特色があります。絵がなかなか仕事に結び付かなかった自分としては、絵が描けるようになった先のことが学べるのはかなり重要だと思うし、それは確かに習いたかった。唯一「うらやましい」と感じるスクールです。

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写生大会で賞をもらえる絵の描き方ってあるのか

自分の小学校では毎年写生大会があったんだけど、1年生から6年生まで賞をもらい続けていた。これはドヤっているわけではなくて、途中から「こういうふうに描けば賞をもらえるんだな(=大人は子どもにこういう絵を求めているんだな)」ということを、分かった上で狙ってやっていただけな気がする。なので、自分は絵が上手いのかというと別にそうでもない。

※中学生以降はこれだけでは通用しないので、小学生程度までのこととして聞いてください。

でもこの小学校のときの経験から「私は絵が得意なのかもしれない」となって、美術科進学や美大受験を経て、デザインの仕事や小学校で子どもたちの絵を見てあげるような仕事をしていた。

そのときもやはり、「絵が得意なわけではないのに、なぜかいい絵が描けて賞をもらえる子ども(私のようなタイプ)」と、逆に「絵が得意で上手いのに、なぜかいい絵にならず賞をもらえない子ども」がいたりした。

絵が得意なのに賞をもらえず、自信を無くしてしまう子どもたちを見て、写生大会の賞ごときでせっかくの芽を摘んでしまうのがもったいないように感じた。

「上手い絵」と「写生大会で賞をもらいやすい絵」というのは別モノなんだよ、自信を無くす必要はないんだよ、と言ってあげたくて、こんな記事にしてみた。

逆に言えば、「写生大会で賞をもらいやすい絵」というのは、絵が苦手でもコツをつかめば描けるということになる。だから「絵が苦手だからイヤだなあ……」なんて萎縮する必要はない。

上手く見えやすい構図を取る

子どもの絵に限らず、"構図が九割"だと自分は思っている。

構図なんていうと専門的で難しいと感じるかもしれないけど、つまりは、

  • はみ出すくらい大きく描く
  • 斜めから描く

ということ。

はみ出すくらい大きく描く

これは自分自身が小学生の頃にもやたら先生から言われた記憶があることだけど、まず、大きく描くこと。全部をきっちり収めるのではなく、はみ出すくらいに大きく描く。

たとえばシカを描くなら、ツノをメインに据え、全部画用紙に入りきらずツノの先がはみ出てしまうくらいの構図で描く、とか。全部を画用紙にきちんと収めるより格段に迫力が出るし、「このもりもりしたツノが描きたかったんだな」ということが見る人に伝わる絵になる。

絵の上手くない人、いわゆる"画伯"の絵は、なぜか画用紙に対して極端に小さく描いていたりする。また、絵が上手すぎる子どもも、無難なバランスでやけにこぢんまりコンパクトに描くことが多い。小さく描いてしまうと迫力がないし自信なさげに見えるし伝えたいことも分かりにくくて、目を惹きにくいというのはあると思う。

絵を描く上で重要なこと(いい絵になるかどうかの決め手)は「私はこれを描きたかったんです!」っぽいことが伝わるかどうかであり、描きたい部分をアップではみ出さんばかりに大きく描くことで、それが伝わりやすくなる。

※あえて具体的に画像で例を出していないですが、これは、パッと見て「これが正解なんだ」「この通りに描けばいいんだ」という刷り込みになってほしくないためです。

斜めから描く

また、目を惹く要素の一つは「立体感」だと自分は考えている。

ビルなどを想像すると分かりやすいけど、真正面から描くとどんなかっこいい建物もただの豆腐になってしまう。神社の鳥居も、真正面から描くとただの平面の地図記号になってしまう。

これを防ぐには横から見たり下から見上げたりと、斜めから見る。

角度をつけて構図を取ることで立体感が出て、それだけで何割増しかで絵に格好がついたりする。

写生大会でもみんな神社の真正面から描きがちなのではないかと思う。自分の子ども時代を思い出しても、クラスのリーダー的存在の子らに真正面のいい場所を取られてしまって、自分はいつもすごすごと斜め横から描いていた。

しかし、少し斜めから描くことで絵に奥行きが出て「おおっ、子どもの絵にしては深みがあるな」という構図になる。結局は得をしていたのかもしれない。

絵が上手いとか下手だとか以前に、最初の場所取りで絵の出来が決まってしまう、とも言える。

強調したい部分を細かく描く

あと、強調したい部分を重点的に描き込む、ということ。

たとえば木々に囲まれた神社を描くとすると、描きたいメインは神社で、まわりの木々はサブの背景になる。サブのはずの木々を細かく描いていってしまうと時間も足りなくなって完成させられないし(子どもたちが絵を描くのが遅くなってしまう原因はたいていこれ)、完成しても全体的にごちゃっとして何を描きたい絵なのか分かりにくい。

上でも書いたように、絵を描く上で重要なのは「私はこれを描きたかったんです!」っぽいことが伝わるかどうか

なのでまずはメインの神社だけ(さらに屋根瓦なり、しめ縄なり、ポイントを絞って)重点的に描き込む。すると見る人の視線がそこに集中する。そして勝手に「ふむふむ、この子は神社の屋根瓦を描きたかったんだな。この絵のテーマは神社の屋根瓦なんだな」と納得してくれる。

メインを重点的に描き込んだら、そのほかは時間などとの兼ね合いに応じてサラッと描くくらいにすると、絵が仕上がらなくて焦ってしまうということも起こりにくい。

【固有色】以外の色を使う

たとえば木の幹を茶色一色で塗っていたら、先生に「ほらほら、よく見てー? 木の幹は茶色一色じゃないよね? よく見るとさまざまな色が混じっていますよね?」とか言われたこと、ないだろうか。

「いや、一色に見えるけど……? 何? 茶色で塗ったらダメなの? 絵ってよく分からない!」みたいな感じで絵に苦手意識を持ってしまった人が友人にいる。

木なんて茶色一色に見えるし、たぶんその先生にもそんなに見分けられていない。

チューブから出したままの絵の具そのままベタ塗りしてしまうと、のっぺりしたペンキのような仕上がりになってしまう。これだと絵が拙く見えやすいので、先生は「さまざまな色が混じっていますよね?=下手に見えちゃうからのっぺりと単色で塗らないでね?」と圧をかけてくるのだ。

なので、他の色をちょいちょい混ぜながら塗る。

真面目な子どもほど絵の具をムラなくしっかり完全に混ぜてしまうのだけど、それだと結局ペンキみたいなベタ塗りの仕上がりになってしまうので、しっかり混ぜすぎず、サーティワンで言うならチョコレートではなくアメリカンバナナスプリットくらいの混ざり具合にする。

近い色を少しずつ混ぜる・ぼかす・にじませる

「他の色って言っても何色を混ぜたらいいのか分からないよ。木の幹は茶色だし、他の色なんてないじゃん」という場合は、たとえば木の幹が茶色に見えるのならば、こげ茶色、黄色、だいだい色など、まずは似た色、近い色を混ぜてみる。それも分からない場合、隣にあるチューブの色を混ぜてみる。

これならあまり抵抗なく、自然なムラを作れると思う。

まわりの環境の色を混ぜてみる

もっと複雑な色味を出したい場合、固有色以外の、まわりの色を取り入れるというテクニックもある。

木の幹の茶色に空の青を混ぜたり、葉っぱの緑を混ぜたり、神社の屋根瓦の赤を混ぜたり。

何でまわりの色を混ぜるのかというと、色というのは光の反射で見えるモノであり、お互いに影響され合うから。実際に本当にそう見えるのかどうかは個人の感覚によるとして、そういう手法があるということです。

絵が上手い人はみんなやっていることだった

図工の時間に先生に言われたことばかりだけど、大人でも絵が上手い人はごく自然に無意識でやっている。

  • 上手く見えやすい構図を取る(見せたいところにズーム、斜めから描くなど)
  • 見せたいところを重点的に描き込んで、視線を誘導させる
  • 固有色以外の色を使い、深みを持たせる

子ども向けに言うならば、

  • はみ出すくらい大きく描こう(できれば斜めから見て描いてみよう)
  • よく見てほしい部分は細かく描き込もう
  • 色を混ぜよう

みたいな感じにまとめられる。

こうして見ると、目を惹く絵を描くコツというのは子どもも大人も基本は変わらない。ただ大人になると「正確に形が取れているか」「色使いのバランスに気を配れているか」「流行りのエッセンスがあるかどうか」みたいに複雑な要件が加わってくるので「上手い絵」「ウケる絵」のハードルは上がっていく。

写生大会ごときで絵に対する苦手意識を持たなくていい

「賞を獲るためにこんなふうに描きましょう」と言いたいわけではなく、小学生の写生大会の賞なんてその程度のものですよ、という話です。

「私は絵が苦手だから……」と自分で思い込んでしまっている人って、小学校のときに勝手に自分で決めつけてしまっているだけではないかと思う。なぜなら、絵の上手い下手の基準なんてハッキリしたものは無いから。写生大会などで賞をもらったりしない限り「私は絵が得意だぞ!」という意識も生まれにくいだろうし。

賞をもらえなくても苦手意識を持たなくていいし、もしも「じゃあ賞をとりたい!」と思えば上に挙げたようなことを試してみてもいいと思う。

これは自分がそうなのだけど、小学生の頃に写生大会で賞をもらったことで「絵を認めてもらった! 自分は絵を描くのが得意なのかも? 嬉しいなあ、絵を描くの好きだなあ」という成功体験になった。途中で苦しいこともあったけど、大人になるまでずっと楽しく絵を描き続けることができた。

そういう(自称)得意なものがあることで何かのピンチにお守りになったりするから、子どものときになるべくたくさんお守りを見つけておくといいかもな、と思うのです。

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