「私の絵って上手い?下手?」気になってしまう理由と楽になる考え方

私の絵って上手いのかな?下手なのかな?

と気になってしまう人向け【上手いか下手かが気になってしまう理由と、楽になる考え方について。①自分は平均以上だと思いたい心理に気づく②正当に評価されたいならネットではなく添削サービスを利用する③自信を持ちたいならはっきりと点数が出るものに打ち込んでみる】という記事。

Yahoo!知恵袋なんかで「中2でこの絵って上手いですか?」みたいな質問をよく見かける。

推測だけどたぶん「自分の絵って上手いのかな? きっと上手いよね? 下手……ではないと思うんだけど……あわよくば上手いって言われたい!」という、ほほえましいというか痛々しいというか、そういうお年頃なのかな、と思う。自分の中学生の頃もそんな感じだった気がする。

心理学的にも若い頃って「自分には他の人にはない能力がある……」みたいな錯覚を起こしやすいのだそうで。(これが行き過ぎるといわゆる厨二病というものになる。)数年経ったら確実に黒歴史。

ただの思春期の黒歴史で済めばいいけど、それが30代40代になっても続いてしまったりすることもあり、もうそれは「ほほえましい」ではすまなくなってくる。何にでも上手い下手の基準を設けて自分は上か下かを決めたがることや「あわよくば上手いって言われたい」みたいな考え方は、生涯自分を苦しめることになりかねない。

自分も正直そうなりかけていて、しんどすぎたのでいろいろ考え方を変えてみた。

  • 「自分は平均以上だと思いたい心理」に気づく
  • 正当に評価されたいならSNSではなく添削サービスを利用する
  • 自信を持ちたいならはっきりと点数が出るものに打ち込んでみる

こんな感じです。

「自分は平均以上だと思いたい心理」に気づく

たとえば私は自分の容姿にまったく自信がないから、ネットに自撮りを載せて「これって可愛いですか? ブサイクですか?」「これってデブですか? 普通ですか?」とか聞こうと思わない。他人に聞くっていう発想がそもそも浮かばない。自分で分かりきっていることだから。

同じく「自分の絵は明らかに下手だな。絵を描くのは苦手だ。あー絵なんか一生描きたくない」という人は、そもそもYahoo!知恵袋なんかで「私の絵って上手いですか? 下手ですか?」なんて聞こうと思わないだろう。自分で分かりきっていることだから。

つまり「自分では上手いと思うんだけど、他人から見るとどうなんだろう? あわよくば上手いって言われたい」みたいな心理なのではないか。自分のことを省みるに。

※自分のことを思い出してみるとこんな感じだった、ということなので、そうじゃない人もいるかもしれないので違うと思ったらスルーしてください。

【平均以上効果】というものがある

さて、社会心理学の分野には【平均以上効果】というものがある。

「ほとんどの人は自分を平均以上だと思いがち」という現象で、経済学者が調査をしたところ「8割近くの人が自分のことを平均以上だと評価し、あまつさえ自分は上位20%に入っていると答えた人もいた」のだそうだ。

健全な人には皆こういった【優越の錯覚】があり、逆にこの錯覚がないと精神的に不健全だそうで、人間は皆「自分は普通よりすごい」と錯覚しながら気持ちよく生きていて、それでいいってことになる。

つまりほとんどの人は「私は普通より絵が上手い」とか「私は普通よりかわいい」とか「私は普通より運がいい」とか「私は普通より運転が上手い」とか、ささやかな錯覚をすることで、精神を健全に保ちながら生きている。もちろん筆者もそう。

絵なら上手い下手の基準があいまいだから、気持ちよく錯覚していられる

で、点数や勝ち負けがはっきりしている分野だと気持ちよく錯覚できない。学力テストやゴルフのスコアとかだとはっきり数字で出ちゃうから、明らかに優劣が目に見えてしまう。

だから主に優劣の基準があいまいな、芸術やら気質やらスピリチュアルやら、そういう方面でこの錯覚は起こりやすいんだと思う。

「私は普通より絵が上手い」「私は普通より絵のセンスがある」とか。他にも「私は普通よりかわいい」とか「私は普通より運がいいラッキー体質」みたいなのも、基準がないから気持ちよく錯覚していられる。

人はそういうものなので、一人で気持ちよく錯覚している分には全然それでもいいんだということです。「私は普通より絵が上手いしセンスあるんだよな〜!」って気分良く過ごすのとかすごくいいことだと思う。誰も傷つけないし迷惑もかけないし。

根拠を探し始めてしまうと錯覚が解けて情緒不安定になる

でもしょせんは【錯覚】なので、根拠がない。

だから無意識でいつもどこか不安で、あわよくば「自分は普通より絵が上手い」ということを裏付けてくれる根拠を探しているんだと思う。「絵が上手い人の特徴」みたいな記事を読んで自分に当てはまるところを探したりして。

そのうち「この世代生まれは絵が上手い」とか「丸が上手く描ける人は絵が上手い」とか、わけのわからない根拠をでっち上げてみたりして、不確かな錯覚をちょっとでも補強しようとして、あがいたりして。

さらに、今ってSNSがあるので「あれ? 自分では上手いと思っているのに、なぜかいいねが少ないな……?」みたいな、【優越の錯覚】を揺るがす事実も可視化されやすい。

SNSの評価ってやつは魔法の鏡のようなもので、知らなくていい残酷な事実を突きつけてくる。

魔法の鏡に何度も何度も確認する魔女のように「おかしいな、私は普通より絵が上手いよね?? ね? ちょっと! 誰か私の絵は上手いって言って!」と証拠を探してYahoo!知恵袋とかで聞いたり、いいねを増やそうと躍起になってあれこれやっても増えなかったりして【優越の錯覚】がどんどん解かれてしまい、「ショック……私に価値なんかないんだ……」みたいに病む。

病むだけではなく、自分より評価を得ている人に対して「こいつ私より下手なくせにいいねが多い!」「フォロワーに媚びていいね稼ぎをしているに違いない!」みたいに嫉妬したり攻撃的になったり、それこそ白雪姫を亡き者にしようとする魔女のようになってしまう。これは自分もつらいしまわりもつらい。

だったら一人で気持ちよく錯覚したままでいたほうが幸せだったのに……となるので、そこは「お、私って絵上手くね? でもこれって【優越の錯覚】ってやつで自分のこと盛って評価しちゃってるのかもね。楽しく描けるしまあいいや! 気持ちよく誤解したままでいよっと」くらいでとどめておくのがいいのかも。

魔法の鏡(SNS)は必要以上に覗き込まないでおく。

正当に評価されたいなら添削サービスを利用する

「いやいやそうじゃなくて、私は絵が上手くなりたいから自分の絵の良いところと悪いところをきちんと評価してほしいだけなんだよ」という人もいるだろう。(たぶんそういう人は「上手いですか? 下手ですか?」みたいな聞き方はしないだろうけど)

そういうことならネットで見ず知らずの素人に聞くとかいいねの数で判断するとかではなくて、添削サービスを利用するときちんとした回答が得られる。近頃では価格帯もいろいろ、無理せず添削が受けられます。

ココナラの「イラストや漫画の添削・アドバイス 」カテゴリ内で探せば「あなたの絵を褒めます!」というようなサービスもたくさんあるので、【優越の錯覚】を解かずに他人から気持ちいいことを言われたいという人にとっても使える。

「気持ちいいことを言われたい」なんてこんなふうに表現してしまうとみもふたもない感じになるけど、人の心理ってそういうものだしそれでいいじゃないか、と自分は思う。だって、楽しむための趣味なのだから……。(美術科・美大進学を考えている人やプロ・就職を目指す人は専門の指導者について学んでいると思うので、このブログでは触れていません)

自信を持ちたい・取り柄がほしいなら数字で結果が出るものを

「何か得意なものをがんばって自信を持ちたい、人より優れている取り柄がほしい」というならば、絵のように数字で測れないものより数字ではっきり結果が出るものに取り組んでみるほうが手っ取り早いし精神的にも良いかもしれない。

自分は美大受験を経験することで答えのないものに振り回されることがすっかりイヤになってしまい、学生時代は資格試験やスポーツに打ち込んだ。はっきりスコアが出てがんばったらがんばった分点数が伸びて、すごく救われて報われた気持ちになった。

「私は絵が得意だし! 生きてる価値あるし!!」とか無理に思わなくても、自分にほどほどの自信を持って穏やかに学生時代を過ごすことができた。

めんどうな【承認欲求】というのがあるけど、それは絵を描くこと以外をきちんと積み上げていく事でこじらせずにすむ、ということも実感した。

上手い下手にとらわれると幸福度が低い

自分は偏差値で全てを判断される時代に学生をやっていたので、「競争が激しい世代だから優劣を気にしすぎる。これが生きにくくなる原因だ」なんて大人たちに言われてきた。

今になってみると世代は関係ないんじゃないかと思う。むしろSNSがあって筒抜けな分、今の方が優劣を気にしまくって生きづらい時代な気がする。しかもそれのほとんどは【優越の錯覚】であって、みんなモヤモヤしたあいまいな基準の中で自分の幻想を守るために必死で戦っているっていう……。そりゃTwitterにも疲れるだろう。

ありきたりな話になるけど、

  • 自分が描きたいもの、描いていて楽しいものを描く
  • 全員にウケようとせず、フォロワーさんなど身近な人と分かち合うために描く

みたいな感じで小さな喜びを大切にしていくことが、SNSで自分を見失わないために絵描きができることなのかなと思っている。魔法の鏡を深追いせずに。

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