
「まだ完成してないけど、絵の途中経過や進捗状況をSNSにアップしたい……でも描きかけばっかりアップしてるとウザいかな?」
と迷っている人向け【イラストの途中経過をアップするメリットとデメリット、途中経過をアップするときウザくならない対策について】の記事。
海外ではよく使われる言葉として【WIP(Work In Progress)】というのがある。
「現在進行中」、つまり「まだ完成していないけど作業中ですよ」という、制作過程も含めて共有して楽しもう、な考え方だ。
昔の個人ホームページなんかでも、まだ作りかけのコンテンツに「ここはまだ工事中です」という表記をする人が多かった。
ネットが普及してから特にスピード感が段違いになってきて、全部完成してから公開しようと思うとやってられない時代になっている。
イラストを描くのでもSNSの流れが早すぎて追っ付かなくて、「途中経過でもアップしなきゃ乗り遅れちゃう、忘れられちゃう」と焦ってしまう人、多いんじゃないだろうか。
「でも描きかけばっかりアップするのって見る方からするとウザいかも……」という一抹の不安、あるよね……。
この記事では、
- 途中経過をアップするメリット、デメリット
- 途中経過でもウザくならない対策
について、個人的な経験や考えを書いていく。
絵の途中経過や進捗をアップするのってウザい?ウザくならない方法も
途中経過をアップするメリット
スピード感に置いてけぼりを食らわなくて済む
今はSNSのスピード感がえげつない。
特に筆の遅いタイプの人は焦っちゃうと思う。
※筆が遅いタイプにもいくつかパターンがあるかも、というのはこの記事に書いている。
「もうあの人昨日の感想絵アップしてる! わーすごいリプもらっていいねもついて盛り上がってるよ……私まだ全然描けてないのに……私が描き上がる頃にはもう盛り上がりは去っちゃってるかも……焦るー!」
ってならない? 私はなる!!
こんなんばっかじゃ焦ってばかりで疲れるし、「私がいくら一生懸命描いて完成させても意味ないじゃん……もう描く気なくした……」となってしまう。
そんなふうに心にダメージ食らうくらいなら、途中経過でいいからパッとアップしちまえ!
というのが私の持論です。
そもそもSNSのイラストにみんなそこまで完成度求めてる……?
ていねいに一ヶ月かけて描いた完成品より、ラクガキでも今すぐ盛り上がれるネタの方に飛びつく、それがSNSの性質だと思う。
特に感想絵とかネタ絵なら、新鮮なうちにとりあえず形にして盛り上がることの方がSNSでは求められている気がする。
自分の経験だけど、とあるイベントの感想絵をその日のうちにラフ状態でアップしたところフォロワーさんたちが盛り上がってくれたことがあった。
「でも描きかけだし、がんばってなるべく早く完成させよう」と翌日に完成イラストをアップしたところ、ほとんど見てもらえなくて「えー! 反応うっす!!! なにそれみんな1日で気がすんじゃったの!?」ってことがあった。
なんか自分がすべったみたいな気がしてさ、「昨日のラフで盛り上がって終わっときゃよかったわ」って思った。
SNSでは完成させることに必ずしもこだわらなくていいのかもな、特にそのときの盛り上がりが大事なイラストは、質よりリアルタイム性をとっていいんじゃないかな、と思った出来事だった。
他人の途中経過は参考になることも
これは絵描きにとってだけど、他人の作業過程って参考になることもある。
これはけっこう大昔だけど、2人以上のキャラを描く場合に下書きのレイヤーを分けて、さらにキャラ別に色も分けているのを見かけて「なるほどー!」と思ってそれからマネをしている。
他にもアタリの取り方も人それぞれ違うので、作業過程を見せてもらうことでより自分に合った方法が見つかることもある。
ライフログとして途中経過を残す人も
今日はここまで作業が進んだ、みたいにライフログとして途中経過を残す人もいるみたい。
SNSの使い方なんて自由だしね。
自分の絵の過程を残すことで進捗状況も分かるし、自分の描くペースもつかみやすいかも。
自作発言を防ぐことができる・自分が描いたという証拠になる
あとはもし転載や自作発言をされたときに「これは確かに自分が描いた絵です」という証拠にもなる。
自作発言してる人に突きつけても多分言葉は通じない(日本語が通じないという意味ではない)ので、犯人そのものに対してというより周囲に対しての証拠になる。
証拠があればフォロワーさんたちはもちろん、見ず知らずの人たちも協力して通報してくれたりもするので。
これが途中経過を載せる最大のメリットといえばメリットかもしれない。
途中経過をアップするデメリット
途中経過でも自分がアップしたいならすりゃあいいと思うんだけど、デメリットというかそういうものもある。
「飽きたの?」「完成させる気あんの?」とネガティブな印象を持たれることも
よく言われることが「途中経過ばっかり載せる人なんなの? 人様に見てもらうんだからちゃんと完成させろよ」みたいな意見。
まあ一見ごもっともなんですけど。
こういうこと言う人ってたいがい自分では絵を描かない人や、絵を描いてても「絵はきちんと完成したものをアップするべき! 私はどんなに時間がかかっても途中経過なんてみっともないもの人に見せませんことよ!」みたいな信念に勝手に縛られてる人だと思う。
上で書いたように、"ラフでもいいから今このときリアルタイムでみんなと盛り上がる"というのもSNSの使い方だ。
「完成させなきゃアップしちゃダメ!」なんてルールはないし、誰かがどうこう言うことでもないでしょう。
「完成品ひとつもないじゃん!」ってことにはならないように
自分は以前イラストのお仕事を依頼するほうのお仕事をしていたこともあるんだけど、ポートフォリオとしてSNSのアカウントを提示してるのはいいけど、メディア欄さかのぼってもさかのぼっても途中経過、って人がいた。
半年分くらいずっと途中経過だった。
途中経過といってもほぼ完成品でカラバリ変えてあるとかなら参考になるけど、ガシャガシャした線のラフじゃポートフォリオにならない。
ポートフォリオに二つ三つラフが混じってるくらいなら私的には全然アリ(むしろ仕事関係なく個人的にうれしい、好き)だけど、全部ラフってあーた……となったことがありました。
途中経過をアップしてもウザくならない対策
自分のアカウントだし好きにしようぜ! というのが私の持論ではあるけど、気にしちゃう系の絵描きさんは「そうは言ってもフォロワーさんにウザがられないか心配なんだよな……」と思ってしまうかもしれない。
確かに毎日毎日アップしたと思ったら同じ絵の途中経過、とかだと見てる方も「またか」となるかもしれない。
新しく興味を持ってくれた誰かがせっかくメディア欄をさかのぼって見てくれたのに「半年ぶん全部途中経過〜〜!? 完成品は無いのかな、しょんぼり……」となるかもしれない。
それを防ぐには、途中経過をアップするときにちょっと気を付けてみるのもいいかも。
【ポイピク】などの別サービスにアップする
Twitterのメディア欄を圧迫しないように、途中経過は【ポイピク】などの別サービスにアップするという人も増えている。
【ポイピク】はまさにそのためのサービスで、「作業進捗」「供養」「描きかけ」などのタグがあって使い分けることができる。

途中経過のアップに自分なりのルールを決めて、ほどほどにとどめる
作業している本人は「自分ではけっこうがんばった! 作業が進んだ!」と思っても、他人から見ると同じ描きかけにすぎない。
自分のかわいい子どもは毎日毎時毎分ごとに成長していくように思えても、他人からすれば昨日と今日の子どもの写真を並べられても違いは分からない。
なので途中経過にしても、ラフ、線画、下塗り、仕上げなど、ある程度の段階を決めてアップするようにするといいかもしれない。
お食い初めの生後100日、七五三の3歳、幼稚園入園の4歳、小学校入学の6歳、みたいな。
きちんと進捗が感じられれば、他人が見ても興味が湧くし楽しいと思うので。
さかのぼってもさかのぼっても途中経過じゃん! だとちょっと困るけど、進捗が分かる途中経過なら、メディア欄に残っていても全然いいんじゃないかなと私は思うんですけど、どうでしょう。
自分を適当に許しながら途中経過も上げていけばいい
「みんな描くの早い……盛り上がりに遅れを取りたくない! 途中経過でもアップしちゃいたい! でも完成してないくせに卑しいと思われるかな……」
「途中経過をメイキングとしてアップしたい! でも私の作業進捗なんてみんな興味ないよね……」
とか、どう思われるか気にしちゃう人って多い気がする。
「自分のアカウントなんだから好きにすりゃいいんだよね」というのは分かっていても気になっちゃうもんは気になっちゃう。
そういうのもSNS疲れの原因になりやすいのかもしれない。嫌われないために自分の気持ちを抑え込んで無理をしてしまうので。
あと「途中経過ばっかり上げて私ってみっともない、ダメだな……最近全然完成させられてないや」みたいに自分で自分を責めたりとか。
- 人目が気になっちゃうなら【ポイピク】みたいな別サービスを使ってみる。
- 自分を責めちゃうなら、途中経過は自分の考える最小限(例えば「線画ができるまではアップしないぞ」とか、「下塗りの段階まで行ったらいったんアップしよう」とか決めておく)に抑えてみる。
そんな感じで気持ちのバランスをとっていくのがいいんじゃないだろうか。
「途中経過をアップしたいけどウザがられないかな」っていうのって、他人が実際どうこう言ってくるというより、自分で自分が許せなくて苦しんでいるパターンが多いと思うので、自分で「これくらいならOK」というルールを決めると楽になるんじゃないかと思います。
趣味で描いてるんだもの、適当に自分を許しながら楽しくやっていきたいじゃない。
もちろん「絵を全然完成させられてない、全部ラフで没」とかだと絵も上達しにくいので、一つの絵をじっくり完成させることは、それはそれでやっていきたいことではある。
絵の上達のために自分なりにがんばることと、イラストを通してSNSで交流を楽しむのはまた別の話だと思うので、分けて考えてみるとスッキリしそうです。
※このブログを書いている高橋がTwitterを始めました。 → @tkhs_bsdz
Twitterでブログ更新のお知らせをしていくので、気軽にフォロー&声をかけてもらえればと思います。