絵を描くスピードが遅くて時間がかかる…早く描くコツってあるのか。

絵を描くスピードが遅くてなかなか描き上がらない。時間ばっかりかかってしまい、しんどい。

絵を描くのが遅いからSNSに乗り遅れちゃう、焦ってしまってつらい……

と悩んでいる人向け【描くスピードを上げるためには①細部にとらわれない②描き慣れる③美術解剖学④途中でもアップしちゃいなよ!】という記事。

「絵を描くのが遅くて焦る」というのはすごくよく聞く悩みで、自分ももちろん経験がある。ただ「遅くて焦る……早い人はいいなあ」で思考停止してしまうと解決しないので、ちょっとだけしつこく掘り下げて考えてみた。

「SNSの流れに乗り遅れるから焦る」ならば途中で投稿しちゃう

「絵を描くのが遅い」という悩みって、絵のスピードそのものよりも、要するに「みんなポンポン新作出してるのに自分は描けてない。SNSで流れに乗り遅れるから焦ってしまう」みたいなことなのではないかと思う。

自分の場合を思い返してみても、絵を描くスピードが遅かろうが別に他に実害はなく、悩みのコアはスピードが遅いことではなく「SNSの盛り上がりの波についていけなくて焦ること」だったと言える。

もしそういう理由なのであれば、完璧に仕上げてからじゃなくても、途中でもアップしちゃっていいんじゃないかなと思います。

描くのが遅い→いつも乗り遅れる→無気力→「Twitter向いてない……」

「まわりはバンバン描いて投稿しているのに私はまだ描けない、乗り遅れちゃう……」

「あーみんなもう昨日のレポ絵を投稿して盛り上がってるよ、私が描き上がる頃もう終わっちゃってるかも、焦る」

「上手い人がどんどん描いて投稿しちゃってる。先に描かれちゃったら私なんかが描く意味なくなっちゃうよ……」

という焦りは自分も経験がある。特に放送や連載が現在進行形で進んでいるコンテンツだったり、公式に動きがあったりしたときなど。

毎回こんな感じに上手い人や早い人に先を越されまくっているとだんだん無気力になってくる。「Twitter向いてない、もうイヤだ……私が絵を描く意味とは……? やめたい……」になってしまう。

そんなことになるくらいなら途中でもラフでも投稿して「自分の今のパッション」を共有する使い方をしてもいいのではと思う。

そもそもSNSでのイラストって完成度の高さより即時性で、「今このとき盛り上がること」が求められるのではないか。

いつでも人前に出せるような・どこで完成でもいいような描き方をしていく

「でも途中経過なんて投稿できないよ無理無理、だって全然途中だし!」という人もいるだろう。

途中経過でも臆面なく投稿していくためのちょっとしたポイントとしては、いつでも人前に出せるように、どこで完成でもいいような描き方をしていくと出しやすいんじゃないか。と、10年以上のSNS経験から自分は感じている。

まず下書きをすると思うんだけど、この段階ではまださすがに途中経過としても投稿できない。(別にしてもいいけど)

でも人物だけでも線画を仕上げてしまえば何を描きたいのかは伝わる。なんならこれでベタくらいは塗って完成。私はこれを【6割完成(なるべく早くSNSに投稿したいときは6割描けば完成でいい、の意)】と言っている。

でもまだ時間にも余裕あるしと思えば色を塗る。プラスアルファの作業だから気楽にできる。

なんならまだ余裕あるなと思えば小物や背景を描き足す。

こんな感じで、「いつ出してもOK、いつ完成でもOK」な感じで描いていけば完成を焦らなくてすむ。SNSにも自分のよきタイミングで投稿できる。

これを「まず一箇所を最後までしっかり完成させる」みたいに描いていくと、いかにも途中経過って感じになってしまう。

これだとSNSにアップしにくい→どんどん先を越される→焦る→「もうやだ〜><」になる。

高校時代に油絵を描いていたときもやはり遅い子がいて「全然間に合わないよ〜!」とやっていたけど、指導教諭から「まずは全部に絵の具を付けろ」と言われていた。

キャンバスの素地が見えていなければとりあえずそこに「描いた」ことにはなる。

だって、絵なんて自分の裁量でどこで完成させてもいいのだから、そこに絵の具がついていさえすれば未完成ではない。

もちろん、とりあえず6割で投稿したあと10割まで完成させたら「前のやつ色塗った〜」とかってそれも投稿したらいいし、自分の絵とSNSなのだから使いたいように使えばいいと思う。

絵を描くスピードを上げたい

細部にとらわれすぎないである程度は割り切る

自分のまわりにも、ものすごくていねいに絵を描く人が何人かいる。ていねいにというか局地的にこだわってしまって全体の完成を見ていない。

たとえば菊の柄の着物を描くとして、菊の花びらを一枚一枚じっくり描くような描き方では当然仕上がりは遅くなる。菊の花びらこそが大事でそこがこの絵のキモだというならじっくり描くことに意義があるけど、そうでないなら単に「全体が見えていない」ということになると思う。

全体が見えていないと、菊の花びらをじっくりじっくり描いてやっと仕上げたところで「なんかここだけ細かくてアンバランスでおかしいね……」みたいになってボツになったりする。だったら最初から省略してもいいし、色をつけるときにそれっぽくしたっていいし、最初から全体を見ておけば他にもっとやりようあったよね、になる。

これも「まずはキャンバス全部に絵の具をつける」の方針で考えるといいのかもしれない。

たくさん描いて描き慣れる

小学生のときにクラスに絵を描くのがとても遅い子がいて、どうやって描いているのかじっくり見ていたことがある。

桜の木を描いていたんだけど、その子は一つの花びらをじーっと見て先端の尖りを描く、尖りが気に入らなくて描き直す、今度は花びらのカーブをじーっと見てカーブを描く、描き直す……という感じで、ごく近視眼的な描き方をしていた。

基本的なモノの形が頭に入っていないと、ちょっと見てはちょっと描いて、ちょっと見てはちょっと描いて、になってしまう。要するに、描き慣れていないとどうしてもスピードは遅くなる。

これは長年描いて、描き慣れて、美術解剖学をかじるなりして、モノの形を知っていくしかないんだと思う。

美術解剖学で設計図を頭に入れる

その美術解剖学ですが、たとえば人体を描くにしても骨格や筋肉の付き方など人体の設計図を把握しておくとすばやく形が取れる。

設計図なしでなんとなく描くのでは、「あれ? なんか耳の位置が変かも。後ろすぎるのかな? それとも大きすぎる? ん? ん? なんか後頭部のボリュームおかしい?」と位置をずらしまくったりサイズを変更しまくっていると形を取るのに時間がかかってしまう。右往左往に時間を取られてしまう。

人体のバランスをざっくりと把握しておくことで、ある程度を初見の観察ではなく既存の理屈で補うことができる。

全身の骨格や筋肉を一通り知ってみたことで、自分の場合は描くスピードがかなり上がった気がする。

※自分が使ったのはルーミスの『やさしい人物画』。模写して使いました。

設計図を知っておくと形をとらえやすく、再現しやすく、作画崩壊も起こりにくい。

自分の感覚では、美術解剖学は【九九】みたいな感じ。

なんか分かんないけどたまにやたら時間がかかるときがある

あとたまにあるのが「なんか分かんないけど、いつもじゃないんだけど描くのにやたら時間かかっちゃうときがある」というケース。

長年絵を描いている人や、上手い人でもたまにあると思うのだけど、ああでもないこうでもないと消したり描いたり、何度描いても上手くきまらなくて、「なんとか描けたかな」と思っても後から見ると全然ダメだったり。

これは脳が疲れているサインで、いわゆる右脳が使えてなくて左脳で描いちゃってる状態、だと自分は考えている。左脳優先になると、線にばかりこだわって空間が上手くとらえられなくなる。

※右脳左脳というのはまだ解明されていない分野なので、あくまでも便宜上こう書いています。

こういうとき自分は「資料を反転させて見たまま描いてみる」というのをやっている。

左右反転だけでなく、上下反転させるともっと感覚が変わる。

これ実際にやってみると分かると思いますが頭が「イーーーッッ!」となります。純粋に線と形だけを見られるので「犬の尻尾とはこういう形であるはず」「目の位置と鼻の位置はこうであるはず」みたいな頭の中の思い込みが解除されて、ヒートアップしていた左脳を黙らせることができる。

「右脳で描く」ということについては一時期よく言われていたけど、自分は『脳の右側で描け』を読んだことがかなり参考になった。

脳の疲れ(つまり、飽きること)は同じような絵を繰り返し描いていたりしても起こるので、ちょいちょい描くものを変えていくといいのかも。

右脳と左脳を使い分けて絵を描くということについて自分なりに説明してみたので、興味があればこちらも。

なぜ「絵を描くスピードが遅い」ことで悩んでいるのか

「絵を描くスピードが遅くて悩んでいる」という場合、なぜ悩んでいるのかを考えてみることって大切だと思う。

同じ「絵を描くスピードが遅くて悩んでいる」というのでも、

  1. ていねいに描いてもムダになってしまって最終的にボツになる
  2. 形をとらえるのにモタモタしてしまってストレスを感じてしまう
  3. SNSに投稿できなくて乗り遅れそうで焦ってしまう

などいろいろパターンがあって、自分の場合は主に3なので【6割完成(なるべく早くSNSに投稿したいときは6割描けば完成でいい、の意)】の考え方をしてみたり途中経過でも投稿するようにしてみた。という記事です。

以前は2の悩みもあったけど、美術解剖学をちょっとずつ勉強してみることでこれも解消しつつあります。

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