

「イラストの練習は毎日少しずつでもやるべき、ってよく言われるけどどうして?」

「とにかく毎日描け! なんて根性論みたいなこと言われてもやる気しないよ……」
という人向け【イラストの練習を毎日少しずつやるとなぜいいのか、その理由】について考えてみた記事。
「絵の練習は毎日少しずつでもやりましょう」という論、よく聞くんじゃないかと思う。
絵に限らず、なんでも「毎日コツコツやりなさい」って子どもの頃から学校でも言われてきたから「どうして? 根拠は? 毎日なんて面倒だしできないよ。まとめてやれば一緒じゃない?」って少し反発みたいな気持ちを私はいだいてきた。
けど大人になってやっと今「たしかに、毎日少しずつ練習する方が効率的だな」と実感することが多くなってきた。やっと今。今さらだけど。
この記事では、【絵の練習は毎日少しずつやるといい理由】について、子どもの頃の自分に伝えるつもりで書いている。
今の自分の、モチベーションが下がったとき用の備忘録としても。
「イラストは毎日少しずつ練習するのがいい」その理由を考えてみた。
その前にまず、「毎日描かなきゃ画力が落ちてしまうから、毎日描くべし」というのは個人的には違うと考えている。
なので「ちょっとでも休むとやばい、毎日描かなきゃ!」「昨日休んじゃった、最悪だ、振り出しに戻ってしまった」とかと思い詰めなくてもいい。
この記事は「毎日じゃなくていいけど、なるべく毎日やると結局のところ効率がいいよね、なぜかと言うと……」という、その程度の話です。
休むとそのまま描かなくなってしまうので
これがいちばんよくあるパターンだと思うのだけど、休むとそのままマッタリしちゃって気づいたらだいぶ日数が経ってた、というの。
その間は絵の練習がお休みになってしまうことになる。
自分の場合下手すると数ヶ月とかマッタリしてしまったことも、何度もある。
いくら絵を描くのが好きで楽しいとは言え、人間ってやっぱり楽な方に流れるので。
いったんとぎれると"やらなくていいならやらない"になりがち。
練習を長く休めば休むほど、当然上達スピードもゆっくりになってしまう。(※そこで焦らない人ならのんびり休み休みでも全然いいと思う)
達成感を強く感じると、再度腰を上げるのが面倒になる
自分の場合は特に大作を描き上げたとか、受注していた仕事を納品したとか、達成感を感じたあとにぼーっと休んでしまうことが多かった。
久々に絵を描いたら思うように手が動かない、頭と指先がつながらない……。
勘を取り戻すには少し時間がかかるし、その間に「あれっヤバい、画力落ちたのかな……!?」「このまま描けなくなったらどうしよう」とムダに焦ったり不安になったりしてしまう。
なるべくならこのムダな焦りや不安は感じたくないところ。
勘を取り戻すため私がやっていること
これをなるべく防ぐために、大作なり仕事の納期なりが大詰めを迎えた時点でヌルッと別のイラスト作業に取りかかるようにしている。
そうすると達成感に浸りすぎず、シームレスに次へやる気を移していける。
でも休んじゃうことはあるので、そんなときのリカバリー方法としてはこんなことをやっている。
休んだら休んだでリカバリーの手段がいくつかあればちょっと気が楽。
まずは10000時間を目指したいので
なんでもモノにするにはまず10000時間やること、ということが言われている。
細かいことは置いておいて、量を積み重ねるのが大切なのはそれはその通りだと思う。
絵を描いている人はみんなとっくに身にしみて知っていることだと思うけど、少ない労力で要領よくっていう方法はない。まず量をこなさないと質の上げ方もわからない。
となるとじゃあ、まずはなるべく多く時間を積み上げたい、ということになる。
とにかく時間を積み上げていくには、毎日少しずつやるのが続けやすい。
まとめてやるより毎日少しずつの方が無理がない
当たり前なんだけど、毎日1時間でもできれば10日で10時間、一ヶ月で30時間。
それをたとえば毎週日曜日にまとめてやろうと思うと、一回あたり7時間ちょいやらなければならない。
毎週お休みの日に7時間取れるかと言ったらたぶん取れないし、日曜のたびに「さあ、今日も7時間やらなきゃ」となるととてもしんどいと思う。自分はたぶんできない。
7時間ぶっ続けでがっつり練習できたとして、肩はこるし目は疲れるし、ダメージが残る。
さらに、もしその日曜日が自分の調子が悪い日だったら。「あー今日調子悪いな……でも練習できる日は今日しかないし無理してでもなんとか7時間はやらなきゃ」となって、だいぶ追い込まれてしまう。
あとはそれこそ「ガッツリ7時間やったぞ!」という達成感を感じすぎてそのあと一ヶ月くらい描かなくなってしまったり。
無理をすると必ず反動って起こってしまう。
こまぎれ時間をかき集める戦法で
毎日1時間と言っても、働きながら家事をしながら家族のことをしながらだと、毎日1時間しっかり時間を取って何にも邪魔されず集中して取り組むっていうのは難しいかもしれない。
なので、こまぎれ時間をかき集めて1時間にする戦法を採る。
ご飯が炊けるまでの10分、家族がお風呂から上がるのを待つ30分、あとはソシャゲのスタミナが回復するまでとか、今までスマホを見て何となく潰していたような時間を使ってみると、けっこう1時間ってかき集めてなんとかなる。
【習慣】にすることの強さがあるので
【習慣】にすると強いよ、みたいなこともよく聞く言葉だけど「具体的にはどういいの?」って感じだと思うのでそれについても。
毎日の調子の良し悪しが分かるようになる
ほぼ毎日ペンを握るようにしてみたところ、自分の調子の良し悪しのブレみたいなものに気づくことが多くなった。
自分は毎回絵を描く前にキャンバスのはしっこにクルクルっとマルを描いたりするんだけど、なぜかたまに上手く手が動かない日や肩に力が入ってる日やら、調子が悪いとそれが分かる。
「昨日はいい感じに力が抜けてたのに、今日は変に力が入ってるな、あー、長時間壁に寄りかかってゲームしてたからなあ……」
「今日は首から腕にかけてぎこちないな、ちょっと力んでしまっているのかも」
そうすれば力んだまま描き始めて「上手く描けない! どうしてだ! 下手になってる!?」と焦ることも少なくなるし、体をほぐすために少しストレッチをしたりしてから仕切り直すこともできる。
それでも調子が悪ければ「そんな日もあるよね。今日は調子悪いなりにやろう(もしくは休んじゃおう)」と調子に合わせて加減もできる。
無理がないし焦らないので、続けやすくなる。
やる気を次へつなげていく効果がある
やる気物質のドーパミンって、目標を達成したときに出るのだそう。
嬉しいのは、ほんのささやかなことでも達成すればドーパミンは出るということ。
ラジオ体操のハンコとかソシャゲのデイリークエストなんかもそのシステムで、"小さい目標をこまめに達成していくことで次へのやる気をつなげていく"という効果がある。
「毎日1時間だけでもやろう」と決めてそれを達成すると「よし! 今日もやってやったぜ!」という達成感とともにドーパミンが出て、とても気持ちいい。
そのドーパミンでやる気がアイドリング状態になり、次の日も続けることができる。
一週間とか一ヶ月とか間を置いてしまうとまたドーパミンを出すところからやらないといけないので、「やらなきゃいけないけどなかなかやる気が出ない」「やる気を出すやる気が欲しい」みたいに時間がかかってしまう。
(※医学的な知識はないので、ざっくりとした感じで書いています)
「とは言っても、毎日は描けないよ……」という場合
「なるほど、毎日描くと確かにいろいろ良いよね……でも、とは言っても毎日は描けないよ……」という人も多いと思う。
【ほぼ】毎日でいい。数日間でバランスを取る
絶対に、1日も休まずに、というわけではなく、【ほぼ】毎日でいいと思う。
献立でも、毎日栄養バランスばっちりにするのは難しいので「一週間スパンで見てバランスを取れればいいや」くらいの考え方をするでしょう。
「昨日はバタバタしてあんまりやれなかったから今日は長めにやろう、今日は調子もいいし時間もあるし」
「今日は仕事でぐったりしててしんどいな、昨日ちゃんとやったし今日は休もう」
みたいな感じで「一週間で見ればだいたい目標分くらいやれたかな」程度でいいんじゃないだろうか。
なにせ10000時間(仮)なので、長い目で見て、無理せず続けることが最大のポイントになる。
過去絵のリメイクをしてみる
絵って自分の場合はだけど、一から描き始める瞬間にいちばんMPを使う気がする。
なのでMPが足りないようなときは過去絵の線画をやり直したり、色を塗り直したりとリメイク作業に充てると取りかかりやすいかも。
もしくは下書きのまま置いてあったものを完成させてみる、線画までできているものを完成させてみるなど。
「絵の上達のためには必ず完成させるべし」というのもよく聞くけど、"やる気が出ないとき用"として下書きの状態でいくつか置いておき、何週間ごしで完成させるというのもいいかも知れない。
めんどくさくならないコツを駆使する
あとは、すぐに取りかかれるようにしておくことも大切かも。
毎日「さあ描くぞ、今日は何を描こう……あっペンの充電切れてた」みたいな感じだとめんどくさくなってしまう。
- 何を描くかは前もって決めておく
- キャンバスはテンプレートを作っておく
- 使う機器の充電は済ませておく
など、絵を描く前のごちゃごちゃを起こさないようにするのも続けるコツだと思う。
「毎日練習がんばるぞー!」と宣言しない
「毎日がんばるぞ!」とTwitterで宣言するのも良し悪しかも、という記事を書いた。
「がんばるぞ!」と言うとそこで達成感を早どりしてしまい"やってないのにやった気になってしまって続かない"ということがあるようだ。
「絵の練習、連続何日目!」とかTwitterで報告するのも、自分への励みにもなるかもしれないけど、逃げ場を失って焦りにつながるようではしんどくなってしまう。(真面目な人ほど)
"絵の練習=何か特別なことをがんばっている"という感覚ではなく、本当に毎日の習慣になってしまえばTwitterで報告する必要もなくなっていくと思う。
何も言わずにヌルッと始めて、なんとなく【ほぼ毎日やれたらいいな】の感覚で続けるのがいいんじゃないだろうか。