SNSだけで絵を描いているといいねに振り回されてしまう。もっと正当な評価を得たい
せっかく絵を描くなら実績を積みたいし、自信がほしい
という人向け【イラストのコンテストで正当な評価を得てみる。一般向けはもちろん、学生・中高生向けのコンテストも充実してきています】という記事。
せまいSNSの評価だけに縛られると「いいねを増やすため」に迷走しがちで疲れたり、自分が絵を描く目的を見失ってしまうことがある。
このままだとまずいなと思ったので、なるべく自分の世界を広げることを心がけるようになった。
世界を広げる……というと漠然とした言い方になってしまうけど、たとえばコンテストなどに出してみることで、別の評価基準で自分の絵に正当な評価をしてもらうということもできる。
「まだ中高生・学生なんだけど、応募できるの?」
「中学生・高校生なんだけど、応募できるの?」
「私は中高生だけど、何か応募できるコンテストはないかな?」という場合は、『公募ガイド』や『登竜門』などのコンテスト情報サイトの『学生向け』カテゴリで検索することもできる。
※応募したいコンテストがすでに決まっている場合は、募集要項で自分の条件が合致しているかをチェックする。
中学生向け、高校生向けなどにターゲットを絞ったコンテストもけっこうある。
毎年恒例で開催されるコンテストだけではなく単発のものも多いので、ちょいちょい覗いてみると発見があるかもしれない。
また、『デザ魂』という学生向けのコンテスト形式の創作支援サービスもある。
単に"作品を募って賞をあげる"というものではなくて、将来デザインやイラストの仕事をしたい学生たちの支援を目的としている。
- 入賞すると自分のポートフォリオに実績として掲載できる
- 作品が商品化されれば実務実績になる
- 公募スポンサーに採用されることも
このように、デザイン・イラスト方面への就職に有利になる要素が強い。
小中高、専門、大学と、学生なら年齢は問わず誰でも応募できる。(※詳しくは『デザ魂』のHPで)
「オリジナルが描けないんだけど……」
「コンテストってオリジナル作品でしょ? 私はファンアートしか描いたことないからコンテストに出すことは考えたことないな……」
もちろんオリジナル作品を募るコンテストもあるけど、既存のキャラのファンアートコンテストも増えてきている。
メジャーなところだとpixivの公式企画コンテスト。常に複数の企画が開催されている。
※たとえば2021.3.12〜2021.5.31の期間は『エヴァンゲリオン』バトルイラストコンテストが開催されている。
そのときそのときで話題の作品のコンテストを開催しているので、ときどきチェックしてみると「これ大好きな作品だ! 描きたい! 応募してみたい!」というチャンスもありそう。
コンテスト専用のタグをつけてpixivに投稿するだけで応募が完了する、というのが最大の良さだと思う。ふだんpixivを使っているような感覚で応募でき、しかも自分の作品としてpixivにも載せておけるし、タグ巡回もしてもらえる。
「初心者だから緊張しちゃう。気軽に応募したい」
「コンテストってめんどくさそう。応募にはいろいろ準備が必要なんでしょ?」
「コンテストって出品したことないし、緊張しちゃう……」
確かに、昔のコンテストってアナログで応募票を書いて、雨に濡れないよう作品を梱包して、宛名を書くときは《作品在中・折り曲げ厳禁》とか朱書きして……と、めんどくささと緊張感があり、自分はそれがとても苦になっていた。
でも今はオンラインでアップロードする形式のものがほとんど。
pixiv投稿で応募できるコンテスト
上にも挙げた『pixiv公式企画コンテスト』は、必須タグと推奨タグをつけてpixivに投稿することで応募が完了する。
コンテストのタグがついているので興味を持ったユーザーに巡回してもらえるし、もちろんpixiv内の自分の作品として閲覧してもらえる。
Twitter投稿で応募できるコンテスト
また、Twitterで気軽に参加できるコンテストも探すとたくさんある。(「イラストコンテスト」「イラコン」などで検索)
また、ゲーム制作やアニメ制作のクリエイター集団がイラストレーターを探していて、コンテスト応募をきっかけにご縁がつながることも当然ある。
あとは、『お絵かき講座パルミー』では不定期にさまざまなコンテストが開催されているんだけど、こちらの回はTwitterにハッシュタグをつけて投稿することで応募完了になるシステムだった。(現在は終了しています)
こういった応募形式ならいつもTwitterを使うのと同じ感覚で応募でき、フォロワーにも作品を見てもらえる。審査員はハッシュタグを辿ることで応募作品を巡回できるので、お互いに手間が少ない。
「憧れのイラストレーターに作品を見てもらいたい」
「憧れのイラストレーターに自分の作品を見てもらいたい。」
「特定の誰かに見てほしい」ということだと難しいけど、画材メーカーなどが主催する大きな規模のコンテストは有名なクリエイターが審査員をしていることも多い。
毎年開催されている『コピックアワード』という大きなコンテストがある。
2021年の審査員は漫画家の大暮維人氏、デザイナーの根津孝太氏、イラストレーターの原田ちあき氏など。ちなみに2020年も小畑健氏、せきやゆりえ氏などそうそうたる顔ぶれ。
「この人に自分の作品を見てもらいたい!」という気持ちで締切に向かってがむしゃらに創作活動をする経験って自分もたびたび覚えがあるけれど、結果うんぬんよりもまず自分の身になったんじゃないかと思っている。
「賞を取れば仕事につながるコンテストってないのかな?」
「将来はイラストを仕事にしたい。入賞が仕事の依頼につながると嬉しいんだけど……」
入賞してもそれは「名刺が一枚増えるだけ」くらいの感覚に近く、それが即仕事につながるかというと難しい。
コンテストの狙いもさまざまで「本当に上手いクリエイターを発掘したい」「将来のクリエイターを支援したい」というものもあれば「自社の宣伝を兼ねて作品を募りたい」「コンテストの開催で、自社サービスを使ってくれるクリエイターを集めたい」みたいなものもあるからだ。
仕事にしたいならコンテストよりもコンペティションがいいかも
その点「商品のために複数のデザインを募って、そこから優秀なものを採用したい」といういわゆるコンペティション形式であれば、入賞作品が商品化される。
ただそれも、一般向けに広く公募しているようなコンペは話題作り的な要素が強いと思うので、もし「ガチのコンペにたくさん挑戦してみたい」ということならクラウドソーシングのほうが目的にかなっている。
ランキングによって仕事の斡旋があるSNS
あとはメディバンが主催する『アートストリート』のように、ランキングによって仕事の斡旋があるケースも。
ビュー数、お気に入り数、フォロワー数などでランキングが決まり(このあたりはSNSっぽい感覚かも)、ゴールド、プラチナのクリエイターには企業からの仕事紹介があるようだ。
『アートストリート』にも独自のコンテストがあり、編集部にWEB持ち込みできるシステムもあるので、様々な使い方ができる。
※メディバンは『メディバンペイント』や『ジャンプPAINT』(ジャンプ公式マンガ制作ソフト・アプリ)をリリースしている会社です。
コンテスト・コンペ情報をチェックできるサイト
メジャーなコンテスト情報サイトをいくつか。
公募ガイドONLINE
登竜門
コンペナビ
pixiv公式企画コンテスト
ART Streetコンテスト
お絵かき講座パルミー
デザ魂(学生向け・コンテスト形式の支援サービス)
コンペディア
細かいコンテストについては載らないことも多いので、たとえばこんな感じで自分用のアンテナを独自に構築しておくことができる。
- コンテストに熱心なユーザーをフォローしてみる・リストをつくる
- 定期的に「イラストコンテスト」「イラコン」で検索する
コンテストは自分の視野と可能性を広げるきっかけになった
趣味で、自分の好きな絵を好きなように描くことが楽しめるならそれが何よりのこと。
でも「SNSで評価されない」「ジャンルの中で私は底辺だ……」みたいに狭い世界で苦しんでいるなら、もっと別の世界も見てみるといいかも、という話です。
自分は二次創作をしていたけどジャンルの中ではあまり人に見てもらえず、もんもんとすることが多かった。何のきっかけだったか忘れたけど、パッケージデザインのコンペティションに応募しようと思い立って初めて動物の絵を描いてみたらけっこう楽しかった。賞をもらえて商品パッケージに採用してもらった、という経験がある。
意外なところに自分の意外な「得意」があったり、意外な「需要」があったりするんだな、と。
ふだんは自分が描いているジャンルや界隈のイラストだけについ目が行ってしまい、そこだけで上手い下手を判断して苦しんでいたけど、世の中にはさまざまなイラストの世界がある。
「へえ、こんなコンテストがあるのか」「こんなモチーフ・テーマがあるのか」「こんな画材があるのか」など、知るだけでも世界が広がった。
「今までデジタルで描いてきたけど、絵本のコンテスト入賞作品を見ていたら水彩画に興味がわいた。水彩をやってみたい、水彩の技法をデジタルに取り入れてみたい」なんて融合も起こるかもしれない。
コンテストに応募してみることで、自分の場合は、嬉しくなったり、自信がついたり、視野と可能性を広げるきっかけになったりしました。