動きのある絵はアクションだけじゃない。その考え方と練習方法について

「動きのある絵が描けないな…どうやったら描けるようになるんだろう?」

「動きがある絵ってどういうこと? 私はアクション描きたいわけじゃないんだよな……」

という人向け、【動きのあるイラストってなんなのか、どんな練習方法があるのか】について考えてみた記事。

自分は長らく「動きがある絵」が描けないことがコンプレックスで、よく指導教諭に「また死んでる」と言われていた。

ポーズ集を買ってみたり、クロッキーをやったり、描いたことのないみょうちくりんなポーズを描いてみたりしたけど、やっぱり死んだままだった。

どうして自分の絵に動きがないのか、というのを考えてみたところ、

  • キャラがなにをしている途中なのかわからない
  • キャラがなにを考えているかわからない
  • 物語が見えてこない

ということなんじゃないかなと思ったので、それについて書いていく。

動きのあるイラストってどういうこと?

「動きのある絵」ってばくぜんとしていまいちつかみどころがない言葉だけど、英語にしてみるとちょっとわかりやすくなった。

acrobatic(曲芸的な)

athletic(運動競技の)

vivid(躍動的な)

lifelike(生きているような)

上の二つはいわゆるアクション的なもので、下の二つはまた別の要素になると思う。

スポーツシーンやアクションのイラスト

まずacrobatic(曲芸的な)やathletic(運動競技の)はスポーツや戦闘などのアクションに当たると思う。

スポーツアニメの作画監督を多くされている立中順平さんは、「クイックスケッチ」という手法を提案している。

これは動いているモデルを見て描く・動きの途中で止まってもらって描く・(スポーツの動画などを)一時停止して描く、というもの。

単にポーズが大きければ動きがあるかというとそうではなく、たとえ大きな動きをしていなくても、前の動作から次の動作に移るときに体重がどう移動するか、体がどう傾くか、ということが表現されている。

何をしている途中か分かるイラスト

vivid(躍動的な)とlifelike(生きているような)は、激しいアクションではなくても、

  • その人物が何をしている途中なのか分かる
  • その人物がどんな感情なのかが分かる

ポーズとしてはなんてことない瞬間でも、生々しく物語を伝えてくるのがvivid(躍動的な)とlifelike(生きているような)。

逆に、例えばクロッキーモデルみたいなのは単に「みょうちくりんなポーズをきめている人」であって、なにをしている途中なのかも、どういう気持ちなのかもわからない。

(ちなみにこれはクロッキーモデルの動画集です。服を着ているバージョン。)

前後が想像できるイラスト

動きというのはその一瞬だけじゃなく、もっと長い一連のシーンの場合もあると思う。

つまり、前後の文脈が想像できるようなイラスト。

例えば"ソファで寝転がって雑誌を読んでいる女の子"みたいなモチーフってありきたりだけど、

"その女の子が雑誌に夢中になっていて窓の外が暗くなっている"とかなら、目を近づけて読みながら、無意識で爪を噛んでいたり髪を触っていたりするかもしれない。

"その女の子が誰かを待っていて暇つぶしに雑誌を読んでいる"とかなら、ページをめくるのもおざなりで、片手にスマホを持っていじっているかもしれない。

"実はその女の子は遠い未来から来ていて、自分の時代に帰るために科学の本を読んでいる"という描写も、小道具でできるかもしれない。

これも広い意味で「動きのある絵」だと言えると思う。

言葉で詳しく説明できるイラスト

共通して言えるのは、"言葉で詳しく説明できるイラスト"ということ。

たぶんだけど、物語のある絵を描く人の頭には、描く前に細かく物語ができている。

「女の子と猫が並んで座っている絵」

とかではなく、

「戦禍に生きる孤独な女の子と唯一の相棒である猫。少女はやっと見つけたパンにかじりつきながらも周囲を警戒するきつい目をしている。猫は分け与えられたパンに口をつけず、少女を見守っている」

それくらい物語が固まっていれば、衣服や顔つきもはっきりと頭の中にできあがっている。

描き始めてから「服どうしよう?」「表情どうしよう?」みたいにもならないんだと思う。

動きのあるイラストの練習方法

acrobatic(曲芸的な)やathletic(運動競技の)なものを練習するのに、自分の場合の経験上だけど、ポーズ集みたいなのはあまり参考にならなかった。

止まっているモデルを見て描いても、「ポーズを決めているだけの絵」になってしまうから。

ポーズがついているから棒立ちは脱出できるけど、それが動きがある絵なのかというとまた別の話な気がする。

同じ理由でデッサン人形とか3Dモデルも、それらしいポーズには描けても動きがあるわけではない。

「動きの途中で止まった瞬間」を切り取って描くというのがポイントになると思う。

立中順平『たてなか流クイックスケッチ』

その点で、立中順平さんの「クイックスケッチ」は自分の望む方向の手法だと感じた。

実際の動いているモデルを見て描くというのはちょっと難しいけど、動画を一時停止して前後の動きを意識して描くという練習方法なら家でもできる。

クイックスケッチについてはこちらに詳しく書いた。

室井康雄『最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術』

もう一冊買ったのがこちら。

難しいことを言わず「こんな感じで描くとそれっぽいでしょ!」という感覚で教えてもらえるので、メンタル弱ってるときはちょっと泣きそうになる。

もちろん「最速でなんでも描けるようになる」かどうかと言われれば決してそうではないんだけど、「最速でなんでも描けるようになる!」というテンションの書籍であることには間違いない。

室井さんの書籍はどれも「上げて」取り組めるように書かれている。

アクションだけじゃない「動き」のある絵を描いていきたい

vivid(躍動的な)とlifelike(生きているような)のような要素は、「絵に対してどれだけ想像できるか、どれだけ熱量を持てるか」みたいな個人の資質や心がけみたいなものも絡んでくる。

だけどその分、自分にも伸ばせる余地がある部分なのかもしれないな、と思っている。

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