
「いいねのためじゃなく、自分が楽しむために絵を描くべき!」←「それは分かってるけど"自分が楽しむため"って具体的にどういうこと?どうやって見つければいいの?」
という人向け【何のために絵を描いているのか、具体的にハッキリさせるコツ】という記事。
よく「いいねが全然つかなくて、何のために絵を描いているのか分からなくなりました……」というお悩みに対して「あなたはいいねのために絵を描いているの? 違うでしょ? 自分が楽しむために描いてるんでしょ?」みたいなお答えをする人がいる。
ネット上だと「そうですよね! 自分が楽しむってことを忘れてました。これからは絵を描く楽しみを大切にします!」みたいに、いかにも納得しましたみたいなすがすがしい感じで一件落着しているけど、それほんとに納得してる? それで本当にスッキリしてんの? と私なんかは思ってしまう。
一瞬「そうか」と思ったとてどうせまたすぐ「でもいいねがつかないし楽しくないな……」「ていうか私が絵を描く理由ってなんなのか分からない」とか堂々巡りになるんじゃないだろうか。
なのでこの記事では、
- 自分が絵を描く理由を、ハッキリさせておいた方がいい理由
- 自分が絵を描く理由を、ハッキリさせる方法・コツ
について書いていく。
自分が何のために絵を描いているか、具体的にハッキリさせておこう。
絵を描く理由をハッキリさせておきたい理由
ビジネスでもなんでもそうだけど、ハッキリとした目的がないと無駄が増えて思うように進まなくなる。
「絵はビジネスじゃない、趣味だし」と思うかもしれないけど、今はみんな効率を求める。
このブログのアクセスを解析してみても、「絵 上達 1ヶ月」とか「絵 上手くなる練習方法」とかの"いかに効率よく上手くなるか"を求める検索ワードが多い。
みんな「どういう練習方法がいちばん手っ取り早いのか」「どれか一冊デッサン本を買うなら、どの本を買えば上手くなるのか」みたいな情報を集めているけど、それよりまず「自分は何のために絵を描くか→どんな絵を描きたいのか」ということの方が重要だと思う。
登る山も分からないのに準備はできない。
練習がぶれなくなる
「どんな絵を描きたいか」がハッキリすれば、そのための練習方法を探すことができる。
例えばメカを描くのが好きなのに、人間の筋肉を黙々と何ヶ月もデッサンしていたらきっと飽きてきてしまうし、「私なんでこんなことしてんだろ」となる。
例えばコミックスの二次創作をしたいのに、「私は初心者だし、やっぱり最初は画力をつけるべきだよね」とリアルなデッサンばかりしていてもつまらないしイヤになってしまう。
もちろんデッサンやクロッキーをしてみることは絶対にムダにはならないけど、自分がそもそも何を描きたくて練習しているのかを忘れてしまうとデッサンやクロッキーは一気につまらなくなる。
デッサンやクロッキーをするときも、常に「私はこれが描けるようになりたいんだ、そのために……」というのを意識しながらだとぶれなくなるし、やりがいもあるし、楽しい。
(そして同時に描きたい絵の模写やトレスもしていくのがおすすめです。全部ゴチャゴチャあれこれやる。デッサンつまらなくなってきたら模写やトレスを増やす、など。)
絵の練習なんて下手したら一生続く長丁場なのだから、ちょいちょいやりがいとか楽しさ感じていかないとすぐイヤになっちゃうもの。
他人に嫉妬しにくくなる
また「自分はこういう絵が描きたい」という目的や理由をハッキリさせることで、むやみに嫉妬しにくくなる。
SNSで絵を描いていていちばんしんどいのが"嫉妬"だと思う。
上手い人に嫉妬、いいねが多い人に嫉妬……果ては絵関係ない人にまでのべつまくなしに嫉妬……これって、"人の持ってるものをなんでも欲しがる幼児"みたいなもの。
子どもって、自分はもうAというおもちゃを手に持っていても他人がBを持っているとそれを欲しがる。
AとBを交換してあげて、こっちがAで遊んでいると「やっぱりそっちがいい!」と言ってくる。
SNSの嫉妬ってこれを無限にやるみたいなもんで、地獄以外のなにものでもない。
これから抜け出すには、「自分はAというおもちゃでどういう遊びをしたいのか、もしくはBというおもちゃでどんなふうに遊びたいのか」というのをハッキリさせること。
つまり自分の求めるもの、目的、目指す楽しさをハッキリさせる。
さすがに幼児ではこれは難しいだろうけど、大人ならちょっと意識すればできる。
「自分はこんなふうな絵を描きたい、そしてこんなふうに楽しみたい」というのがハッキリしていれば、SNSでめちゃくちゃ上手い人をみても「すごいこの人上手い〜〜!!! 私が求めてるものとは違うけど。私にとって何か参考になるとこないかな?」と思うので嫉妬しにくくなる。
無理なく続けやすい
目的がハッキリしていないとそこから逆算できないから、ただシャカリキにがんばる、みたいになりがち。
例えば目的が「今は全くの初心者だけど、炭治郎の立ち絵を描けるようになりたい! そしてTwitterにアップしてみたいんだ!」とハッキリしていれば、毎日コツコツ練習するのにさほど無理はないと思う。
お手本(炭治郎というキャラ)があるので、自分の描く絵がだんだんそれに近づいて上手くなるのが分かるし、自分なりの満足も見えやすい。目的としてとてもいい。
でも「なんかすごく上手い絵を描きたい、とにかく人に褒められたい」みたいな目的の場合、何の具体性もないし終わりも見えない。
目隠しをされた馬がひたすら自分のケツを自分で鞭打ちながら走り続けるみたいなもので、地獄オブ地獄になってしまう。
シンプルで目に見える目的があれば多少しんどくても続けられるし、「立ち絵が描けたから次は戦闘シーンの動きある炭治郎を描きたい」と次の目的も掲げやすく、そしたらどんどん楽しくなるしどんどん上手くなっていく。
絵を描く理由をハッキリさせる方法・コツ
とは言え、長年絵を描き続けている人ほど自分の目的って見失いがち。
自分もそうだったし、むしろ初心者の頃の方が純粋に「アレを描きたい、コレを描きたい」と楽しめていたかもしれない。
そこで、ここらへんで自分が絵を描く目的を思い出すなり設定し直すなりしてみる、その方法やコツについて。
絵を描き始めたきっかけを思い出してみる
私の場合は"人に話しかけるのが苦手だから、絵を描いて人の目を惹き、あっちから話しかけてもらうため"だった。
「そうか、私は人と話すきっかけのために絵を描いていたんだった」と思えば、そんなに上手い絵を描く必要はないし、「上手いね」と言われたり思われる必要もないし、見栄を張る必要もない。
ただ自分の思ったことや感じたことを絵に描いて、人に見てもらって、それが仲良くなるきっかけになればそれでいいんだから。(SNSでも、私は今もこの戦法を貫いている。)
「絵を描き始めたきっかけは、絵が上手いねって尊敬されてチヤホヤされるためです!!!」って人ってそうそういないと思うんだよね。
なんかもっとシンプルで、とるにたらないような、ささやかな、なんか可愛くてステキなきっかけが、みんなあると思うんだよね。
それをちょっと思い出してみてほしい。
言われて嬉しかった言葉を思い出してみる
あとは、人から言われて嬉しかった言葉を思い出してみる。
自分の場合はらくがきで似顔絵を描いたときの「似てる笑」という一言が嬉しくて、そこから本格的に似顔絵を描くようになった。
それから、
「この似顔絵、愛を感じてフフッてなった」
と言われたことがとても嬉しくて、「私はこれから、見た人がフフッてなる似顔絵を描いていきたいな」と思うようになった。
だから「もっとデッサンやって上手くならなきゃいけない!」ともあんまり思わないし(少しは思えよって話ですけど)、それよりも対象のことを愛をもって見て、それをより的確に表現することが自分にとって優先順位が高いのだ。
こういった自分のものさしを持っていると、どんなときにも健全な気持ちでいられる。
「言われて嬉しかった言葉なんかないな……」という人も、たぶん忘れてるだけで何かある。
「私そんないいもんじゃないし……」「お世辞でしょ……」とあなたが遠慮して受け取っていないだけかもしれない。今からでもいい、領収書切ってしっかり受け取ろう。
よく思い出してみてほしい。なんならいい感じに思い出を盛ってもいい。それはあなたが「こう言われたら嬉しいな」と感じる言葉なので。それを知ることに意味があるので。
最終的には自分がワクワクするかどうか
私は「この似顔絵、なんかフフッてなるなぁ」と言われたときピンときて「嬉しい!」と感じた。
けど、人から言われた言葉を全部受け取って、自分の目的にする必要はない。
私は嬉しくて「それだ!」と思ってワクワクしたから採用しただけ。
もし人から「あなたの絵はデッサンがしっかりしてて上手いですね」と褒められたことがあっても、それに対してワクワクしないならそこを目指す必要はない。そんなの他人のいいなりだもんね。
「そんなことよりさっきTwitterのTLで見ためっちゃハイセンスな色使いのイラストすごかったんだけど! うわー私もあれやってみたい、今すぐ真似して描いてみたい」と思うならそっちのほうがだいじ。
あくまでも絵を描くきっかけや他人の言葉は参考程度に考えてみてください。
昔の自分と意識や気持ちが変わっていることもあるだろうし、今の自分がワクワクするほうが大切だと思うので。
いったん離れてみるのもおすすめ
ここまで読んで「そうは言われても、自分の中に絵に関する思い出が何にも見当たらない……」という人もいるかもしれない。
今すごく絵に悩んでいると、"絵に関してマイナスの思いが強すぎて、楽しい記憶がかき消されちゃっている"ということもある。
自分も美大受験をするときにそんな感覚があった。「とにかく何も考えたくない、とにかく前に進まなきゃ。前に進んだら、上手くなったら、合格したら、そのとき考えよう」という、今の自分が死んでいるような感覚。
そういうときは思い切っていったん離れてみることもおすすめしたい。
特に趣味で絵を描いている人の場合、たかが"趣味の絵"程度のヤロウにそこまで追い詰められる必要はない。
「自分が絵を描くきっかけってなんだっけな?」「人に言われて嬉しかった言葉、あったかな?」とノーテンキに思い出せなくなっていたら、それは追い詰められているサインかもしれない。