

似顔絵で口をデフォルメして描くのが難しい。唇って見れば見るほど複雑で、どうやって描いたらいいのか分からない……
という人向け、【口を簡単に似せて描く方法は①まずは切れ込みの形だけを捉える②唇の厚さの特徴や、メイクしている人なら口紅を足す③口の脇のシワがあれば足す③歯の見え方を足す】という記事。
似顔絵を描く上で、中でも口や唇は表情の決め手になる重要なパーツだと思う。
しかも唇の構造というのは見れば見るほど複雑で、見たまま忠実に描こうとするとどんどん似なくなってしまったりする。その上、鼻みたいに「最悪描けなかったら省略すればいいや」というわけにもいかない。(鼻も省略しないほうがいいけど。)
自分が似顔絵を描くときは、
- まずは切れ込みの形だけを捉える
- 唇の厚さの特徴や、メイクしている人なら口紅を足す
- 口の脇のシワがあれば足す
- 歯の見え方を足す
口を描くのにこんな感じで段階的にとらえている。
最もその人らしい表情を探す
しかしその前段階として重要なことはいちばんその人らしい表情を探すことかもしれない。
というのは、表情によっていちばん変化が出るのは口元だから。さらに、その人の性格や機嫌もそのまま出るパーツでもある。
「この人って、こういう表情をよくするなあ」という、「ザ・その人」みたいな表情を探し当てると、描くのも楽だし似せやすくなる。逆に、そこがあいまいなまま描き始めると、どんなにこねくり回しても似ない地獄に落ちることもある。
特にデフォルメ似顔絵の場合、この表情セレクトで似るか似ないかの7割8割が決まるんじゃないだろうか……? くらいに自分は考えている。
なので、描くことよりもまず、たくさんの資料を見比べて「ザ・その人」の表情を探すことに多く時間を使う。
まず口の"切れ込み"の形だけを見る
口を描くのが難しいのは、唇が複雑な形で入り組んでいるから。ぱっと見気づきにくいことだけど、美術解剖学をかじってみると口や唇の構造は思った以上に複雑だと感じる。
最初から唇の形だの厚さだの上唇と下唇のかみあい方だのを見ていこうとすると、要素が多すぎて混乱してしまうのも無理はない。
だから自分はまず、唇の厚さだの形だのは置いておいて、"どんな形に切れ込みが入っているか"という視点だけで口をとらえるようにしている。
口の幅のことを正式には【口裂幅】というのだそうだけど、その名の如く単なる"裂け目の形"として観察してみるということ。

その上で唇の厚さや口角の上がり具合などをプラスしていく。
弘中綾香アナウンサーの唇も特徴的で、ついその「唇の特徴」を描きたくなる。けど、最初から「唇の特徴」を見て似せて描こうとすると難しい。
まずは"切れ込み"だけをとらえて、後からぽってりした下唇、特徴である大きな前歯をプラスしていくと、特徴がとらえやすく、描きやすいと感じる。
アンジャッシュの渡部建さんの場合は、「歯の見え方」「口の脇のシワ」が特徴的。

同じく、
- 切れ込みの形(口が左右対称ではないのが特徴的なので、そのように切れ込みを描く)
- 口角や唇の厚さを付与(唇は薄く、口角がキュッと緊張している感じにシワが入る)
- 歯など口の中身を描き込む(上の歯ではなく、下の歯が見える)
の順で描くと、とらえやすく描きやすかった。
"切れ込み"をとらえるって意味が分からない……という人や、分かるけど難しい……という人は、いわゆる「右脳で描く」という手法も参考になるかもしれません。
口を描くときにこんなところを観察している
口を似せて描くために、自分が(無意識で)観察しているのはこんな点だと思う。
- 左右の対称具合はどうか
- 口角が上がってるか下がってるか
- 唇の厚さ、上下のバランス
- 口が開いたとき、どんな歯がどれくらい見えるか
- 人中(じんちゅう)の深さ ※人中……唇の上の溝のこと
- エクボ、ホクロなど周辺情報
たとえばTOKIOの松岡さんは人中(じんちゅう)が深いのが特徴的なので、描くと似やすい気がする。

あと、ホクロやエクボを描く場合、黒い線(主線と同じ色)でしっかり描くとヨゴレやよけいな線に見えてしまうので、塗りのときに肌の色より少し濃い色などで調整していれるようにしている。
たとえば内野聖陽さんは左目の下と口の右下にホクロがあるけど、この似顔絵では目元のホクロはメガネとかぶるので省略、口の右下のホクロだけをあまり目立たない色で入れている。

似顔絵は個人的な好みの匙加減で描くものだと思うけど、自分の考えとしてはホクロやエクボを強調しすぎる描き方(ひどく大きく描くとか)があまり好きではないということと、デフォルメ絵のため、絵にしっかりと描き入れると情報量が増えてまとまりがなくなるので、よりすんなり見てもらえるような表現を選んでいるということです。