心が折れてしまってもう絵が描けない…そんなときは人にやさしくしてみる

絵を描いても反応もないしイライラする! 心が折れて、もう描く気力がなくなってしまった……

エアリプで傷ついた。もう絵を描きたくない、絵を描くのが怖い

と不調な人向け、【イライラやモヤモヤから早めに気持ちを立て直すには、まわりの人にやさしく接してみるとなぜか良い】という話。

自分は個人サイト時代からネットでイラストを描いているけど、どうしても不特定多数の動向が目に入ることでイライラやモヤモヤが発生する。

「この人大して上手くないのに、ずっとランキング上位にいる」「Web拍手の返信たくさんしてる……いいなあこんなに拍手もらえて。私は感想もらえたことなんかないのに」「あの人が日記で愚痴ってるのってもしかして私のこと……?」などなど、SNSができる前からごちゃごちゃと対人関係のめんどくささに悩まされ、やる気が押しつぶされてしまうことが多々あった。

そういうときに、たぶん2ちゃんで見かけた「感想が欲しければ自分が感想を書け」という教え(?)が役立ったことについて書く。

脳科学的に考えて、やる気が出ない原因とは?

以前、「毎日やる気を持続させて、絵の練習を続けやすくするにはどうしたらいいのか」と考えてみたことがある。

やる気というのは脳科学的に操作できることで、たとえば「毎日やることを決めておいてしのごの言わずに始めてしまう」とか「ログインボーナス的なちょっとしたごほうびを設定する」というような工夫で無理なく持続しやすい、らしい。

でも、それが効かないときがある。

がんばりたくても、それにまつわるいやな記憶があるときだ。

がんばってもしんどいだけで良いことがなかった……とか、がんばっても逆にイヤな目にあった……とか。

『動物のお医者さん』で、主人公のハスキー犬チョビが隣のニワトリに襲われて以来隣家との境界線を超えられなくなった、というエピソードがあった。

脳の中に快や不快を感じる【扁桃体】という部分があり、ここが過敏になるとやる気スイッチである【側坐核】に影響が出るらしい。(詳しくないのでざっくりです)

たとえ覚えていなくても「この行動をすると、いやなことが起こった気がする」という記憶が無意識のうちに脳に対してストップをかけてしまう、というのは自分も経験がある。

空回りを解消してやる気を取り戻すには

状況と感情を整理する

何かがフタになっている場合、何かイヤな記憶がないかを思い出してみるのも効果があるのかもしれない。

自分も、ジャンルのとあるキャラ推しのグループからTwitterで遠巻きにイヤミを言われたことがあって、絵が描けなくなってしまったことがある。そのキャラを目にすることも苦痛だしそのキャラの声優・俳優も無理になって、ジャンルごとうとましく思えてきて、コンテンツに対するポジティブな気持ちを丸ごと失った。(坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって本当によくできた言葉ですね……)

しかし冷静に状況と自分の感情を考えてみればそんなわけがなく、事実としては「たまたま私にイヤミを言った数人がそのキャラをアイコンにしていた」というだけ。さらにそれが中学生の頃に女子グループにいじめられた記憶と結びついて、過剰な怯えや恐れを感じてしまっていた。

いわゆる「認知の歪み」というのが起こって、幻の敵を増殖させていたんだなと認識し直すことができ、必要以上の怯えや恐れは薄まった。(正直、今でもそのキャラは苦手なままではあるけど)

人にやさしく接してみる

ここからが脳の不思議を発揮する「感想がほしいなら自分が感想を書け」という方法。

上の例のようにイヤな思いをして怯えていたり、描いた絵に反応がなくてイライラモヤモヤしていたり、とにかく負の感情に負けそうなときってある。

そういうとき、どうやら「人にやさしく接してみると良いらしい」というのだ。

なぜかと言うと、感情に振り回されているときは【扁桃体】が暴走してしまっているので、【扁桃体】を制御する【前頭前野】という部位を活性化させてあげればよくて、それには【オキシトシン】が有効なのだそうだ。

オキシトシンというのは、「疲れたときはハグがおすすめ、脳からなんちゃら物質が出て安らぐのでぜひハグをしよう」とかいって話題になったことがあるあの物質。

「つってもハグする相手がいないからな〜」とTwitterではこの論はスルーされがちだったけど、オキシトシンはハグだけではなくて人にやさしくしても出るそうなのだ。

ということを、社会不安障害について研究している金井先生という方が論文に書いている。

金井嘉宏『社交不安症の認知行動療法と神経科学』(←論文のPDF)

オキシトシンは,他者との親密な接触や親和的な心のふれあいなどによって分泌が促されるが,(中略)オキシトシンを投与することによって信頼や共感,向社会的行動が増えるとともに,ストレッサーに対する心理生理的反応を減弱させることができる。

『社交不安症の認知行動療法と神経科学』より

理屈は分からなくても「道を聞かれて教えてあげただけなのに、なんだか自分の気持ちが安らいだ……」とか「丁寧な感想を書いて送ったら、なんだか自分も癒された……」みたいなこと、自分も経験がある。

人に対してていねいにやさしく接することで何か自分にとっても良い作用があるというのは、たしかに自分には当てはまる。「うん、そうかもしれない」と感じた。

ので、自分の気持ちが不安定なときほど他人に対してていねいにふるまう、というのは心がけている。

果たして2ちゃんの言葉がそういう意味だったのかどうかは分からないけど、自分の中では「つらいときは人にやさしくしろ(そうしたらなぜか自分が楽になる)」という教えになっている。

自然に触れたり、睡眠や食生活を改善する

ちょっとしたことでこんなに気分の状態が違うのだから、意外と脳の状態で幸福度って大きく左右されるんじゃないか? と感じたので、今までおろそかにしていた生活習慣についても気をつけるようになった。

オキシトシンのもとはアミノ酸なのでタンパク質をしっかり摂るとか、脳の機能をきちんと使うために睡眠を十分とるとか、1日に一度は太陽の光を浴びるとか。まっとうな人間なら当たり前にやっているだろうことを自分もやってみている。

「人間って複雑で特別な生物であって、悩み深く、健全に生きることが難しい」と思っていたけど、植物と同じで環境を整えればある程度は健全に育つシンプルな生物なのかもしれない。と今は感じている。

理性的に解決できることってけっこうあるなと思った

やる気がでないとかイヤな気持ちになったとか、そういうのって理屈じゃ割り切れないと思っていた。気分や感情は制御できないから一生振り回されるんだと思っていた。

けれど、脳のしくみや気持ちのしくみはある程度コントロールできるんだと知って、安心した。立て直しかたを知っていれば、必要以上に負の感情を背負い続けることもない。

  • モヤモヤしたら状況と感情を整理する
  • 間違った思い込みは修正する
  • 人に対してていねいにやさしく接する
  • しっかり食べてしっかり寝て太陽光を浴びる

学生の頃、同じ心理学科でいつもメンタルの安定した友人がいた。

早寝早起きで3食きっちり食べて大学まで20分歩き、ネガティブな意見に対しては「そうとは限らないよ?」が口癖だったのだけど、彼女のメンタルは安定すべくして安定していたのかもしれない……と思って、真似してみている。

タイトルとURLをコピーしました